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欠けては成り立たないもの。 歌舞伎俳優 尾上右近さんの愛用品

欠けては成り立たないもの。 歌舞伎俳優 尾上右近さんの愛用品

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ミュージカルに映画、ドラマにバラエティーと、活動の幅を広げるなか、歌舞伎座でも大きな役を勤めるなど目が離せない存在の尾上右近さん。インタビュー前後編では、芸事と着物の粋、歌舞伎への想いについてうかがいました。最後となるこの回では、右近さん愛用の品々をご紹介します。

2023.02.25

インタビュー

先達の姿から“粋”を知る― 歌舞伎俳優 尾上右近さん(前編)

2023.03.02

インタビュー

己より長く生きるものを継承する。 歌舞伎俳優 尾上右近さん(後編)

道明の羽織紐

”尾上右近””歌舞伎””紬”

道明という組紐の老舗がありまして、そちらの羽織紐です。ご贔屓さんからいただきました。

カラフルで可愛らしいので、ワンポイントにちょうどいいんですよね。僕は地味な色合いの着物を着ることが多いので、付け外しの利く羽織紐で華やかさをコントロールするんです。そういう便利さも含めてお気に入りのアイテムですね」

”道明””羽織紐””尾上右近”

2017.12.20

まなぶ

有職組紐 道明

”尾上右近””歌舞伎””羽織裏”

羽裏にはシケ引きのものを

チーターが走る帯

”尾上右近””歌舞伎””帯”

「こちらもいただきものかな。獣が走っている図柄で遊び心があります。稽古着の帯としても締めているもので、まさに愛用品と言える一番身近なアイテムですね」

草履と足袋

「草履もいただきものです。浅草の草履屋さんのものだと思います。

僕の好きな草履の雰囲気は、かかとが出て、いわゆるつま先で引っかけて履いているような感じのもの。そして、これくらい幅が狭くてタイトなものが好みです。サッと履いて、サッと脱ぐ動作がサマになる、といいますか。

紋付では鼻緒は白が基本ですが、今日のような着物のときは鼻緒にも色が入っているものを選びますね」

”尾上右近””足袋””草履”

「足袋については、ブカブカなのは自分でもイヤだし、厄介なことに、人様のことも気になってしまうんです。

「最近、着物を着始めて」という方がいらしたら僕としてはうれしくて、「どんどんハマったほうがいいよ!」なんて言いながら、つい足元を見てしまう。そこで足袋がブカブカだと「ん? これはちょっと締まらないな…」と(笑)。

僕自身、着物のことはそこまでわかっていない、なんて言っておきながら、足袋のサイズ感にだけは厳しくなってしまうんです」

”尾上右近””足袋””草履”

「これはもう、職業病かもしれません。僕ら役者の場合は、足袋もオーダーメイドなので、ピッタリで当たり前なんですよね。

さらに素材はナイロンではなくて、綿であってほしい…と、主張しながらも、僕も清元のときはナイロンのストレッチ性のあるものを履いています。足がシビれてしまうので(笑)」

襟止め

”尾上右近””歌舞伎””紬”

「僕らの職業にとってのマストアイテムでしょうね。インタビューでもお話ししましたが、襟の合わせが大事ですから。

襟止めを忘れたときの後悔と絶望はすごいです。己を責め、狼狽します」

襟止め

写真提供:尾上右近

「安全ピンでしのぐ方法もあるんですが、やはり別もの。しかも、着物と襦袢とで2つ必要なのに、一番なくしやすいアイテムでもあるんです。

壱太郎さんなんて、お祖母さまからの誕生日プレゼントが襟止め20個だったらしいですよ(笑)。しょっちゅうなくすからと。それくらい、なくてはならないものです」

2021.03.06

インタビュー

俳優の心意気として、自前で衣裳を。 歌舞伎俳優 中村壱太郎さん(後編)

中村壱太郎さんから贈られた根付け

「こちらの根付けは30歳の誕生日に壱太郎さんからプレゼントされたものです。今年1月の国立劇場での新春歌舞伎公演中、芸者のお役で舞台にあがったとき、この根付を付けて出ていました」

”尾上右近””中村壱太郎””根付”

写真提供:尾上右近

2021.03.26

インタビュー

お金をかけるなら舞台衣裳に。 歌舞伎俳優 中村壱太郎さんの愛用品

女方は私物を舞台で使うチャンスが多いかもしれないですね。相手方の手ぬぐいを使うこともありますし、ご贔屓の方からいただいたものでも、簪など、役柄であればそのまま舞台で使えます。根付けも同じたぐいですね。

立役になりますと、キセルなどの小道具系はありますが、身につけるものとしては少ない」

”尾上右近””歌舞伎””紬”

「印象的だったのは、『切られ与三』を松本幸四郎のお兄さまがなさったとき、衣裳が御自前だったこと。染め具合にこだわって高知の呉服屋さんでおつくりになったとか。

なるほど、衣裳で着る着物を自作するとはこういう感じか、と勉強させてもらいました」

聞き手/九龍ジョー
構成/渋谷チカ
撮影/グレート・ザ・歌舞伎町
ヘアメイク/白石義人(ima.)
撮影協力/KINGSTON

公演情報

”三月花形歌舞伎””尾上右近””仮名手本忠臣蔵”

現在、京都南座では「三月花形歌舞伎」が開幕し、平成生まれの歌舞伎俳優5人が中心となって舞台を盛り上げています。
今回、中村壱太郎さんと尾上右近さんのダブルキャストでお送りしている演目は『仮名手本忠臣蔵』の五段目・六段目。
上演前に『仮名手本忠臣蔵のいろは 大序より四段目まで』と題した解説が入り、壱太郎さんが早野勘平を演じるAプロでは上方式、右近さんが勘平を演じるBプロは江戸式と、演出の違いも見所です。

チケットなどの詳細はこちらのサイトをご参照ください。

「歌舞伎美人 三月花形歌舞伎」
南座 ●3月4日(土)〜26日(日)
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kyoto/play/806

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