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『月ヶ瀬』4代目 平栗由貴さん【YouTube連動・インタビュー編】「元芸妓 紗月が聞く!京都、つなぐ世代」vol.7

『月ヶ瀬』4代目 平栗由貴さん【YouTube連動・インタビュー編】「元芸妓 紗月が聞く!京都、つなぐ世代」vol.7

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京都の烏丸御池と高島屋に店舗を構える老舗甘味処『月ヶ瀬』。90年以上変わらぬあんみつの味を受け継ぐ4代目・平栗由貴さんには、異色の経歴がありました!そしてそれはMC紗月さんとの共通点でもあり?!盛り上がったトークの模様をオフショット付きでお届けいたします。

老舗甘味処『月ヶ瀬』へ【Youtubeリンク】

MCの紗月さん

794年から約1000年に渡り、日本の都として栄えた京都。その間に育まれた独自の文化や伝統は、今も耐えることなく街の中に息づいています。そこには、いつの時代も“伝統文化の担い手”として切磋琢磨してきた人々の姿がありました。

2015年から2021年まで祇園甲部の人気芸妓として活躍した紗月さんがMCを務め、代々家業を受け継ぎ、また次の世代に引き継ぐべく奮闘されている方々に“老舗を守りつなぐお話”を伺います。

宝石箱のように華やかで、それでいて親しみのあるビジュアル。一口食べれば、誰もが笑顔になってしまう。それが京都の老舗甘味処『月ヶ瀬』のあんみつです。

甘味処『月ヶ瀬』のあんみつ

こっくりと甘い黒蜜に浮かぶ、口当たり柔らかな寒天。パステルカラーの求肥にふっくらなみつ豆。なめらかなあんこの上に、ちょこんと乗っかった真っ赤なさくらんぼが色を添える―

今回は代々変わらぬお店の味を引き継がれている平栗由貴さんにお話を伺います。

平栗さんと紗月さん

本編に移るその前に… 恒例、紗月さんの装い紹介を。

温かみある砥粉色地に、薄藤鼠と淡い黄色でゆらぎのある縞間道模様を織り出した紬着物。塩瀬の染め名古屋帯はあずき色で、紗月さんの装いも、今回はどこか”あんみつ”を思わせる装いです。

優しいハーモニーを奏でるコーディネートは、帯にも柄ゆきにもご注目を。

帯の上では、ふたりの童が木陰でかくれんぼ。彼らが身にまとっている衣の色も『月ヶ瀬』のあんみつに入っている求肥のよう。

カジュアルで楽しく、おしゃれ心あふれる装いで老舗甘味処を訪ねます。

あんみつとともに育った4代目

『月ヶ瀬』堺町店の外観。立派な盆栽がお客さんをお出迎えする

『月ヶ瀬』堺町店の外観。立派な盆栽がお客さんをお出迎えする

京の街並みに呼応するようにたたずむ和モダンテイストな建物。こちらは、烏丸御池駅から徒歩4分のところにある『月ヶ瀬』堺町店です。

『月ヶ瀬』の歴史は、今から96年前の昭和元年に初代小梶勝次郎氏が『京菓子司 若狭屋吉勝』の名で四条河原町に和菓子店を開いたところから始まります。

MCの紗月さんと、4代目・平栗由貴さん

MCの紗月さんと、4代目・平栗由貴さん

「最初は京菓子のお店だったんですけれども、ちょうどその頃に東京で流行りだしたあんみつを京都でも、ということでお客さんに提供し始めました」

堺町店がオープンしたのは平成18年。4代目の平栗由貴さんが代表取締役に就任する9年前のこと。この堺町店よりも以前から、京都の高島屋にも店舗を出店しています。

「高島屋さんの方の店舗は7階に大食堂ができたころから入らせてもらっています。当時、うちの店をひいきにしてくださっていた創業家一族の飯田さんという重役の方から声をかけていただいたのがきっかけでした」

「あんみつと聞くと、名前の響きもあってほっこりしますね。平栗さんは小さい頃からあんみつを食べて育たれたんですか?」と、甘いものが大好きな紗月さんはちょっと羨ましそうな笑顔で質問を投げかけます。

しかし、意外や意外。昔はあんこも豆も嫌いだったという平栗さん。その当時は「みつまめのまめ抜き(!)」を召し上がっていたそうです。

紗月さんも舞妓時代によく高島屋のお店に通わせていたそう

紗月さんも舞妓時代によく高島屋のお店に通わせていたそう

お持ち帰りのメニューも。お好きな場所で『月ヶ瀬』の味が楽しめる

お持ち帰りのメニューも。お好きな場所で『月ヶ瀬』の味が楽しめる

『月ヶ瀬』を創業した初代は平栗さんの曾祖父にあたります。平栗さんはお店とは別の場所に住んでいましたが、学校帰りによく寄り道をしていたとのこと。

お店はそれくらい身近な存在でしたが、「自分もいつかあんみつ屋さんに」という気はまったくありませんでした。

異色の経歴を持つ平栗さん

「父からも、やりたくなかったらやらなくていいと言われていました。しかし、誰も継がないとなるとお店はいずれなくなってしまう。みなさんにおいしいと言ってもらえているのに、それはもったいないなと思い始めて。そこから少しずつ継ぐことを考えだしました」

