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ジャニーズの若手たちが織り成すミュージカル活劇 『まくをおろすな!』 「きもの de シネマ」vol.23

ジャニーズの若手たちが織り成すミュージカル活劇 『まくをおろすな!』 「きもの de シネマ」vol.23

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銀幕に登場する数々のキモノたちは、着こなしやコーディネートの良きお手本。せっかくなら、歌舞伎やコンサートみたいに映画だってキモノで愉しみませんか。2023年最初の作品は、歌あり、ダンスあり、殺陣ありの新感覚☆時代活劇『まくをおろすな!』です。

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2022.12.08

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歴史好きも唸る!一風変わったバディもの

寒中お見舞い申し上げます

ごきげんよう、椿屋です。
本年もすてきなお召し物がたくさん登場する映画を、「きものと」ならではの視点でご紹介してまいります。

©「まくをおろすな!」製作委員会

©「まくをおろすな!」製作委員会

さて、今年第一弾となる作品は、ふぉ~ゆ~の越岡裕貴さんのスクリーンデビューとなる記念すべき一本です。彼を筆頭に、寺西拓人さん、原嘉孝さん、高田翔さん、室龍太さんらジャニーズ事務所の面々が大暴れ&大活躍!加えて、工藤美桜さんが越岡さんのバディとして出演されています。

個人的には、ナレーションを担当されている声優の関智一さんが楼主として登場されるシーンが胸アツだったのと、先日番組(KBS京都「SUNNY TIME」)にて生放送をご一緒させていただいた岸谷五朗さんが吉良上野介義央を演じてらっしゃったのが胸キュンでございました。

とくに、岸谷さん扮する吉良は、これまでの史実からは考えられないような突拍子もない役どころ。宿敵・浅野内匠頭長矩(清水順二)との松の廊下におけるやりとりは必見です。

©「まくをおろすな!」製作委員会

原案は、演劇ユニット「30-DELUX」の舞台。

同ユニット主宰者でもある清水さんが映画初監督を務められました。それゆえ、実際の劇場で撮影したミュージカルシーンがふんだんに挿し込まれ、舞台と映像が融合するこれまでにないエンターテイメント作品に仕上がっています。

時は、五代将軍徳川綱吉の世。戦はなくなったとはいえ、多くの侍が職を失い貧富の格差は酷く、疫病が蔓延しているお江戸で、人々は「生類憐みの令」に苦しめられ、ベストセラーとなった『曽根崎心中』による影響から心中ブームの真っ只中。

そこに登場するのが、心中コーディネーターを名乗るブン太こと紀伊国屋文左衛門(越岡裕貴)と相棒のモン太こと近松門左衛門(工藤美桜)です。

©「まくをおろすな!」製作委員会

©「まくをおろすな!」製作委員会

彼らのコンセプトは、「人生の幕は自分でおろすな」

人助けのため一芝居打っていたふたりは、溜まり場のどっぐかふぇ「いずもや」で赤穂浪士の仇討ち計画を知ることになります。そこで、誰の命も落とさせずに仇討ちを成功させられないか、と一計を案じるのです。

©「まくをおろすな!」製作委員会

©「まくをおろすな!」製作委員会

トンデモ設定、丁々発止のデラックスな時代活劇は、ユニークなキャラクターと型破りなセリフ回しで進んでいきます。

「社会的距離をとろう」「密になるな」といった時事的要素の台詞も取り入れられ、「吉良の趣味はジョギング」「浅野内匠頭はサイコパス」など、すゑひろがりずも吃驚なカタカナ語の多用で独自の世界観を構築している点も本作の特徴。

そして、最大の魅力が、派手で華やかな迫力重視の“魅せる殺陣”です。スピーディな応酬、どうぞ眼を見開いてご堪能ください。

キモノの可能性が見える!多彩なアレンジ

加えて強烈なインパクトで観る者の目に飛び込んでくるのは、数々の奇抜ともいえる衣装です。

ブン太の南蛮ぽいデザインや、松尾芭蕉(竹中直人)のカラフルな襟巻に革の手袋というスマートな出で立ち(しかもすてきな耳飾りまで!)や、スニーカーやブーツを合わせるポップなコーディネートなどなど。

とにかく、イマドキの攻めた衣装の存在感が登場人物たちをひと際輝かせます。

©「まくをおろすな!」製作委員会

©「まくをおろすな!」製作委員会

LiLICoさんのゴスロリ調の衣装だけでなく、例えば、帯の代わりに紐を使ったり、そもそも帯を結ばず巻いただけだったり、プリーツのスカートを合わせたり、シャツやタートルをインしたり。ミニ丈にヒールという組み合わせに至っては、キモノの概念をも取っ払ってしまう勢い。

けれど、どれもこれも、やはりキモノ。ちゃんとキモノに見えるのです。であれば、まだまだキモノは捨てたもんじゃないのではないかしら。

古風な趣も伝統も、もちろん大切です。けれど、着る人がいなくなってしまったらキモノの存在価値はなくなってしまいます。博物館に飾られるだけになってしまったら哀しいからこそ、まずは袖を通すところから。

そう考えると、『まくをおろすな!』がキモノを遠巻きに、ときには憧れをもって、眺めているだけの若者たちへのいい刺激になってくれるのでは……と、願わずにはいられません。

©「まくをおろすな!」製作委員会

着やすいように、ラクなように。それでいて、お洒落に、愉しく。

衿元やおはしょりが少々ぐっさりしていたって、かわいければいいことだってあります。フリルをあしらったり、レースをひらひらさせたり。犬屋敷郎府(室龍太)のようにぬいぐるみを付けまくったって、似合っていればOK!

過剰な装飾や斬新な意匠に目くじら立てず、どうかご受容ください。

©「まくをおろすな!」製作委員会

©「まくをおろすな!」製作委員会

ちなみに、わたくしが最も心躍らせたのは、幕政に不満を抱き謀反を起こす軍学者・由井正雪率いる「雪斬り六人衆」の真っ白なフード付きのロングコートでございます。

ハードな殺陣とともに翻る裾、フードからちらりと覗く仮面、白に散る鮮血の赤……嗚呼、美しい敵役がいかに不可欠、か解ろうというもの。

ぜひみなさまも、目の法楽となるひとときを劇場でお過ごしくださいませ。

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