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京藍染師 松﨑陸さん【YouTube連動・体験編】「元芸妓 紗月が聞く!京都、つなぐ世代」vol.12(最終回)

京藍染師 松﨑陸さん【YouTube連動・体験編】「元芸妓 紗月が聞く!京都、つなぐ世代」vol.12(最終回)

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京都西山の大原野地区を訪問中の紗月さん。京藍染師の松﨑陸さんに教わりながら、ハンカチの藍染めを体験!真っ白な生地が爽やかなブルーに変わる不思議な瞬間を、ぜひご覧ください。同年代の紗月さんと松﨑さんの微笑ましいツーショットも必見です!

2023.02.07

まなぶ

京藍染師 松﨑陸さん【YouTube連動・インタビュー編】「元芸妓 紗月が聞く!京都、つなぐ世代」vol.11

白が青に染まるとき。紗月さんの藍染体験【Youtubeリンク】

MCの紗月さん

794年から約1000年に渡り、日本の都として栄えた京都。その間に育まれた独自の文化や伝統は、今も耐えることなく街の中に息づいています。そこには、いつの時代も“伝統文化の担い手”として切磋琢磨してきた人々の姿がありました。

2015年から2021年まで祇園甲部の人気芸妓として活躍した紗月さんがMCを務め、代々家業を受け継ぎ、また次の世代に引き継ぐべく奮闘されている方々に“老舗を守りつなぐお話”を伺います。

前回からお話を伺っているのは、京藍染師の松﨑陸さん。

松﨑さんは自身が生まれ育った京都西山の大原野(おおはらの)地区にあるシェアスタジオ「OHARANO STUDIO」を拠点に京藍の魅力を発信しています。

紗月さんと京藍染師・松﨑陸さん

今回は、スタジオのすぐそばにある染色工房に潜入。MCの紗月さんが、松﨑さんにコツを教わりながら藍染を体験します。

ちなみに、二人は同世代。撮影中にすっかり打ち解けた二人の微笑ましいツーショットにも注目です!

更紗文様の藍の着物でお出迎え。今回もよろしくお願いします♪

更紗文様の藍の着物でお出迎え。今回もよろしくお願いします♪

藍染に必要不可欠な“空気”

松﨑さんの藍染工房

ここが、松﨑さんの藍染工房。普段から作業はもちろん、ワークショップを開くことも。

松﨑さんの工房はまさに白と青の世界。白い布、ホワイトボート、青い桶など、見渡す限り白色と青色のものが集まっています。

紗月さんが持っているハンカチを染めていく

今回は紗月さんが持っている真っ白なハンカチを染めていきます!

一体どんな風に染まるのでしょうか……

水は最初に浸す用と、染液を洗い流す用の二種類を用意

水は最初に浸す用と、染液を洗い流す用の二種類を用意

さっそく藍の染液に浸すのかと思いきや……最初に浸すのはなんとこちらの水!

松﨑さん曰く、乾いた状態から染液につけると色ムラができてしまう、とのこと。布全体にまんべんなく染液を浸透させるためには、まず水に浸す作業が必要なのです。特にハンカチの縫い目などには空気が溜まりやすいため、しっかり丁寧に浸していきます。

次はいよいよ、こちらの染液に……

あれ?全然青色じゃない!と思うかもしれません。

染液を入れた桶の中はこんなに真っ暗。紗月さんのシルエットが映ってます

染液を入れた桶の中はこんなに真っ暗。紗月さんのシルエットが映ってます

実は染液自体が青色なわけではなく、染液につけた布は空気に触れて初めて青色になります。アルカリ性の染液が空気に触れ、酸化することで色が定着するのだそう。

それでは実際に、色の変化をみていきましょう!

なんの匂いだっけ?

なんの匂いだっけ?

空気が入らないようにすーっと染液につけたら、3分ほど中でじゃばじゃばと動かし続けます。

紗月さんは「あっ、ぬるぬるする!それに、嗅いだことのある香り……」と何か既視感を覚えた様子。なんだろうなんだろうと考えた末に「あっ、あれあれ!酵素風呂!」とようやくひらめきました。

あ、ひらめいた!

あ、ひらめいた!

工房に漂う独特な香り。それは、染液の素となるタデ藍を発酵させた香り。酵素風呂も米ぬかやおがくずを発酵させた時の熱を利用しているため、同じような香りがするのでしょうか。

この香りはマムシ除けにもなるそう。また染液に浸したものは燃えにくくなるため、火縄銃の火縄は藍染されているんだそうです!

染液から出した直後の布

染液から出した直後の布はこんな色

藍染に関する色んな知識を教えてもらっていたら、あっという間に3分経過。染液から取り出すと……

茶色のような、緑色のような色に布が染まっています!

これを絞らず、今度は水の中へ。

再び水の中で布をじゃぶじゃぶ動かすと

染液に浸した布を水の中でじゃぶじゃぶと洗っていきます。色がすでに変化していっているのがお分かりでしょうか。

先ほどまでの暗い色がどんどん鮮やかになり、桶の色と同化しています。

空気を取り入れた瞬間、青色に!

