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『宮脇賣扇庵』8代目 南忠政さん【YouTube連動・体験編編】「元芸妓 紗月が聞く!京都、つなぐ世代」vol.6

『宮脇賣扇庵』8代目 南忠政さん【YouTube連動・体験編編】「元芸妓 紗月が聞く!京都、つなぐ世代」vol.6

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200年の歴史を持つ扇子の老舗『宮脇賣扇庵』。後編では、扇子文化を後世に残すため新たに設立されたブランドの直営店を、紗月さんが訪れます!扇子の地紙と骨を合わせる作業に挑戦する紗月さんのオフショットも必見です。

2022.08.12

まなぶ

『宮脇賣扇庵』8代目 南忠政さん【YouTube連動・インタビュー編】「元芸妓 紗月が聞く!京都、つなぐ世代」vol.5

宮脇賣扇庵が手がける新ブランド店へ【Youtubeリンク】

『バナナとイエロう』にて

『バナナとイエロう』にて

794年から約1000年に渡り、日本の都として栄えた京都。その間に育まれた独自の文化や伝統は、今も耐えることなく街の中に息づいています。そこには、いつの時代も“伝統文化の担い手”として切磋琢磨してきた人々の姿がありました。

2015年から2021年まで祇園甲部の人気芸妓として活躍した紗月さんがMCを務め、代々家業を受け継ぎ、また次の世代に引き継ぐべく奮闘されている方々に“老舗を守りつなぐお話”を伺います。

『宮脇賣扇庵』京都本店

『宮脇賣扇庵』京都本店

前回から訪問しているのは、約200年の歴史を持つ扇子の老舗『宮脇賣扇庵』。六角通富小路にある京都本店にて、8代目・南忠政さんにお話を伺っています。

前編では、扇子や『宮脇賣扇庵』の歴史について伺いましたが、今回は南さんの新たな取り組みに迫っていきます!

「日本発祥のアイテムを世界に発信していきたい」という思いのもと、同社が手がけるファッションブランドとは?

着物:(仕)丹後本麻ローケツ染小紋 「氷割」 帯:(仕)大麻地名古屋帯「柴垣に流水秋草」

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また、紗月さんは扇子づくりの仕上げに当たる「附け(つけ)」作業に挑戦。今回も奥深い扇子の世界を覗いてみましょう♪

難しい! 扇子作りに挑戦

南さんにインタビュー中の紗月さん

もっと扇子を若い人や男性にも広めたいという思いから、普段から扇子を持ち歩いているという8代目の南さん。

背広からシャっと、かっこよく取り出したのはこちら。

南さんお気に入りの扇子

高級感漂う金地に龍が描かれた扇子は、ご自身が辰年ということもあり特にお気に入りなのだとか。

南さんのように誰でもお気に入りの一点が見つかること間違いなし。『宮脇賣扇庵』京都本店には、様々なデザインの扇子が数え切れないほど並んでいます。

本店には、様々なデザインの扇子が並ぶ

その中から南さんが厳選した商品を見せていただきました。

螺鈿細工が施された親骨

親骨に螺鈿(らでん)の細工が施されたこちらは、上品でなおかつ華やか。扇面に描かれた意匠に合わせたデザインも素敵です。

扇子の細やかなデザインに夢中の紗月さん

職人技が光る、繊細なデザインに目を奪われる紗月さん。

芸舞妓さんは舞やお座敷遊びの小道具として使う扇子を常に帯に忍ばせているため、すぐに傷んでしまうことが多いのだとか。

帯に忍ばせた扇子

芸妓時代を懐かしみつつ、「これからはこういう上等なものを持っていきたいですね」と語ります。

紗月さんに帯を見せる南さん

そんな紗月さんに、もう少し気兼ねなく使える扇子として南さんが見せてくれたのが、手描きの金魚がなんとも愛らしい一品。
紗月さんの口から「素敵!」という言葉が止まりません。

紗月さんに帯を見せる南さん

こちらは少し変わっていて、紙の部分が短く大部分を中骨の竹が占めています。このタイプの扇子は竹がしなるため、通常のものよりしっかりと風が届くのだそう。

さっそく試してみた紗月さん。「あっ!いい風!そして、いい香り!」と、とても驚かれていました♪

右が完成前の扇子。地紙と骨が分かれている

右が完成前の扇子。地紙と骨が分かれている

また、今回は扇子が出来上がる直前の貴重な姿を見せていただきました。トレイの右側に並んでいるのが、地紙(じがみ)と中骨がバラバラの状態になっている扇子です。

これを合わせていく作業を「附け(つけ)」と呼ぶそうです。紙に空いた穴に、中骨を刺していきます。

『宮脇賣扇庵』には附け専門の職人さんがいて、なんと一人1日に300本も担当されているのだとか……!

完成前の扇子を見せる南さん
扇子で顔を隠す舞妓さん

今回は特別に、紗月さんも附けに挑戦!

