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フェルメールとレンブラント ~オランダミュージアム巡りの旅~ 「きものでミュージアム」番外編

フェルメールとレンブラント ~オランダミュージアム巡りの旅~ 「きものでミュージアム」番外編

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世界的に話題のフェルメール展が、オランダ・アムステルダム国立美術館で開催中!現存作品30数点のうち、なんと28作品を観ることができます。また常設展では、門外不出のレンブラントの大作《夜警》を鑑賞。オランダ美術館巡りの旅をレポートします!

2023.02.20

よみもの

『レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才』東京都美術館 「きものでミュージアム」vol.20

「きものでミュージアム」 in オランダ

アムステルダム国立美術館前)アムステルダム国立美術館前

アムステルダム国立美術館前
ミュージアム広場側には《婦人と召使い》の一部拡大ポスターが

オランダ、アムステルダム国立美術館で開催中の”史上最大”と言われるフェルメール展、そしてレンブラントの《夜警》などを観るために、2月下旬にオランダを旅しました!

今回は「きものでミュージアム」番外編として、その旅の様子をレポートします。

ヨハネス・フェルメール《取り持ち女》

ヨハネス・フェルメール《取り持ち女》1656、ドレス デン国立古典絵画館蔵
左の男性はフェルメールの自画像だという説もある

ヨハネス・フェルメール Johannes Vermeer(1632-1675)は、オランダ・デルフト出身の、非常に寡作な画家。

現在も真贋が分かれる作品を含め、現存するものはわずか30数点。今回のフェルメール展では、そのうちなんと28点が各国より集結し、世界中の美術ファンの熱い視線を集めています。

チケットは完全予約制で当日券はなく、2月10日の開幕直後に会期終了6月4日までのチケットがすべて売り切れました。

その後、開館時間を延長し追加チケットが販売されましたが、システムダウンするほどの人気で即完売。私は幸運なことに1月中に2日間のチケットを予約することができました。

久しぶりの海外旅行、実はきものを着るようになってから初めての海外です。もちろん、きものを持って行きましたよ!「きものでミュージアム in オランダ」、みなさまも旅行気分でお楽しみください!!

テンション最高潮!

アムステルダム国立美術館前

アムステルダム国立美術館前、アムステルダム中央駅側
《牛乳を注ぐ女》と《赤い帽子の女》の一部拡大ポスターが

アムステルダム国立美術館前には、フェルメール作品の部分拡大ポスターが!作品全図ではないところにセンスがありますね。まるで「こんな一部分だけでもフェルメールの作品と分かるでしょう?」と言っているようです。

美術館入口は「フェルメール展」と「常設展」に分かれていました。入口で渡される入場券代わりの青いアームバンドを付け、青いラインに沿って進むといよいよ会場です。

階段を上ったところに会場が

階段を上ったところに会場が

エントランスビジュアルは、フェルメール作品に登場するあの窓!否が応でもテンションが上がります。

エントランスビジュアル

エントランスビジュアルはあの窓!

作品はテーマ別に展示されていました。

まずは、《デルフトの眺望》と《小路》が静かに迎えてくれます。

ヨハネス・フェルメール 《デルフトの眺望》

ヨハネス・フェルメール 《デルフトの眺望》1660-61、マウリッツハイス王立美術館蔵

ヨハネス・フェルメール《小路》

ヨハネス・フェルメール 《小路》1658-59、アムステルダム国立美術館蔵

展示室の天井が高く、入場は予約した人のみと人数が制限されているせいか、窮屈に感じるほどではありません。

作品の前には柵が設置されていますが、少し待てば最前列で鑑賞することができます。

会場展示風景

会場展示風景

とはいえ、人気作品の前には何重も人の輪ができていました。特に《真珠の耳飾りの少女》と《牛乳を注ぐ女》の前は混雑していました。

《真珠の耳飾りの少女》の前はひとだかり

《真珠の耳飾りの少女》の前はひとだかり

ヨハネス・フェルメール 《真珠の耳飾りの少女》

ヨハネス・フェルメール 《真珠の耳飾りの少女》1664– 67、マウリッツハイス王立美術館蔵

ヨハネス・フェルメール 《牛乳を注ぐ女》

ヨハネス・フェルメール 《牛乳を注ぐ女》1658-59、アムステルダム国立美術館蔵

フラッシュは禁止ですが、作品を撮影することはできます。スマホやカメラで作品を撮影している人がたくさんいました。

ヨハネス・フェルメール 《リュートを調弦する女》

ヨハネス・フェルメール 《リュートを調弦する女》 1662–64、ニューヨーク・メトロポリタン美術館蔵

フェルメールの醍醐味は細部に

フェルメール作品のすばらしさのひとつは、質感の描き分けです。

特に布の描き分けはすばらしく、例えば《窓辺で手紙を読む女》では、左右のカーテン、女の洋服、手前に置かれた布、それぞれの微妙な質感の違いが見事に描き分けられていました。

