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灯 高橋完治さん(後編) 「彼らが”和”を想う理由」vol.4-2

灯 高橋完治さん(後編) 「彼らが”和”を想う理由」vol.4-2

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日本全国にある伝統工芸品を最新の光技術と融合させ、全く新しい照明機器を次々と生み出している『灯』代表 高橋完治氏。幻想的で優美な空間演出は、”伝統”と”モダン”の掛け算が織りなす光ならでは。『灯』の光が照らす先は、今や日本を超え世界へ―

2023.07.19

インタビュー

灯 高橋完治さん(前編) 「彼らが”和”を想う理由」vol.4-1

広がる灯

灯 プロダクト

同じタイミングで同じものを見たとしても、その先は見る人の心のあり方によって大きく変わるもの。

いろいろと伊勢型紙の話を伺うものの、「口で言うより、白子に行ってみたら、変わりますよ」と、高橋氏は満面の笑顔。

灯 高橋完治氏 笑顔

生きている限り、人は成長し、変化し、進化していきたいもの。行動や体験から学ぶことは想像以上に大きい。

百聞は一見にしかず。

近々白子に行くと心に決め、その時に何を感じるかを楽しみにしておこう。

伊勢型紙

2008年からの高橋氏の活動も今年、はや15年を迎える。異業種の技術者から転身し、今やさまざまな伝統技術と新しい技術を組み合わせるプロデューサー的存在となった。

初心を大切にし、好奇心を持ち続け、年齢を感じさせない行動力を発揮。自身のやりたいことを実践しつつ、”伝統文化の伝え人”でもある。

”あたりまえ”のものと思ってしまいがちな歴史や文化、精神性。伝統文化の価値を感じるセンサーが、脆弱になっていないだろうか。

伝統文化とは、それを守るだけでなくその価値を活かし、価値を説き、価値を広めてきた存在がいたからこそ成り立ってきたもの。高橋氏もそのひとり。コロナ禍を経て今まさに、海を越えた”灯の手渡し”がはじまっている

調和美として

灯

最近ではTBSの新春ドラマ『GetReady』の高級日本酒バー、4月からは金曜日ドラマ『リコカツ』のセットでも起用された高橋氏の作品。ドラマ制作会社の方の目に留まったことがきっかけだ。

癒しの空間、魅せる場……など、特別な印象を醸し出したいシーンにぴったりはまるのだろう。

調和する光

このインタビュー撮影は東京・虎ノ門にあるエディション・ホテルのスイートルームにて行われたが、照明が灯された空間演出をご覧いただければ、一目瞭然。

場の雰囲気を一瞬にして変えながらも周囲に溶け込むように調和し、空間の魅力をさらに高めてくれている

聖徳太子が十七条憲法の冒頭に掲げた「和を以て貴しと為す(わをもってたっとしとなす)」という言葉が思い出された。

それぞれの個性や主張があっても、調和美として成り立つすばらしさ。

シルク曼荼羅

日本で生まれ育ったわたしたちが自然に受け入れているこの感覚、海外にはないだけにさらに希少価値となるのかもしれない。

シルク曼荼羅

”灯”は次々と世界へ

アジアにおいては先ずは香港とカンボジア。目下香港では、仙台箪笥がとても人気らしい。出店している方と知り合い、店舗に照明も置かせてもらうことに。カンボジアでは『Jクラブ』というECサイトにも掲載されている。

そして北欧のノルウェーにも。

灯 海外へ

現在日本食ブーム真っ只中。ミシュラン星付きの寿司屋から引き合いがあった。純和風の設えに高橋氏の照明を取り入れたいとのこと。これから45店舗に順次灯される。

白夜がある北欧では昔から間接照明や家具が発展しており、数多くのマスターピース(傑作品)を生み出してきた。そのような環境にある北欧の方から選ばれるというのは非常に光栄なことである。

灯 ドラマでの採用

12月は南フランス、モナコに行く予定とのこと。

日本よりアートに関して造詣が深いフランス。日本人に愛される某ハイブランドの有名なデザインは日本の家紋や古典文様をモチーフにしたとも言われ、日本のアーティストとのコラボレーションも盛んである。日本とフランスは何か通ずるものがあるのだろう。

灯 高橋完治氏 とどまることを知らない

半年以上前であるにもかかわらず、展示の構想はもう出来上がっているという。そして初のお披露目、伊勢型紙の柄を陶磁器に転写した新作の食器も発表されるらしい。

伊勢型紙のさらなる可能性を探し続け、行動し続け、違う形として世に生み出していく。

旅路は続く

灯 高橋完治氏 夢を語る

まだまだ夢があるという。

きっと夢は、探し行動した者のみがみれるものなのだろう。自身の好奇心の赴くがまま、生みの苦しみはどこへやら、ただただ楽しさがあふれている。

”伝統文化だから継承しなくては”の義務感からではない。

これだけ自身が惚れ込んでいる伊勢型紙だから、その魅力をあますことなくもっとたくさんの人たちに伝えたい―

一目惚れからはじまりすっかり惚れ込んで、今も変わらず伊勢型紙に魅了され続けている高橋氏。

”灯”に導かれ、海を渡り世界まで。変幻自在な伊勢型紙の次なる姿はいかに。

白子に誘われた旅路に終わりはない。

夢の続き

撮影/五十川満
聞き手/池田千恵里、藤田陽子

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