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レトロとモダンの共鳴 「きもので歩く台北 2022」vol.8

レトロとモダンの共鳴 「きもので歩く台北 2022」vol.8

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きもので旅に出る、旅にきものを持参する、そう考えただけでワクワクしませんか?どんな街に、どんなシーンに、どんなきもので?東京から飛行機で約3時間の台湾・台北。人気の観光地やおすすめのスポットを、ふらりきものでご紹介するシリーズも8回目となりました。あなたならどんな装いで愉しみますか?

「きもので歩く台北2022」と題して、着物仲間と毎月、台北近郊をふらり出かけてきたシリーズも8回目。

2022年も残すところあと2ヶ月をきりました。

東京から飛行機で約3時間の台湾・台北。

あなたならどんな装いで愉しみますか?旅の計画のご参考になればうれしいです。

臺北市立美術館、再び

臺北市立美術館

今回着物でお出かけした場所は、以前にも「きものと」でご紹介したことがある臺北市立美術館(通称 北美館)です。

2021.08.14

よみもの

着物姿でアートの一部になる 「台湾きものスタイル考」vol.8

台北には大小さまざまなギャラリーがありますが、こちらは現代アートを展示する美術館 として1983年にオープンした公立の美術館。広々とした空間と特徴的な出窓のデザインをもつ、私のお気に入りスポットです。

在住歴の長いゆりえさんがまさかの初訪問。意外と穴場なのかもしれません。

意外と穴場スポット?
オーダーメイドのレース着物

今回私たちは、インターネットにてオーダーしたレース着物を着て美術館へ。

寸法を細かく指定してのお誂えはkimonokotokoさんにお願いしたもの。残念ながら、今は体調を崩されていて受付休止中だそうで、1日も早い回復とオーダーの再開が待たれます。

レース着物の着こなし三者三様

カラー襦袢を透けさせる着こなし

陳さんはレースの素材を活かし、カラー襦袢を透けさせる着こなし。

カラー襦袢は仕立て上がり品のため、丈調整が出来ないことが難点ですが、短めの丈でも足が透けないようにブーツを合わせることで、軽快なコーディネートに仕上げていました。

レースのワンピースの様な上品さ

ゆりえさんは、陳さんと同じレース生地の色違い。

水色のレースの繊細さを活かす白のレース半衿と白い塩瀬の染め帯で、すっきり品良くまとまったコーディネートに。レースのワンピースをまとわれたような印象でした。

洋装っぽいコーディート

私は花模様のはっきりしたレース生地を選んで仕立てていただき、Tsubakianさんのレースの兵児帯を合わせました。

どこまでも甘くなりがちなレースの着物と帯を、ベレー帽と帯締めがわりに巻いたレースリボンの紺で少し引き締めた洋装っぽいコーディネートに。

「紙」がメインの展示

この日の展示は「紙」がメイン。

繊細でありながら、大胆な表現ができることが、レース着物との共通点だったかな、と写真を見返しながら思いました。

レトロとモダンの共鳴

【MAISON ACME|圓山別邸】

同じ敷地内にある人気のカフェ『MAISON ACME|圓山別邸』は、1913年に建てられた西洋建築の台北市定古蹟圓山別莊(原台北故事館)であり、かつては茶商の住む別荘でした。

2021年にカフェACMEがその経営を引き継いでいます。

台北のカフェブームは終わる気配がなく、休日は特徴のある、いわゆる「映える」カフェは予約なしでは入れないことが多いので注意が必要です。

台湾のカフェブーム
クールな写真の背景にぴったり

モダンな美術館に点在するオブジェは、クールな写真の背景にぴったり。

カフェもシンプルなつくりで、スタイリッシュな雰囲気です。

レトロな洋館はインスタ映えスポット

その向こうに写り込むレトロな洋館と、インスタ映えスポットとして若者に大人気というのもうなづけますね。

南国の秋

佳山大茶会

先月21日、北投文物館で開催された「佳山大茶会」に参加させていただきました。

一つ紋の袷の色無地に袋帯を合わせて臨みました。

表千家、裏千家、表千家不白流と、流派混合の大茶会が開催されたのは初。

初の流派混合の大茶会が開催された
異空間に迷い込んだ気分

「茶人達の交流会」と名付けられた2日間にわたる大茶会では、武者小路千家の方々も参加され、まさにジャンル問わず、それぞれお茶を楽しむ一期一会の機会でした。

本館内の大広間、2階の茶室、1階書院造りの茶室、離れの陶然居と、いずれのしつらえもすばらしく、ここが海外だということを忘れるような、異空間に迷い込んだ気分になりました。

生花
11月は茶道の世界の「炉開き」

11月は茶道の世界では新年を迎える「炉開き」の時期ですね。

お茶道具やしつらえが映え、場になじむよう、華美になりすぎない装いが良しとされる茶会の装いも、この「炉開き」と、年が明けての「初釜」には、華やかな礼装をされる方が多いです。

箪笥にしまわれたままの訪問着などを着用できるチャンス!

