西陣織とは?着物ファンが知っておきたい歴史と12種類の品種を徹底解説
京都・西陣の地で発展した「西陣織」は、日本を代表する絹織物として世界に名を馳せています。とりどりの先染め糸を用い、彩り豊かにそして緻密に織り上げられる文様の美しさ。着物ファンなら知っておきたい西陣織の歴史や特徴、魅力、そして品種とそれを実現する技法についてご紹介します。
①西陣織とは?
西陣織とは京都・西陣の地で作られる、先染めの織物のことを言います。
その歴史は深く、平安の世より続く豪華絢爛な織物であり、美しく染められた糸を用い、様々な技法で織り出される文様に特徴があります。
「西陣」とは、京都の中心部より北西部にあり、上京区・北区を中心としたエリアを指します。
この辺りは西陣織に携わる職人の工房が多くあり、古くから織物の産地として名を馳せてきました。
世界レベルで多くの人の憧れとなっている「西陣織」について、歴史・特徴・魅力・品種そして制作工程について詳しくご紹介します。
②西陣織の特徴と魅力とは?
●多彩な色糸による色彩美
●精密に織り上げる文様美
日本を代表する絹織物として世界に名高い西陣織。
美しく艶やかに染められた色糸を使い、錦織や綴織をはじめとする様々な技法で織り出される文様は、他に類を見ない精妙さを誇ります。
また西陣織の文様は、古来から公家の装束や調度に用いられた有職文様や、室町時代に中国からもたらされた織物を見本に織ったもの、安土桃山時代の華麗な趣味から生まれた自由なものなど多岐にわたります。
西陣織は「多品種少量」生産方式がとられているのも特徴です。
明治期にジャガード機が導入されると進んで新しい技法を開発するなど、伝統を守りつつも躍進を続けてきました。
現在も伝統を大切にしつつ、現代にふさわしい優れたデザイン・テキスタイルを生み出す力が求められております。
③西陣織の歴史とは?
西陣織は5・6世紀頃、朝鮮渡来の秦氏がはじめたと言われています。
平安時代には宮廷御用の「織部司(おりべのつかさ)」として発展していきます。
また「西陣織」の名前は、応仁の乱で避難していた織手たちが機織りを再開したのが西軍の陣の後だったことに由来します。
以来、この付近で織られるものは全て西陣織と呼ばれるようになりました。
また「伝統工芸品」として指定を受けた品種は、現在12種があります。
④西陣織の品種12種
こう言わしめるほどの絶対的な自信。
豪華絢爛なものわびさびを感じさせるものまで…
それらは、以下の伝統工芸品12種類により支えられています。
緯糸だけで文様を出していくのが綴れ織りの特徴です。
そのため織物の表面からは経糸が見えません。
職人さんの爪をノコギリ状にカットして道具のように用いる「爪掻き」という独特の技法が有名であり、熟練の職人でも一日に数センチしか織れないこともあるほど。
複雑な文様を表現することが出来るのも特徴です。
色とりどりの様々な糸を使って織られた絹織物は、錦と呼ばれます。
経錦とはその名の通り、経糸(たていと)が文様を表現しています。
その中でも緯錦が盛隆を迎えたのは江戸時代からと言われ、何色もの色糸を使用します。
大きな文様を表現出来るのが特徴です。
密度が高く厚地ですが、柔軟性や光沢感もあるので非常に高級感を感じる織物です。
先ほどの緞子と同じ繻子(しゅす)織ですが、朱珍は地上げ紋がないのが特徴です。
艶のある地に色とりどりの文様、金銀箔を用いる技法など、豪華さと華やかさが印象的な織物です。
室町時代以降も帯の織りの品種として人気を博しました。
強く撚った糸を経糸、緯糸共に使用し織っていきます。
細かい地紋があるのが特徴です。
厚みがないので昔は羽織裏としての利用が多かったようです。
通常織物の断面は一層ですが、風通は断面が二重・三重と多層構造になっているのが特徴です。
そのため多層織物と呼ばれ、それぞれの層の異なった織り方を交互に表に出すことで模様を表現します。
「二色風通」と呼ばれるものは、裏と表で反対の色を出すことができる織物です。
基本的に織物とは、緯糸に対し経糸が直角に交差し布として形になります。
