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特別公演 鎌田由美子さん ×『美しいキモノ』 日本最大級きもの展示会2021@東京丸の内KITTE イベントレポート vol.6

特別公演 鎌田由美子さん ×『美しいキモノ』 日本最大級きもの展示会2021@東京丸の内KITTE イベントレポート vol.6

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5月に東京・丸の内KITTEにおいて開催された「2021 日本最大級 きもの展示会」。“お楽しみイベント”として企画された13もの催しのなかから、「特別公演 鎌田由美子×『美しいキモノ』」をレポートいたします。

イベント

イベントレポート

日本最大級のきもの展示会!

会場の沢山のお品1
会場の沢山のお品2

今年で第6回目を迎えたという、東京・丸の内KITTEにおける展示会。

その名の通り、会場にはたくさんのお品が並べられ、どこから見はじめようかと迷ってしまうほど!

会場の沢山のお品3

日替わりで、バラエティーに富んだ13もの催しも企画されており、着物ファンにはたまらないお楽しみが詰まっていました。

会場の沢山のお品4

今回はそのなかから、資生堂シニアヘアメイクアップアーティストの鎌田由美子先生と雑誌『美しいキモノ』編集長によるトークセッションに参加してまいりました!


レポーター/池田千恵里

趣味は書くこと!という着物愛好家。国内外において着物PRの経験を持つ。英国駐在時には着物でのお出掛けを常とし、自身の着姿をSNSやYouTube 等でも発信。また、ロンドンで着物ファッションショーを開催するなど、和装のPRに務めている。

レポーター/池田千恵

芸術作品のようなスタイリング

会場に飾られたご著書

360度美しくなるための和装ヘアメイクとは。

今回のイベントは……

「思い描く自分」になるための鎌田流ヘアメイクメソッドを、雑誌『美しいキモノ』編集長とのトークセッションを通して学ぼうというもの。

着物とヘアメイクのトータルビューティーを追求し、数多くのショーやセミナー、テレビ出演等で幅広く活躍している鎌田先生。会場に飾られたご著書は、着物愛好家でしたら誰しも手に取ったことがあるのでは?

ヘアメイクによって完璧を極めた数々のスタイリングは、まさに芸術作品。ページをめくるたび、その完成されたスタイリングに感動のため息がこぼれます。

メイクも着物に合わせて

ご著書から抜粋した二作品のパネル

ご著書から抜粋した二作品のパネルと、実際それらに使われた口紅やアイシャドウの展示もありました。

口紅とアイシャドウの展示1

着物に合わせてメイクを変える―

この概念が私にはなかったことに、この時初めて気が付きました。着物メイクを学ばねば!

口紅とアイシャドウの展示2

この日3回にわたって行われたトークセッションは大人気で、あっという間にお席が埋まったとのこと。

やはりヘアメイクに興味がおありの方ばかりなのでしょうね!綺麗にメイクを施された方が多かったです。

イベントのようす

コロナ禍中ということでの人数制限もあり(1席空けての着席)あっという間に満員御礼に

鎌田先生の装い

鎌田先生の装いについてのお話からスタート。

まずは、鎌田先生の装いについてのお話からスタート♡

「今日は母のものを着たいと思いまして、こちらのお着物にしました。裄を直してシミ抜きをして、昨日仕上がったところなんです。母とは好みが近いんですよ!」

と先生。

帯は昨年購入されたという、もじり織のもの。

帯は昨年購入されたという、もじり織

八掛の黒いグラデーションを帯締めに取り入れ、ニューヨークで出逢ったというドラゴンのブローチはアクセントとして帯留に。

ドラゴンのブローチはアクセントとして帯留に

シルバー色の帯揚げにリンクさせたというネイルも、なんとハンサムでかっこいいのでしょうね!

『美しいキモノ』西原史編集長の装い

続いて、みなさまご存知『美しいキモノ』の西原史編集長(イベント開催は2021年5月)のコーディネート。

知人から譲り受けたという塩沢紬

お着物は知人から譲り受けたという塩沢紬だそうで。

「塩沢といえば先染めが一般的だと思うのですが、こちらは後染めのものになります。スリムな知人でしたので幅を出してたりして、今日に間に合わせました。そういったことができるのも着物の良いところかなと」

松のモチーフの綴織の帯

「帯は綴織で、抽象的な松のモチーフが入っています。お着物とカラートーンを合わせるようなコーディネートにしてまいりました」

マスクを含めてのトータルコーディネート

素敵なマスクはご友人からで、奈良の国立博物館のミュージアムショップで購入できるとのこと。

マスクを含めてのトータルコーディネートがとても素敵でした。

思わずひれ伏す、極上の美しさ

作品を解説

続いて、先生のご著書『鎌田流メソッド 着物ヘアメイクの発想より』からグラビアページをピックアップし、紹介して下さいました。

(こちらにてお写真の使用はできませんので、ぜひご著書をご覧いただければと思います!)