コツは…「慎重に」とのこと。全集中して取りかかります。

紗月さん、附けの作業に悪戦苦闘中

紗月さん、附けの作業に悪戦苦闘中

全ての中骨を穴の中にスッと入れるのはかなり難しく、慣れていないとすぐに引っかかってしまうのです。一見簡単そうですが、実はとても高度なテクニックが必要なんですよ。

“史上最高の発明品”

『バナナとイエロう』直営店外観

『バナナとイエロう』直営店外観

2020年4月、コロナ真っ只中に8代目に就任した南さん。それから一年後、南さんは新たな取り組みに乗り出しました。

それはなんと、ファッションブランドの立ち上げ。

『宮脇賣扇庵』は2021年1月、デザイン会社『GRAPH』の協力のもと、扇子の新しいあり方を提案する新ブランド『BANANA to YELLOW(バナナとイエロう)』を設立しました。

名前の通り、内装は黄色を基調としている

名前の通り、内装は黄色を基調としている

同時に京都本店の隣に直営店を開店。こちらがその店内です!3面が鏡張りになっており、どこを見ても扇子が視界に映る仕様となっています。

「宮脇さんの本店とはまたガラリと雰囲気が変わって、”令和”っていう感じですね!」と紗月さん。

3面が鏡張りの店内

南さんはブランド立ち上げの理由について、「音楽とファッションとアート、それぞれの分野で活躍する方々とコラボレーションしながら、若い人や今まで扇子を使っていなかった人に扇子を持ってもらうためのアプローチができれば」と語ります。

「バナナとイエロう」のブランドシンボルがデザインされたトートバック

ブランドシンボルがデザインされたトートバック

しかし、意外や意外、蓋を開けて見たら若い方だけではなく年配の方のお客様も多いのだとか。

シンプルながらワンポイントカラーがキュート

シンプルながらワンポイントカラーがキュート

紗月さんはこちらの、手元の骨に色がついている扇子がお気に入りの様子。

「ダンディなおじさまがこの扇子持ってはったら、ちょっとキュンとなりますもん!」

紗月さんファンのみなさまいかがでしょうか……?

他にもこのお店では、『宮脇賣扇庵』の扇子の芳香をアレンジしたオリジナルの香水や……

『宮脇賣扇庵』の扇子の芳香をアレンジしたオリジナル香水

ブランドシンボルがデザインされたトートバック

すっぽりと扇子がおさまる胸元のポケットが特徴

すっぽりと扇子がおさまる胸元のポケットが特徴

扇子を入れるポケットがついているTシャツやバックなど、幅広い商品ラインナップが用意されています。

ポップでアバンギャルドなアートを、日本の伝統工芸に掛け合わせた唯一無二の商品は海外のお客様にも喜ばれるのではないでしょうか。大切な人へのプレゼントにも最適です。

シュールなブランドシンボルは見れば見るほど癖になりそう

シュールなブランドシンボルは見れば見るほど癖になりそう

最後に、南さんが多くの人に使ってほしいと願う「扇子」とは何かについて伺いました。

南さんが色紙に書いたのは「日本史上最高の発明品」という言葉。その心はー

色紙に書いた言葉の意味を説明する南さん

「扇子は、多少のデザインは変わっても千年以上も前に形が完成されていたこと。また扇いで使うことはもちろん、お祭りや神事、茶道や踊りなど、さまざまなシーンと用途で使われてきたことはすごいことやなと思いまして。”日本史上最高の発明品”とさせていただきました」

本店前にて紗月さん

今回の訪問を振り返って紗月さんからは、

「日頃から手にしているお扇子の歴史を知れてすごく勉強になりましたし、南さんの新しい取り組みを見て、何事も“要(かなめ)”が大切だなと思いました」

と絶妙なコメントも。

扇子文化を後世に残すために。

200年の歴史を背負い、未来へと進む8代目・南忠政さんの新たな挑戦を応援しています!本日はありがとうございました。

紗月さんと南さん

紗月さんファン必見!オフショット

撮影前の一コマ。紗月さん何をみていらっしゃるのでしょう

撮影前の一コマ。紗月さん何をみていらっしゃるのでしょう

趣のある本店の建物を眺めていらっしゃいます

趣のある本店の建物前にて

辰年の南さん、お気に入りの龍の扇子と共に。背広に扇子がお似合いです

辰年の南さん、お気に入りの龍の扇子とともに。背広に扇子がお似合いです

当日は様々なデザインの扇子をご用意いただきました!

当日は様々なデザインの扇子をご用意いただきました!

貴重な紙だけの姿をじっくりと眺める紗月さん

貴重な地紙だけの姿をじっくりと眺める紗月さん

附けの作業は南さんにも難しく、渋い表情をされていました…!

附けの作業は南さんにも難しく、渋い表情をされていました…!

本店には鏡があり、扇子を持った自分の姿を見ることができます

本店には鏡があり、扇子を持った自分の姿を見ることができます

こちらはどこを見ても鏡!アートな世界に迷い込んだ気分です

こちらはどこを見ても鏡!アートな世界に迷い込んだ気分です

扇子をすぐに取り出せる夏にぴったりのTシャツ

扇子をすぐに取り出せる夏にぴったりのTシャツ

一つひとつのデザインが個性的で目が離せません

一つひとつのデザインが個性的で目が離せません

取材中、カメラを見てにっこり

取材中、カメラを見てにっこり

笑顔が絶えない訪問となりました!

笑顔が絶えない訪問となりました!

文章/苫とり子
撮影/弥武江利子

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