大寄せ茶会などに、誘い合わせて参加してみる計画を立ててみてはいかがでしょう。

いよいよ本格的な衣替えの時期

台湾でも、10月の終わり頃からようやく秋を感じられるくらいの気温となり、夏着物はお手入れに出すため、日本に送ったり、いよいよ本格的に衣替えを始めています。

とはいえ、気温は20度から25度。体感的には袷きものも着れますが、ゆかたや単衣も混在させられる良い季節となりました。

ただ、日本での20度とこちらの20度では、湿度が高い、冷房が入りっぱなしなどの関係から肌寒く感じることが多く、早々とダウンジャケットやコート姿のかたを見かけるのもこの時期からです。

雨さえ降らなければ、22度前後の気持ちの良い季節なので、ゆかたでのイベントも各地で行われます。

すばらしい茶会の翌週には、ゆかたでアフタヌーンティーのイベントを共同主催し、私は単衣きもの、お客様にはゆかたを着付けました。

ゆかたでアフタヌーンティーイベント

この「体感次第」「用途に応じた」きもの選びは洋服のそれに近く、四季がはっきりしていない地域や現代の生活様式では理にかなっているといえますね。

とはいえ、私自身はやはり11月には袷のきものを着たくなるのですが…

アフタヌーンティーと学び

【和洋茶会】

ゆかたでアフタヌーンティーを楽しむ「和洋茶会」は、10月末の週末に、本格英国紅茶専門店『Kelly's par tea room』にて開催されました。

知的好奇心の高いかたがたが多い

最初はゆかたを着付けて、お茶を飲む、写真を撮るだけの企画でしたが、Kellyさんのお店に来られるお客様は知的好奇心の高い方々が多いとのことで、ゆかたときものの違いや、その歴史、さらに着用シーンなどを講座にしたらどうか、と提案されました。

ちょうど私も海外の方に、きものについてもう少し知ってほしいという気持ちが高まっておりましたので、10月・11月・12月と、少しずつレベルUPする初心者向けの講座を開催することになったのです。

10月の最終週の土日、20代から80代までの14名の方にご参加いただきました。

講座中
まるで魔法をかけられたよう

初めてゆかたを着る方、以前日本でレンタルにて着せてもらったという方、どの年齢の、どんな体格の方も、またどんな背景を持つ方でも一様に「可愛らしく」変身したさまは、まるで魔法をかけられたかのようでした。

みなさま本当に良くお似合いでした。

ゆかたは一瞬で、見た目を変えてくれるアイテム

いくつになっても、自分がいつもより少しでも自分を綺麗、良い感じだと自負し、気分が上がる瞬間はうれしいものです。

ゆかたは一瞬で見た目を変えてくれるアイテムなのだと、今回目の当たりにして実感いたしました。

カフェ内につくられたスポットで写真を撮り続けるお客様達の姿は、私まで幸せな気分にしてくれました。

正直、その場にならないとお客様の選んだゆかたのサイズが合うのか、どこに補正が必要なのか、下着はどんなものをつけてこられるのかはわからず。

短時間に何人もの方に1人でレンタルゆかたの着付けをするのは(私にとって)滅多にないことで、「綺麗に丁寧に早く」はなかなか大変な経験で、とても良い勉強になりました。

真剣に着物についても学ぼうと私の話にも耳を傾けてくださり、お手洗いへの行き方や、たもとを汚さずに食べ物を取る所作などについてもレクチャーさせていただきました。

ゆかたを着たらその間、お手洗いには行かず、我慢するものだと思っていた、という意見が多かったことに驚きましたし、「知る」ことで、さらにゆかたや着物が身近なものになれば良いな、と強く感じました。

「ゆかた」から始まった私の海外での、「きもの」のある生活。

日本人の方にはもちろん、海外の方にも、着ることを体験する、それだけでなく、少しずつ「知識」も伝えたいと、これは私がやりたかったことでした。

素敵なカフェオーナーの企画で有意義な時間が持てました。

そして私に力を貸してくださったみなさま、ありがとうございました。

カニ着物
Japan culture Salon 陳
京都和服館(台北中山)
月輪屋着物と雑貨てて(大阪)
Kelly的紅茶慢時光

巻き込み巻き込まれ、伝える

ゆかたを着る+アルファの楽しさ

私ひとりにできることは限られていてとても小さいですが、周りの方々に支えられ、巻き込み巻き込まれて、いろいろな経験をさせていただいています。

小さなイベントかもしれませんが、ゆかたを着る+アルファの楽しさが伝わっていくと良いなと感じています。

まだ11月、12月と続きます。

台湾は観光の窓口を開き、ちらほら観光客の姿も見かけるようになりました。

着物を着て、または持参してぜひ台湾に遊びに来てください。

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