まずは、日本刺繍の草乃しずか先生のお着物による作品から。

「こちらの着物を選ぶ時に、草野先生が、どうぞ好きなものを選んで下さい!とおっしゃって下さったんです。個展を開くほどの方のお着物ですから、人に着せてこういう形で表現をさせていただいて、本当に有難いなと思いました」

挿された簪はとても印象的な藤の花。樹脂とワイヤーで作るという「榮」さんのものだそうで、花びらの形状なども相談して、古典とモダンを融合させたような藤に作り上げてもらったのだそうです。

更に美しくそこに存在するような作品を目指しました

「肌には透き通ったシアー感を出し、目の下には少しレッド系をふわっと入れ、肌から滲み出るようなチークと綺麗な純色のレッドを口元に挿すことで、愛らしさの中にもパワーを感じるメイクにしました。

力強く素晴らしいお着物なので、人に着せた時にそのパワーを際立たせ、更に美しくそこに存在するような作品を目指しました」

着物とヘアメイクが融合することで生まれる更なる美!

その極上の美しさに……思わずひれ伏してしまいました。

伝統柄とモダンな和装メイク

続いてもうひと作品。

「羽田登先生のお着物も、たくさんの作品のなかから選ばせていただき光栄でした。日本の伝統手法で描かれた伝統柄なのかもしれませんが、グラフィカルでモダンに感じたんですよね。エッジが効いているような。ですので思いきりモダンにふりたいなと。

そこでヘアはワッフルのように波状の、ちょっと不思議な感じのシニョンをトップに作りました。

草履は『祇園ない藤』さんのもの。漆塗りの赤に奥行きのある金という色合わせで、重厚で存在感のある足元を演出しています」

「メイクは、練り状のアイシャドウの上にパウダー系のアイシャドウを重ね、ライン系にしています。肌の質感をシアーにして、リップをヌーディーにすることで、ポイントを目元にグッと絞っています。

今はわりとよく見るメイクですが、書籍が出た5~6年前の当時は、和装メイクとしてはかなり斬新で驚かれた作品です」

四季のスタイリング

続いて、四季における場面ごとのスタイリングも拝見しました。

夏ー京都嵐山

宮古上布に品布の帯。
肌は透き通っていながらもマットな感じに仕上げ、軽さがあってサラッとした、凛とした印象に。淡いベージュ系の目元には、すっとしたアイラインを際に引いて目力をプラス。コーラル系チークをふんわりと入れ、口元はブラウンがかったオレンジでシックに。

秋ーお茶会

格調高い江戸小紋。
お茶会では濃いメイクというよりはあっさりと仕上げながら、パーツそのものを印象付けていくというのがポイントだそう。

「江戸小紋には緻密な技術がしっかりと詰まっていて、格好いいなぁと思います。一方で柄の中に遊び心のあるモチーフが隠されていたりと、楽しくて魅力を感じます」と先生。『美しいキモノ』2021年春号の江戸小紋特集では、先生の私物も紹介されているそうですよ!

冬ー新年のご挨拶

紅白の梅柄の華やかな訪問着。
紅梅をイメージとした、レッドの口元がポイントとなるメイクに。

春ーお花見

桜のひと枝を髪に挿したイメージで作ったというヘアは、存在感や女性らしさが出るセンター分けでより印象的に。花のサイズや数にもこだわって「榮」さんに作ってもらったという簪が、美しく効いていました。着物の色に合わせたモーブ系のアイカラーに、コーラル系のチークと口紅で、柔らかさと優しさが表現されています。

鎌田先生の3大メソッド

さらに、美容についても!鎌田先生の3大メソッドについて教えていただきました。

その1「360°ビューティー」

360°ビューティーとは、正面顔だけでなく、斜め顔、横顔まで意識したヘアメイクのこと。

なんと正面顔より横顔のほうが、30代でも3〜4歳老けて見えるのだそう。横顔には、眉尻、目尻、口角、頬の終わりと全ての下降線が集まっており、立体感がないことが原因だとのこと。

会場では、対策について具体的に教えていただきましたよ!