そして空気にふれた瞬間、美しい青色に!

水の中から取り出すと、ほら !こんなに綺麗な青色に。

全体がムラなく綺麗に染まっています。松﨑さんから「天才ですね」というお言葉もいただきました!

紗月さんご自身も、初めてでこんなに綺麗に染まるとは思いも寄らず大興奮!白から青に変わる化学変化に魅せられ、いろんなものを染めたくなったご様子……

松﨑さんの真っ白なTシャツを見て、

「そのTシャツ、染めさせてもうてもいいですか?(笑)」

染め終わったハンカチと記念撮影!

「これ?!いや、裸になるじゃないですか!」

と松﨑さんも思わずツッコミを入れて、撮影スタッフ一同大爆笑のうちに体験が終了いたしました♪

藍染は一年仕事。染液ができ上がるまで

染液の作り方を説明する松崎さん

工房がある大原野地区に畑を所有する松﨑さん。3月に種まきをし、7月から9月に収穫。タデ藍の茎と葉っぱを分けたらしばらく乾燥させます。

そして、乾燥させた葉っぱに水をかけると、葉っぱの温度が70度まで上がり、発酵し出すそう。それを冷まさないように布団などで包み、約100日間放置する間に乾燥葉がどんどん堆肥に変わってくるといいます。

堆肥化したタデ藍5キロを使った染液

堆肥化したタデ藍5キロを使った染液

こうして、ようやく染料が完成!これを約5キロ使ったものが、今回作った染液となります。まさに一年仕事です。

布を一度染めたら干して乾かします

また、今回の藍染体験では一度しか染めませんでしたが、本来は染めて、水洗いしたら干して、また染めて……という作業を何度も繰り返すとのこと。

熱湯につけて、布についたアクを抜く作業も必要。例えば、ハンカチなら1か月、Tシャツだったら2か月ほど完成までに時間を要するそうです。

紗月さんと松﨑さんの手の比較

そうこうしているうちに、松﨑さんの手は青く染まっていきます。紗月さんの手にも一度的に青く染まりましたが、洗うとスッキリ色が落ちました。

スタジオに戻り、最後におなじみの質問を。

「松﨑さんにとって京藍とは?」

松﨑さんが書いた色紙

色紙に記されたのは、「生き方」という力強い三文字でした。

前回、江戸時代に一度途絶えた京藍を復活させるべく奮闘した人が道半ばでこの世を去ったというお話をしてくれた松﨑さん。その生き様に松﨑さんはいたく共鳴し、自分もそうなりたいと思ったそう。

「江戸時代にいた人の意志を令和の時代にいる僕が勝手に受け継いで、京藍を復活させようとしている。だから京藍は僕にとって、目指すべき精神的な生き方そのものです」

最後に記念撮影

松﨑さん、貴重なお話と体験をありがとうございました!

今回の訪問を振り返り、紗月さんはーー

「藍染の工程の多いことにびっくりしました。そして、松崎さんの「京藍を広めたい」という熱い情熱に心を打たれました。若い人にどんどん京藍の良さが伝われば、と思います!」

体験で染めたハンカチと紗月さん

今回でこの連載は最終回。毎月楽しみにしてくださっていた読者の皆様、一年間本当にありがとうございました。

お別れは寂しいですが……

紗月さんの新シリーズの撮影がもうすぐはじまります!乞うご期待ください!

紗月さんファン必見!オフショット

松﨑さんに会うため、素敵な藍のきもので撮影にお越し下さった紗月さん

松﨑さんに会うため、素敵な藍のきもので撮影にお越し下さった紗月さん

初の藍染体験!楽しみです

初の藍染体験!楽しみです

きものが汚れないよう体験中は割烹着姿に

きものが汚れないよう体験中は割烹着姿に

松﨑さんがとっても丁寧に染め方を教えてくれました

松﨑さんがとっても丁寧に染め方を教えてくれました

綺麗な青に染まったハンカチに大感動の紗月さん。天才と言われて嬉しそう♪

綺麗な青に染まったハンカチに大感動の紗月さん。天才と言われてうれしそう♪

発酵風呂の匂いがする手を嗅いでいます

発酵風呂の匂いがする手を嗅いでいます

藍染したストールはこうやって羽織ったり
首に巻いたりと使い道抜群!プラスするだけでとってもおしゃれに

首に巻いたりと使い道抜群!プラスするだけでとってもおしゃれに

最後にお話を聞くのは、こちらのアーティスティックな和室

最後にお話を聞くのは、こちらのアーティスティックな和室

お話を聞く紗月さん、真剣な眼差しです

お話を聞く紗月さん、真剣な眼差しです

色紙を書いてくださっています

色紙を書いてくださっています

笑顔の絶えない撮影も終了!最後はすっかり仲良くなった二人なのでした

笑顔の絶えない撮影も終了!最後はすっかり仲良くなった二人なのでした

また紗月さんの笑顔に会える日をお楽しみに!

また紗月さんの笑顔に会える日をお楽しみに!

文章/苫とり子
撮影/弥武江利子

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