しかし綟り織は、隣同士の経糸が絡み合って隙間を作っており、編み物のようであると言われています。
別名は「からみ織」と呼ばれ、羅(ら)・紗(しゃ)・絽(ろ)があります。
なかでも羅が一番初めに誕生したと言われ、古くは紀元前後ごろの漢代には存在したと考えられています。
その糸を引き揃えた後、下撚りをかけさらに糊をつけます。
その糊が乾く前に撚りをかけていきます。
二越ずつ右撚り・左撚りを交互に行ったのち、ぬるま湯の中でもみ出ししぼを出すという流れです。
なめらかな光沢感と柔らかな手触りが特徴の織物です。
西陣で織られるビロードは輪奈や羽毛を表現するため、針金を織り込み後でその部分の経糸をカットし羽毛を作り出したり、針金を引き抜いてループを作ります。
この技法は有線ビロードと言われているものです。
全国各地でも絣は織られています。
素朴な印象が強い絣ですが、西陣織の絣はお召の矢絣など、キリリとした印象の織物に用いられていたのが特色といえます。
基本的には平組織で織られることが多いですが、朱子組織で織られるものもあり、それぞれ文様を表現していきます。
紬とは、真綿を経糸・緯糸に用いた平織りの織物のこと。
ざっくりとした風合いが魅力で、丈夫で素朴な織物として一般にも昔から重宝されていました。
そのため全国的にも盛んに作られることになり、特に西陣の紬は縫い取りの文様を表現するなど都会的な紬で「都ぶり」と名がついています。
⑤西陣織が出来るまでの工程とは?
西陣織には20を超える工程があり、それぞれが分業化されています。
品種により多少の違いはありますが、大きく以下の工程を経て作られています。
西陣織で最も重要といえる工程。
織物の設計図といわれる工程で、方眼紙にデザインを写しどの組織で織るか考えたうえで、方眼紙を塗分けていく作業です。
伝統的なデザインへの理解はもちろん新しい感覚のデザインも要求されます。
●原料準備
撚糸と呼ばれる工程は、織りの種類に合わせて糸の太さや撚りを調整しベストな風合いを作り出します。
先染めの織物である西陣織では、絹糸を指定通りの色に染め上げることも重要な工程のひとです。
この工程は糸染めと呼ばれます。
西陣織では8,000本もの経糸(たていと)が用いられることがあります。
必要な長さと本数を準備し、織機にセットする…この工程は整経(せいけい)と言われます。
●機(はた)準備
綜絖(そうこう)とは機の部品のひとつで、織機で緯糸を通すために経糸を上下させるための装置です。
綜絖を通して、織物の組織やデザインの情報が織手に伝えられます。
●織り
複雑な文様の織物や高級な帯などは手作業で織っていきます。
●仕上げ
織り終わった西陣織に独特の風合いを出すため整理加工を経るものもあります。
まとめ
多品種少量生産のため希少価値も高く、子や孫の代まで長く受け継いでいくことのできる価値ある織物です。
西陣織を購入する際には、
●品揃えが豊富
●サポート体制がしっかりしている
このような2点を満たすお店で購入することをおすすめします。
長く受け継がれる技法を用いた西陣織の帯を購入するのであれば、価格もそれなりにいたします。
たくさんの品揃えの中から自分が本当に気に入ったものを選びたいですし、合わせる着物との調和も大切です。
品揃えの豊富さがぴったりの帯を見つける大きなポイントといえます。
また、サポート体制の充実度も大切です。
西陣織は価値の高い織物ですので、お手入れもしっかりしておきたいもの。
購入店でのアフターフォローが充実しているかも要チェックです。
「ネットだけ」「店舗だけ」より「ネットも店舗も」充実しているお店で購入するのがおすすめです。
対面で直接色々と聞きながらお手入れをお願いしたいという場合は店舗へ、転居などで店舗に簡単に行けなくなってしまった場合や忙しくて店舗へ足を運べない場合はお電話やメールで、夜中などご自身のタイミングでネットから依頼をかけていただくことができます。
「時代の流れに合わせているお店」であるかが、今後長くお付き合いを続けていけるかポイントになりそうですね。
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