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先駆ける春を装う如月 「月々の文様ばなし」vol.11

先駆ける春を装う如月 「月々の文様ばなし」vol.11

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寒さに身を縮ませてあれこれ着込んでいたのも、ある日を境に、明るい色目が好ましく思えるようになる時期。着物の素材の温かさはそのままに、明るい色や早春の文様を装って、一足早く春を招き入れたいものですね。

2022.12.21

まなぶ

晴れやかに新年を祝う睦月 「月々の文様ばなし」vol.10

季節のめぐりを感じさせる文様を身につけて

寒さ厳しい大寒を過ぎれば、節分、そして立春という季節の大きな分かれ目を迎える二月。

立春大吉。

体調もなかなか活発にとはいかない時期ですが、季節のめぐりを感じさせる文様を身につけることで、先駆ける春のパワーをも取り入れたいと願うころです。

春に先駆けて装いたい「氷裂(ひょうれつ)文」

如月の文様 「氷裂(ひょうれつ)文」

氷がひび割れて裂ける現象のような不規則な幾何学文様を「氷割れ」といいます。

「氷裂(ひょうれつ)文」という呼び方もあり、江戸小紋など、小紋染めの着物にみられます。

梅の図柄と組み合わせたものもあり、春に先駆けて装いたい文様のひとつですね。

通好みの洒落ものの絵柄「節分」

如月の文様 「節分」

二月に入ってほどなく迎える「節分」。

その風物を文様化したものの代表といえば、鬼やお福の顔や面、そして豆撒きにちなんだ福豆の絵柄などでしょうか。

江戸時代に流通した大津絵によく登場するユニークな鬼の絵が、染めや綴れ織りの帯などに見られますが、通好みの洒落ものとして好まれています。

品格ある絵柄から愛らしいデザインまで「梅」

菅原道真公の有名な一首、「東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」。

立春のころからそこここで咲きはじめる「梅」の花は、その芳しい香りとともに、古くから人々に愛でられ、吉祥文様としても意匠化され、家紋にも数多くの図案がみられます。

如月の文様 「梅」1
如月の文様 「梅」2

梅ヶ枝、梅鉢、裏梅、ねじ梅、利休梅、におい梅など、さまざまな種類と呼び名があります。

手描きの品格ある絵柄から愛らしいデザインまで幅広くあり、着物や帯はもちろん、羽織や襦袢、小物にいたるまで、和装ではふんだんに用いられている文様のひとつですね。

パッと人目を引く「椿」

冬枯れの景色の中で、艶のある緑色の葉と、赤や白の花がパッと人目を引く「椿」の花。

如月の文様 「椿」

日本原産の植物で、現代ではたくさんの種類がありますが、染織の世界でも数多く図案化されています。中でも江戸時代の茶人小堀遠州が好んだという遠州椿文様は有名で、染めだけでなく織りの文様としてもよく用いられている図案です。

椿は、種類を違えて、咲く花の期間が長いことから、冬の終わりから春の間中装うことができる花文様です

寒さに身を縮ませてあれこれ着込んでいたのも、ある日を境に、日増しに明るくなってゆく陽射しに刺激を受けてか、明るい色目が好ましく思えるようになる時期です。

着物の素材の温かさはそのままに、明るい色や早春の文様を装って、一足早く春を招き入れたいものですね。

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