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道明が切り拓く日本の美の未来形 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.16

道明が切り拓く日本の美の未来形 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.16

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ある日、古谷さんのもとに届いたレセプションへのご招待。きものファンなら言わずと知れた『道明』の新スポット、『Kumihimo Experience by DOMYO (有職組紐 道明 神楽坂)』のオープンです!

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まなぶ

有職組紐 道明

思い起こせば、私のきもの道の第一歩は道明だった

家庭画報『きものSalon』の編集長だった頃、よく聞かれたのが、

「昔からきものが好きだったのですか?」

という質問。

「いえ、会社員なので、突然の人事異動で……」

はい、何を隠そうメンズファッション誌の編集部から『きものサロン』(当時はカタカナでサロン)編集部への華麗なる異動です。

編集部に挨拶に行くと「来週京都でイベントあるの、あなたも手伝うのよ!」といきなりの無茶振り。

結婚するときに母がつくってくれたベージュピンクの大人しい訪問着(孫の入卒につきそう娘をイメージしたであろう、1990年頃に流行っていたあの感じです)と、振袖に締めた帯しか持っていなかった私。

それを見て大先輩が言いました。

「いまから道明に行きなさい!」

ずらっと並んだ日本の色にクラクラっと

道明
道明2

当時の道明さんの店舗は池之端の老舗の構えで敷居が高く、店の前で呼吸を整え、勇気を出して扉を開けると、めまいがするほど素敵な色の洪水。

こ、これが帯締めなるものか!

クラクラしている間に大先輩が選んだブルーの高麗組(!)を、言われるがままに購入

ごく普通の訪問着と振袖用黒地帯の急場しのぎの取り合わせが、帯締めひとつでなぜか素敵に見えてくるというマジック体験こそ、私のきもの道のはじまりだったのです。

道明

ときは令和5年、Kumihimo Experience by DOMYO

ギャラリー

私の強烈体験はさておき、コーディネートに魂を込めていた『きものSalon』の誌面では道明の帯締めは最も重要なキーアイテムのひとつでありました。

編集部時代いろいろとわがままも聞いていただいた現10代目当主・道明葵一郎氏は元々一級建築士

現10代目当主・道明葵一郎氏

組紐という伝統の技を、帯締めの枠にとらわれずに世界へ発信していこうと考えるなかで、神楽坂のお教室だった場所を素敵なギャラリーに建て替えたというので、早速お邪魔してきました。

アートな空間

古谷:エントランスからデザイナーズブランドショップの雰囲気ですね!

道明:1階は見学と体験が一体になったスタジオミュージアムなのですが、文化財復元品と、バッグやベルトになった新しい組紐ファッションとが時空を超えてセッションしているようなアートな空間になったのではないかと思います。奥には気軽にできる組紐体験コーナーもありますよ。

ギャラリー1F
バッグ
ストラップ

古谷:2階はお教室なんですね、みなさん思い思いに組んでいらっしゃいました。

道明年一回1クラス10人の募集で、神楽坂のほかに茅ヶ崎、名古屋、京都、大阪など現在常に500人ほどが習ってくださっていて、銀座で作品展も開催しています。

組紐教室

古谷:上野店と神楽坂店の位置づけは?

道明上野は伝統、神楽坂は自由。

上野の社内では変わらずに、有職組紐としての歴史的知見にのっとって、和装の帯締めを手染め・手組みしています。

『Kumihimo Experience by DOMYO 神楽坂』はもっとオープンに、作る楽しさ、触る楽しさを世界中の人に知ってもらえる場所にしたくて。金曜日の夜、会社帰りの組紐教室もやっているんですよ。

古谷:うわーこれ以上習い事を増やすと大変なんですけど、興味津々。

道明:20年でカリキュラムは修了しますが、10年くらいで職人になられる方もいらっしゃいます。

組紐

古谷:帯締めの組み方としては何種類くらいあるのですか?

道明構造としてはだいたい2~30種で、店頭には500~600本出していますが、全部で1000くらいはありますね。

古谷:考えてみると紐って建築と通じるところがあるような?

道明社長

道明制限の中でのデザインという意味ではそうですね。

帯締めをデザインする上では、物事を抽象的に表現しつつ、繰り返しのパターンで対象とするものの本質を表現していくことになるのですが、帯締めを見てその情景が浮かべば成功ですね。

古谷道明さんは色も色名も素敵ですが、『中尊寺』とか『戸帳』とか『蘇莫者』とかタイトルもロマンチックです。

私は色名のカードをコレクションしているのが密かな自慢で(笑)。

色見本
テッパンの3本

古谷さんの愛用品。一番上が”紺ローズ”

古谷編集部では『唐衣』の紺ローズ(色)を”鉄板”と呼んでました。私の中では3本の万能選手がいて、季節感で使い分けたりしています。

道明”きものSalonの紺ローズ”で、電話注文もよくあります(笑)

古谷地下にはお茶室も作られたんですね?

地下の茶室

道明:神楽坂は習い事の街ですからね、和とかきものに限らずにコラボレーションしていろいろとイベントも開催できたらいいなと思ってます。

古谷:楽しみです!たぶんまたすぐに伺います(笑)。

現10代目当主・道明葵一郎氏

撮影/五十川満

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