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『加地金襴』 織手・坂田雄介さん(前編)【YouTube連動・インタビュー編】「紗月がみつけた!和の新風」vol.7

『加地金襴』 織手・坂田雄介さん(前編)【YouTube連動・インタビュー編】「紗月がみつけた!和の新風」vol.7

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京都の西陣に自社工場を持つ『加地金襴株式会社』。通常は袈裟や仏具に使われる金襴(きんらん)を用いて、織手の坂田雄介さんはどのような新しい取り組みにチャレンジしているのでしょうか。MC・紗月さんのオフショットとともに、インタビューの模様をお届けします。

まなぶ

「紗月がみつけた!和の新風」

金襴(きんらん)の新たな可能性とは!?

今回は『加地金襴株式会社』の自社工場を見学!

今回は『加地金襴株式会社』の自社工場を見学!

世界中の人々から愛される和の文化が集結する京都。そこには伝統を守りつつ、新しい風を吹かすべく挑戦し続けている方々がいます。

「紗月がみつけた!和の新風」は伝統文化の新たな担い手たちにその活動内容や決意をうかがうYouTube連動企画

祇園甲部の元人気芸妓・紗月さんがMCを務めます。

今回、紗月さんが訪問するのは、京都の西陣にある『加地金襴株式会社』の工場。

同社はお坊さんの袈裟などで使われる金襴生地や金襴製品の製造と販売を行っています。

『加地金襴株式会社』自社工場の看板

そして……何やら、びっくりするような新しい取り組みに挑戦されるということで、お話を伺ってまいりました!

とその前に、まずは紗月さんの装いのご紹介から。

実は暑い時期に行われた今回の撮影。公開時期も鑑みて紗月さんが迷いなくチョイスされたのは、ライトグレーの単衣の小紋でした。

飛び柄にて”ときなし”(季節を問わない)の菊花模様が染め入れられ、帯合わせは川島織物さんの赤朽葉色の名古屋帯を。

花街にいらっしゃった紗月さんならではの、はんなりとしたセレクト。白の帯締めが着姿をすっきりとみせてます。

輪出しの帯揚げの赤がチラリとのぞくのも、ポイントですね。

お坊さんのおしゃれ心をくすぐる金襴の美しさ

工場で働く熟練の織手さん

京都市の北西部に位置する上京区。

ここは西陣織発祥の地として知られ、現在でも織物産業が盛んな土地。

織機で細かく柄を打ち込んでいく

『加地金襴株式会社』自社工場は大宮通りにあり、日々職人の手によって豪華絢爛な金襴製品が生み出されています。

2020.03.25

まなぶ

西陣織とは?着物ファンが知っておきたい歴史と12種類の品種を徹底解説

工場から心地良い織機の音が聞こえてくるなか、お話を伺うのは、金襴の織手として活躍されている坂田雄介さん

織手の坂田雄介さん

織手の坂田雄介さん

色あざやかな鳳凰が向き合っている

色あざやかな鳳凰が向き合っている

後ろに飾られているのは、加地金襴オリジナルの柄で作られた「水引き」という寺院の装飾品です。

マネキンが着用しているのは金襴生地の袈裟

坂田さんの右にあるマネキンが着ているのは、みなさんもご覧になったことがあるかもしれません。

そう、お坊さんが葬儀や法要、日々のお勤めの際に着られる袈裟(けさ)

とても豪華ですが、こういった金糸や金箔をふんだんに使った紋織物のことを「金襴」と言います。

坂田さんにお話を伺う紗月さん

坂田さんがこの会社に入社されたのはご結婚後、社長である義理のお父様からお誘いを受けたのがきっかけだったそう。

もともとものづくりに興味があり、建築の学校を卒業後に設計施工会社に入社。以来、家づくりに携わっていましたが、30歳の時に転職を決意されました。

そんな坂田さんが手がけた製品を実際に見せていただくことに。

まずはこちら、法衣に使われる生地を、あえて金を減らしてファッションにも使えるようにアレンジしたものです。

織物とは思えない細やかな柄

織物とは思えないほどに細やかな柄

織物、と言われないとわからない!

こう紗月さんがおっしゃるように、細密細緻にオリエンタルな柄が描かれています。

坂田さん曰く、「お坊さんは結構おしゃれ」なのだとか!

生地に使う金箔

生地に使う金箔

こちらも同様に袈裟よりも煌びやかさを抑えめにし、柄も余裕を持たせたもの。ドレスにも使われている生地だそうです。

袈裟よりも金を減らした生地

袈裟よりも金を減らした生地

裏地も綺麗で、「こっちの方がいい」と言われることもあるそう。

坂田さんは、“織物あるある(笑)”とおっしゃっていました。

裏地もしっかり柄が打ち込まれた隙のなさ

裏地も美しい!