鏡や携帯カメラで今日の自分メイクをチェックする時間も設けられ、それぞれ、自身の改善点を探りました。一流人から学ぶ機会とあって、メモを取っている方も多くいらっしゃいましたよ!

鏡や携帯カメラで今日の自分メイクをチェック

きものでミュージアム」akemiさんも発見!

その2「優美なフォルム」

柔らかな曲線を上手に使っていきましょう

優美なフォルムとは、柔らかな曲線を上手に使っていきましょう!という提案。

柔らかな曲線は女性らしさを表現。ヘアの動きやアーチ型の眉など、少し曲線が入るだけで優雅さが出て、美しさが引き立つのだそうです。

その3 「質感」

“肌作りを表現する4つの質感”は是非とも抑えておくべし!

コスメの流行は変わっていくが、メイクの質感は普遍である。

質感とは例えば……

大福は柔らかく、水饅頭はつるんとしている、というように、物質に対して生命力を与えてくれるもの。質感は9つに分類されるそうですが、“肌作りを表現する4つの質感”はぜひとも抑えておくべし!

・スタンダード
適度なカバー力と自然なツヤがある仕上がり

・マット
肌表面にツヤがなく、カバー力とパウダーを感じる仕上がり

・シアー
素肌のような透明感と軽さのある仕上がり

・パーリー
肌表面にパール感を感じる仕上がり

さらには……肌の質感と着物との相性についても!

肌の質感と着物との相性についても

・スタンダード
付け下げや小紋、フォーマル系

・マット
留袖

・シアー 
夏着物や浴衣

・パーリー
華やかな訪問着

自身の個性美を探る

そして話は……メイクアップアドバイスへ!

似合うメイクをするには、自身の個性美を知ることが重要で、素顔の分析が必要だとのこと。

顔のバランスが、遠心的か求心的か。
一番印象的なパーツが、スッキリ見えるか曲線を感じるか。
4分類されたマップに自分の顔を当てはめ、どのタイプかを探りました。

①キュート&かわいらしい
②やさしい&女らしい
③フレッシュ&活発
④クール&シャープ

主役は着物ではなく、私!

主役は私!着物ではなく人です。ご自身を表現して下さい。

「お伝えしたメソッドを使って、ご自分の個性美を広げて下さればうれしいなと思います。着物の格、着る目的や場所を考慮したヘアメイクで、トータル美を追及してみてください。主役は私。着物ではなく人です。ご自身を表現して下さい」

と先生。

自分自身をどう表現したいかという軸を持つこと、を教わりました!

自分がどう印象付けたいか、トータルで考える

最後に、著書からのグラビア2作品についてお話し下さいました。

作品より

お写真左下のパネルが『マリア』。着物は、染織家・志村洋子さんの作品

まずは、染織家・志村洋子さんのお着物における『マリア』という作品について。

「紬の織の中に十字架があって、その周りがオレンジ色の灯火のようになっているんです。マリア様が蝋燭のもとでお祈りしているイメージを受けたので、マリア様のベールのようなヘアスタイルにして、純真無垢なレッドの口紅を付けました」

作品を解説

写真左下の着物は斉藤上太郎さん作。ストリート感覚のヘアメイクで。モデルは『マリア』と同じ方

そして斉藤上太郎さんのお着物。

「ストリート感覚で、自分でカジュアルにまとめた、おくれ毛があるようなヘアスタイルに。口紅はマットなボルドーで、カッコいいぜ!という感じにしました」

なんとモデルさんは先ほどの『マリア』と同じ方なのだそうです。ヘアメイクの力で180度印象を変えることができるんですね!

「自分がどう印象付けたいかをトータルで考えて、着物ライフを楽しんでください。今日お伝えしたことを活用してみて下さいね!」

最後にそう締めくくって下さいました。

“思い描く自分”を手に入れて

鎌田先生、盛りだくさんのお話しをありがとうございました

実は今回ご紹介した以外にも、美しい肌作りのためのファンデーションの塗り分け、内側から輝きあふれるようなハイライトのお話、気になるたるみをカバーしてくれるチークの筆の置き方など、たくさんのメソッドの詰まったイベントでした!

鎌田先生、盛りだくさんのお話しをありがとうございました!!

“ヘアメイクという発想”

この新たな視点が、私に伸びしろを与えてくれました。

また一段、いえ二段?高いハードルにわなわなとしておりますが……今日の学びを少しずつでも取り入れて、「思い描く自分」を手に入れていけたらと思います!

撮影/五十川満

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