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”麻”の着物で夏を存分に楽しむ「大久保信子さんのきもの練習帖」vol.2

”麻”の着物で夏を存分に楽しむ「大久保信子さんのきもの練習帖」vol.2

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夏の着物、といえば「麻」。梅雨時は湿度も高く蒸し暑く、心身ともにスッキリしない日が多いですよね。早く、カラッとした日差しのもと、着物を楽しみたいな~と思います。

2023.05.15

よみもの

浴衣を着よう!大人の女性ならではのカッコいい着こなし術 「大久保信子さんのきもの練習帖」vol.1

6月のテーマは、「麻」の着物

梅雨時は湿度も高く蒸し暑く、心身ともにスッキリしない日が多いですね。

早く、カラッとした日差しのもと、着物を楽しみたいな~と思います。

大久保信子さんのきもの練習帖 vol.2

夏の着物、といえば「麻」。

さらりとした肌触りが心地よいのが特徴です。それに、着ていると風が通り抜けるようで、涼しさは満点。

麻の着物には、ご存知のように「縮(ちぢみ)」と「上布(じょうふ)」があります。

見分けの参考に、簡単に特徴をお話しますね。

「縮」と「上布」の特徴

縮(ちぢみ)

小千谷縮

日本工芸会正会員 樋口隆司さんの小千谷縮

「縮(ちぢみ)」は生地の表面に凹凸があり、”シボ”というんですけれど、肌にまとわりつかない。だから涼しいんです。

・新潟県小千谷市周辺で生産される「小千谷縮」
・同じく新潟県十日町の「明石縮」
・滋賀県「近江縮」

などが知られていますね。

上布(じょうふ)

日本各地の上布

「上布」は、平織りで”シボ”が少ないのが特徴。

麻を細かく割いて紡ぎ、撚り合わせて織ったもので、通気性に富んでいて、こちらも抜群に涼しいですよ。

・沖縄県宮古島の「宮古上布」
・八重山諸島の「八重山上布」
・新潟県南魚沼市の「越後上布」
・石川県羽咋市の「能登上布」

などがあります。

昔は「麻は7~8月末までの着物」といわれていましたが、今は暑いので、6月下旬から9月初旬まで着ていいと私は思います。

どちらも生地にハリがあり涼しく、透け感が見た目にも涼を呼んでくれます。

夏着物にはどんな帯がいいの?

よく「夏着物にはどんな帯を合わせたらいいですか?」と聞かれます。

私のおすすめは、博多献上帯や絽綴れ。ひとつ持っていると重宝しますよ。

また、麻の着物で注意したいのは「透ける」ということ。

それが魅力なんですが、仕立てる時に補強を兼ねて「居敷当(いしきあて:後ろ身頃の下半分部分の当て布)」をすると解消します。麻生地の居敷当もあります。

小千谷ちぢみ

そして長襦袢は、白が見た目にもきれい。

「シワ」や「縮み」が困る、といいますが、これも麻の特徴。座れば必ず「座りジワ」が寄りますし、動けば袖にもシワがでます。

最初はなんでもなかったのに、夕方になると裄がなんとなく短くなった、という経験をされた方も多いのではないですか? 

これは麻が湿気を吸い、縮んだんです。

すごく気になるようなら、霧吹きで水気を与えて、下に伸ばしながら引っ張るとシワや縮みが目立たなくなります。私は小さな霧吹きをバッグに忍ばせてケアしています。

大久保信子さん01

麻の着物のメンテナンス

メンテナンスのこともお話しておきますね。

一日中着た麻の着物は、脱いだらハンガーにかけ、吊して風を通します。

胴回りや脇などの汗をかいた部分は水道水で霧吹きをし、そして乾かす。汗が飛んで、外でついたにおいも消えますよ。

そのまま放置すると黄ばみの原因になってしまいますから要注意。

小千谷縮に八重山上布

小千谷縮に八重山上布

あと、麻の着物は自宅で洗濯ができるんです。

私は洗濯洗剤を水で薄めて、そこに畳んだ着物を30分程浸けてから押し洗いして、軽く脱水。ハンガーにかけ、手で布を両側から挟んでパンパンとたたき、シワを伸ばしながら影干しします。

これだけでピシッと仕上がります。

麻の着物にアイロンはあまりおすすめしませんが、どうしてもかけられるのであれば、低~中温で何度もかけると失敗がありません。

そうそう、麻には麻の半衿をつけると、統一感が生まれてスッキリと見えます。

麻の半襟

塩瀬の半衿は麻の軽やかさには、ちょっと重い感じがするんです。だから私は麻の半衿を愛用しています。

夏は着物を着るのが暑いし面倒、と思いがちですが、この季節に着物を涼しげに着こなしてこそ、大人ならではですよ。

大久保先生

こんなコーディネートが素敵!

構成・文/大澤はつ江
人物撮影/五十川満

ITEM

記事に登場するアイテム

本場筑前博多織八寸帯 「三献上・退紅色×裏葉柳色」

本場筑前博多織八寸帯 「五献上・黒」

【都(みやこ)】絽綴れ八寸名古屋帯「水の流れ」

【都(みやこ)】絽綴れ八寸名古屋帯「菱彩」

本場小千谷ちぢみ「十字絣小襷紋」

本場筑前博多織紗献上帯「菱つなぎ間道」

[夏物] 和小物さくら 綾竹経巻組レース帯締め 両手先絣ぼかし 青耳縞に高麗納戸色

【夏物】加藤萬謹製 紗 横段変り織り無地帯揚げ

【夏小物】本麻半衿

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