これだけ細かく柄が打ち込まれているだけに、1m織るのにかかるのは約半日。たくさんの労力と時間を費やし、一つひとつの製品がこだわりを持って作られているのがよく分かります。

工場には若い職人さんの姿も

工場には若い職人さんの姿も

新たな商品開発で金襴の魅力を世界に発信!

30歳で織物産業に参入された坂田さん

建築業界から織物産業へ。ものづくりという点では共通しているものの、30歳で全く未経験の世界に足を踏み入れた坂田さん。

見よう見まねでひたすら織り続け、慣れてくると今度はデザインや企画開発にも携わるように。

坂田さんの新たな取り組みについて伺う紗月さん

会社では、新たな市場開拓も任されているそう。

というのも、坂田さんが入社されるまで加地金襴で作られていた製品は法務や仏具のみ。それ以外の何かにも金襴を生かし、新時代を築くためにも坂田さんの力が必要だったのです。

少し照れながら奥様との高校時代を語ってくれた坂田さん

もともと、金襴自体は10代の時から知っていたという坂田さん。

実は奥様とは高校生の時からのお付き合いで、家に遊びにいくと必ずリビングや仕立て部屋に金襴の端切れが落ちていたそう。

工場にはたくさんの金襴生地が保管されている

工場にはたくさんの金襴生地が保管されている

のちのち奥様の実家が法衣を販売する会社を営んでいることを知り、当時からものづくりやデザインに興味があった坂田さんは「金襴の生地を何か他に利用できないか」と考えていたのだとか。

その時はまさか自分が織手になるとは思っていなかったそうですが、なるべくしてなった縁というものなのかもしれません。

イスラム教徒の礼拝に使われるマット

金襴には可能性が無限大にあり、ご自身が想像しているものを実際に形にするのには時間がかかるそう。

また、「法衣の世界では通じることが違う業界では通じないこともあり、思っていた以上にハードルが高かった」と坂田さんは振り返ります。

そうした苦労を乗り越え、坂田さんが生み出した商品のひとつがこちら。イスラム教の方々が使う礼拝用マットです。

タペストリーとしても人気な金襴の礼拝用のマット

タペストリーとしても人気な金襴の礼拝用のマット

イスラム教徒が多い中東の人は金が好きなのでは?と思ったのが、この商品を作るきっかけだったそう。織幅が70センチでちょうどマットの幅とぴったりだったことも商品化を後押ししました。

織ったものが、ほぼそのまま商品になるということでリスクが少なく、かつ世界に発信できる商品なので、初めての取り組みとしては良かったかなと思っています」(坂田さん)

10年ほど前から販売を開始し、コロナ禍で一時期は売り上げが落ちたものの、インバウンド需要の回復でまた海外の方がお土産で購入されることが増えたそう。

今ではイスラム教徒の方だけではなく、部屋に飾るタペストリーとして幅広く利用されています。

金襴のお線香ケースも販売されています

金襴のお線香ケースなども

そんななか、坂田さんはさらに新たな取り組みに挑戦中とのこと。

『スギエシルクプランニング』の杉江啓吾さんを交えた取材にも乞うご期待!

『スギエシルクプランニング』杉江啓吾さんを交えた取材にも、乞うご期待!

実はちょっと、西陣織を宇宙にもっていくというプロジェクトを……

と驚きの発言が坂田さんから飛び出します!

一体、どういった取り組みなのでしょう?

後編では協力企業である『スギエシルクプランニング』の杉江啓吾さんを交えて、お話を伺います!

紗月さんファン必見!オフショット

素敵な笑顔でカメラの前にスタンバイ!

素敵な笑顔でカメラの前にスタンバイ!

今回は工場の中から撮影がスタートしました
棚一面の糸巻きをみつめる紗月さん

棚一面の糸巻きをみつめる紗月さん

インタビュー前の打ち合わせも念入りに行っています

インタビュー前の打ち合わせも念入りに行っています

取材開始早々、とても楽しげな様子の坂田さん

取材開始早々、とても楽しげな様子の坂田さん

細かく打ち込まれた柄に紗月さんも見入っています

細かく織り出された柄に紗月さんも見入っています

美しいものに触れて満足そうな紗月さん

美しいものに触れて満足そうな紗月さん

こちらの羽織は?次回もお楽しみに!

こちらの羽織は?次回もお楽しみに!

文章/苫とり子
撮影/弥武江利子

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