ヨハネス・フェルメール 《窓辺で手紙を読む女》

ヨハネス・フェルメール 《窓辺で手紙を読む女》1657- 58、ドレスデン国立古典絵画館蔵

肉眼で観るときと、単眼鏡で観るときの観え方の違いもとても興味深いです。単眼鏡で観ると洋服のヒダや髪の細かいカール、手前の布の模様や色使いまでをくっきりと観ることができます。最初は少し離れたところから全体を観て、次に肉眼で近くから楽しみ、最後は単眼鏡で細部まで味わい尽くす……と時間をかけて鑑賞しました。

今回、家族と一緒だったのですが、娘が単眼鏡での鑑賞に目覚め、じっくり観ていたのが母としてうれしい点でした。単眼鏡が取り合いでしたので、もうひとつ購入を検討しようと思います。

各美術館の主役や門外不出の作品も

驚いたのは、世界各国の美術館における主役級の作品や、普段は”門外不出”とされている作品も出展されていることです。

有名なところでは、マウリッツハイス美術館の《真珠の耳飾りの少女》。また同館からは《デルフトの眺望》と《ディアナとニンフたち》も来ています。

※《真珠の耳飾りの少女》は3/30までの展示、4/1からは再びマウリッツハイス美術館に戻り展示されます。

ニューヨークのフリック・コレクションからは、門外不出とされている《士官と笑う娘》と《婦人と召使い》、《中断された音楽の稽古》の3点が。フリック・コレクションが長期改装中であるから実現したようですが……とても驚きました。

ヨハネス・フェルメール《婦人と召使い》

ヨハネス・フェルメール《婦人と召使い》 1665–67 フリックコレクション蔵

《天秤を持つ女》はワシントン・ナショナル・ギャラリーの主役級です。この作品は来日したこともなく、今回観るのが初めてでとても楽しみにしていた作品のひとつです。

ヨハネス・フェルメール《天秤を持つ女》

ヨハネス・フェルメール 《天秤を持つ女》 1662–64 ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵

会場に行けなくても細部まで味わえるHP

壁の作品解説

展示室の壁には最新の研究によるポイントを絞った作品の解説。解説も公式サイトで読めます。

アムステルダム国立美術館の公式サイトでは「クローズアップ・フェルメール(Closer to Johannes Vermeer)」と称して、最新の技術を駆使した最高画質のズームアップでフェルメール作品のディテールを観ることができます。

作品の解説もありご自宅にいながら鑑賞できますので、ぜひ一度ご覧ください。

クローズアップ・フェルメール(Closer to Johannes Vermeer)
https://www.rijksmuseum.nl/en/johannes-vermeer

常設展ではレンブラントの《夜警》を

フェルメール展を鑑賞した後は、常設展に移動。

「何はともあれレンブラント」です!

いつかは門外不出の《夜警》を観たいとずっと思っていました。真っ先に《夜警》が展示されるエリアに移動しました。「Gallery of Honour(名誉の間)」と呼ばれるその一番奥に、展示されていました。

レンブラント・ファン・レイン 《夜警》

レンブラント・ファン・レイン 《夜警》1642 アムステルダム国立美術館蔵

大きさも作品のすばらしさも、他を圧倒しています。

この1点を観るためだけでもここに来る価値があります。しばらくは何も言えず、ただただみつめるだけ……

常設展はとても広く、17世紀オランダ黄金期の絵画を中心にとした作品の数々が展示されています。2日間行きましたが、まだまだ時間が足りませんでした。

レンブラント・ファン・レイン《織物商組合の幹部たち》

レンブラント・ファン・レイン《織物商組合の幹部たち》 1662 アムステルダム国立美術館蔵

実は私が美術鑑賞に目覚めたきっかけは、レンブラントなのです。以前の回でも登場しますので、ぜひご覧ください。

2022.03.09

よみもの

『メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年』 国立新美術館「きものでミュージアム」 vol.8