実はかなり異色の経歴を持つ平栗さん。『月ヶ瀬』を継ぐまでのストーリーにも紆余曲折がありました。

タイに6年。異色の経歴を聞く

自身の経歴を語る平栗さん

幼い頃から平栗さんは、お父さまより「お店を継ぐにしても好きなことをやってからでも遅くはない」と言われていたそう。ご自身もちょっと違う世界も見てみたいという好奇心もあり、高校生の頃に海外留学を決意します。

「留学の試験を受けたら、なんと行き先がタイだったんですね。当時はまだタイってどこにあるかもあまり知られていなくて、みんなから『そんなとこに行って大丈夫?』と心配されました。でも実際行ってみたら、のんびりしている私にとっても合う国だったんです」

平栗さん

約1年間の留学では、東北の一番貧しい街といわれているロイエットに滞在。そこで日本人に一人も会わないような生活を送ったそう。

日本に帰国し、高校を卒業後は東京の大学に進むと同時に再びタイに留学。首都バンコクのタマサート大学に転入し、ひとり暮らしも始めました。知っている人が誰もいない場所でひとり暮らしなんて、さぞ心細そうですが……

「向こうの方はみんな本当にフレンドリーで、何も苦労はなかったですね。『友達の友達は友達』という感じでどんどん輪が広がっていきました」

お話を聞く紗月さん

紗月さんも、お仕事でタイのチェンマイやプーケットなどを何度か訪れたことがあるそう。「本当にみなさん明るくておおらかで、時間の流れがゆったりしていますよね」と、“タイトーク”に花を咲かせます。

結局、平栗さんはトータルで6年間タイに滞在。うち4年は、現地にある日本の電子部品メーカーなどでお仕事もされたそうです。その後日本に戻り、平栗さんは家業を継ぐこととなります。

父の後ろ姿に学んだ修行生活

境町店内観

自分が満足いくまで好きなことをやり尽くし、お店を継ぐ決意を固めた平栗さん。お父さまの反応は、やはりどこかうれしそうだったといいます。

しかし、タイでは全く違うお仕事をされていたので多々苦労もあったそう。

「うちは工場で全部一から材料を作るので、実は力仕事なんです。室温30〜40度のなか餡を炊いていくので、そういうところの大変さはありました。今は私の従兄弟と二人三脚で製造をやっています」

日本に戻ってしばらくの間は、修行の身。お父さまと一日中生活を共にしながら、一つひとつ製造の過程を学んでいきました。

「父と一緒に餡を炊いて、喫茶店に行ってコーヒーを飲みながら休憩して、今度みつを炊いてランチを食べに行く。そんな毎日の繰り返しでしたね。特に『こうしなさい』と何かを教えられるというよりは、生活を共にしてその姿勢や後ろ姿に学ぶという感じでした」

修行時代について振り返る平栗さん
『月ヶ瀬』の暖簾には“甘”の文字が記されている

『月ヶ瀬』の暖簾には“甘”の文字が記されている

そして、平栗さんは平成27年に代表取締役に就任。当時の平栗さんは子育ての真っ只中でもありました。お母さまや旦那さまの協力を得ながら、なんとか家庭と仕事を両立されていたそうです。

代替わりを機に、寒天の形など変えてみようかな、などと考えたりもされた結果、「やっぱり今のこの形のあんみつが一番おいしい!」という結論にたどり着いたという平栗さん。これからも、長くお店の味を引き継いでいきたいと考えていらっしゃいます。

美味しそうなあんみつを前に笑顔になる紗月さん

後編では、初代から変わらぬ味を保ち続けている『月ヶ瀬』のあんみつを紗月さんがいただきます!紗月さんの食レポやいかに…!?

引き続き平栗さんに材料へのこだわりなども伺いますので、どうぞお楽しみに!

紗月さんファン必見!オフショット

天候に恵まれた撮影当日。「氷」の文字に思わず惹かれました

実は夏の撮影だった当日。「氷」の文字がはためいていました

紗月さんも登場し、さっそくオープニング撮り

紗月さんも登場し、さっそくオープニング撮り

履き慣れたお草履で軽やかに

履き慣れたお草履で軽やかに

うなじがすっきりと見えるヘアスタイルも上品で素敵です

うなじがすっきりと見えるヘアスタイルが上品で素敵です

横から見ると、帯揚げの梅の花がちらりと覗きとってもキュート

横から見ると、帯揚げの梅の花がちらりと覗きとってもキュート!

お口をぷくっとさせた紗月さんの可愛らしいショットも撮れました♪

お口をぷくっとさせた紗月さんの可愛らしいショットも撮れました♪

周囲を和ませる穏やかな笑顔が印象的だった平栗さん

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紗月さんは真剣に台本を確認中です

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平栗さんが語る異色の経歴に興味津々!

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おふたりともタイ好きという共通点でお話がさらに盛り上がりました

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次回はあんみつの美味しさの秘密に迫ります!

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文章/苫とり子
撮影/弥武江利子

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