フェルメール展スペシャルメニューを

常設展のミュージアムショップの上にカフェが

常設展のミュージアムショップの上がカフェ

鑑賞後は、館内のカフェでフェルメール展スペシャルメニューに舌鼓を。この日、カフェは閉館の1時間後まで開いていました。

《牛乳を注ぐ女》のパンプディング

《牛乳を注ぐ女》のパンプディング

《牛乳を注ぐ女》のパンプディングは、ミルクソースをかけて食べるスタイルです。

《牛乳を注ぐ女》になった気分でたっぷりかけて。閉館まで美術館を歩き回って疲れた身体に甘いデザートはうれしいですね。

カフェのメニュー

カフェのメニュー

ビールを片手に

とてものどが渇いたのでハイネケンも。オランダと言えばハイネケンです。

オールドダッチ風ミックスプレートはおつまみにぴったりでした。

オールドダッチ風ミックスプレート

オールドダッチ風ミックスプレート

ほかにも美術館を巡って

マウリッツハイス美術館

マウリッツハイス美術館

マウリッツハイス美術館

アムステルダムから電車で約1時間のハーグにある美術館。フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》などを所蔵する。

ファン・ゴッホ美術館

ファンゴッホ美術館

アムステルダム国立美術館に隣接する美術館。ゴッホ作品絵画205点、デッサン約500点、その他スケッチブックや手紙などを所蔵する。ゴッホの《ひまわり》《アーモンドの花咲く枝》で有名。

ユトレヒト・セントラル・ミュージアム

ブルーナさんのアトリエの着物姿のミッフィー

ブルーナさんのアトリエの着物姿のミッフィー

ユトレヒトはミッフィー作者のディック・ブルーナさんの故郷。ブルーナさんのアトリエが再現されている。

最後に

28点ものフェルメール作品が一堂に展示される様子は、とにかく壮観で……夢のような鑑賞体験でした。もう二度と経験することはできないでしょう。

本当に、はるばる行った価値がありました。美術館賞に目覚めてからの30数年のなかでも、とりわけ心に残る体験の1ページとなっています。

今回の旅では、アムステルダム国立美術館に2回、また、ファン・ゴッホ美術館、ハーグのマウリッツハイス王立美術館、ユトレヒトのミッフィ・ミュージアムとユトレヒト・セントラル・ミュージアムに行きました。

そしてレンブラントの《夜警》は修復作業中でしたので、額から外され作業用の足場が設置されての鑑賞でした。修復完成後、きっとまたいつの日か鑑賞に訪れたいものです。

最後に……

美術館巡りに付き合ってくれた夫と娘に感謝したいと思います。ありがとう!

この日の装い

レンブラント《夜警》をバックに

レンブラント 《夜警》をバックに

今回、初めて海外できものを着てみて驚いたのは、全く違和感がなかったことです。

オランダの古い街並みや美術館には、きものがとてもマッチしていました。

そしてうれしいことに、1日に5~6人の方から「きれい!」(もちろん、きものが…)と声をかけられ、とてもいい気分でした。今まで生きてきたなかで一番「きれい!」と言われた2日間だったかもしれません。海外の方とお話しするきっかけにもなり、苦労して持って行った甲斐がありました。

この日の装い1

フェルメールにちなんだブルー系コーデ

今回のコーディネートは、フェルメール展なので、やはりブルー系にしたくて。

もし汚しても目立たないように濃い色のもの、日本らしい意匠のもの、オランダとフェルメールを意識したもの……と考えました。

この日の装い 帯回り1

帯回り1

この日の装い 帯回り2

帯回り2

濃紺の飛び柄小紋に箔屋清兵衛 (陰山織物)の名物裂文様のブルー系の帯、そしてもう一本、チューリップの西村織物の博多帯を持ちました。帯締めは、道明組紐教室で組んだ自作の御岳組の帯締めです。

2011年Bunkamura ザ・ミュージアムの『フェルメールからのラブレター展』で購入した《手紙を読む青衣の女》の限定チャームを帯飾りに。

旅行には携帯用の薄手のたとう紙と、折り畳み式きものハンガーが便利でした。そして薄手の柔らかい衣裳敷きがかさばらず、役立ちます(風呂敷やレジャーシートでも代用できます)。これらは国内旅行の時にも使えますね。ぜひ参考にされてください!

ITEM

記事に登場するアイテム

携帯用たとう紙1枚組 着物用

着物ハンガー スライド伸縮式/帯掛け付き

衣装敷(衣裳敷) 不織布

衣装敷(衣裳敷) 高級和紙 100cm×150cm

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