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銀座店クリスマスイベントトークショー 名物バイヤー・野瀬の “紬を学ぶ” 〜三大紬の歴史〜

銀座店クリスマスイベントトークショー 名物バイヤー・野瀬の “紬を学ぶ” 〜三大紬の歴史〜

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京都きもの市場で紬を語らせればバイヤー野瀬の右に出る者は無し。 そんなバイヤー野瀬が「三大紬」と呼ばれる大島紬、結城紬、牛首紬の製法や歴史、魅力について、実物を紹介しながらお話ししたトークショー。その模様を、講義内容と一緒にお届けします。

京都きもの市場さんで “名物バイヤー” と呼ばれている野瀬 達郎さん。
全国の産地を飛び回って培った目利きは一級!
紬を語らせたら社内でも右に出る者はいないのだとか。
今回はその野瀬さんによるトークショーが銀座店で開催されるとのこと。
タイトルは “紬に学ぶ”!
楽しみに参加をさせていただきました。
レポーター/池田千恵里

趣味は書くこと!という着物愛好家。
国内外において着物PRの経験を持つ。
英国駐在時には着物でのお出掛けを常とし、自身の着姿をSNSやYouTube 等でも発信。
また、ロンドンで着物ファッションショーを開催するなど、和装のPRに務めている。

大阪梅田店で大好評だったというこのトークショー、銀座店からの熱いオファーを受け、再び銀座にて開催!
こちらでもたった3日で25名の枠が埋まってしまったそう。
通常のイベント枠は30分〜1時間ですが、今回はたっぷり1時間半というボリューム。
野瀬さんの熱量が伺えますね!
大阪では質問が相次ぎ、大幅に予定時間を超えてしまったので、銀座ではあらかじめじ余裕を持たせたとのこと。

野瀬さんはラオス出張から帰ったばかりということで、先ずは海外での買付のお話しからスタート!
インド、インドネシアに続いて、ラオスは3ヶ国目なのだそうですよ!

織物のルーツである国々の持つ、それぞれの素晴らしい技術、それを日本人のニーズに合う色柄で織ってもらうのだそうです。
ラオスは浮き織りという技法に特化しているそうで、今回は帯を30本ほど注文してきたのだそう。

素材、色、デザインと、それぞれに多種な日本とは違い、ルーツの国々は何かひとつに特化しているそうで。
その特化した技術と日本の感性をコラボさせて、新しいものを生み出しているとのこと。

今の日本の着物は、素材も色もデザインも豊富な上に、クオリティーも高い。
海外を訪ねることで、改めて日本の高い技術力に気付いたそうです。
日本に伝わった織の技術は、日本の着物文化で更に花開いた!ということですよね。
こんな色が着たい、あんな柄が着たい、と発展していったのでしょうから、日本人の美意識の高さも凄いものです!

そして京都きもの市場のお客様も凄いのだとか。
普段からお着物をよく着る愛好家の方が多く、皆さん知識も豊富。
お手持ちのワードローブも幅広いので、いかに皆様の箪笥に入っていない商品を提供できるかも、仕入れる上で重要なのだそうです。
野瀬さんが今回発注してきたというお品の完成も待ち遠しいですね!

ラオスはヨーロッパで、アジアで一番行きたい島に選ばれているそうで、野瀬さんも大絶賛!
ツアーを企画して、紬好きのお客様をお連れしたいとのことでした。
浮き織りの現場を訪ねるツアー、是非とも実現していただきたいですね!
野瀬さんが撮ったラオスの夕陽、とっても綺麗です。

さて、レポートもなんだか終盤に差し掛かっているような感じですが、これからが本題です。
今回は「三大紬」と呼ばれる大島紬、結城紬、牛首紬についてのお話しですのでね!
それぞれのプリントが配られ、野瀬さんのお授業がスタート!

先ずは結城紬から!
国の重要無形文化材に指定されている工程だという、真綿の紡ぎ方を見せて下さいました。
指先がつるつるでないと綺麗に紡げないそうですよ!
通常、糸は撚りをかけて強くするそうですが、結城紬の糸は撚りを掛けないのだそうです。
これにより空気を多く含み、結城の特徴のひとつである、保温性の高さが生まれるのだそう。

手で紡いだ糸は弾力があって柔らか!
機織りの工程でも無理な張力を掛けないので、この結城紬独特の風合いが、より生きてくるとのことです。

結城紬は地入れ(湯通し)をしてから仕立てるので、購入した後に再び生産者の元へ戻すのだそうですが、これをするのは結城紬だけとのこと。
いわば里帰り、なんだかほっこり!
結城紬のイメージにぴったりですね。
昔は湯通しをしなかったので、1年ほど女中さんに着せて糊が落ちてから、自分用に仕立て直していたそうです。
着るほどに風合いを増す結城紬だからこそですね!
大島三代、結城末代と言われるほどなのだそうです。

証紙についても教えていただきました。
こちらが本場結城紬の証紙で、”結” のマークが付いています。

さらに地機なのか高機なのかでも、証紙が違うそうです。

続いて大島紬。
大島というと奄美大島だけの物かと思いきや、鹿児島や宮崎でも作られているのだそうで。
こちらも証紙で確認できるとのこと。

地球儀マークが奄美大島のもの。

日の丸は鹿児島県。

こちらも同じく鹿児島ですが、大島紬界のレジェンドである「都喜ヱ門」作品に付けられる証紙。

こちらはお宝とも言える「都喜ヱ門」の大島、素晴らしいとしか言いようがありませんね!

細か〜〜〜〜な蚊絣も「都喜ヱ門」。
柄がずれるとすぐに分かってしまうので、究極の職人技が求められるのだそうです。
シンプルな美しさは、もうとにかく、究極の美ですね!
そして宮崎県の都城でも作られているそうで、証紙は鶴のマークだそうです。
こちらは撮り損ねましたので(汗)グーグル先生に見せていただいて下さいね!

続いて、世界で最も細かいとされる、大島紬の絣ついて教えていただきました。
気の遠くなるような染めの工程を経て平織りされるそうですが、その染めの前段階として「締機(しめばた)」という工程があるのが大島紬の特徴だとのこと。
“大島紬は2度織られる” と言われるのは、この締機の工程があるからなんですね!
この工程によって織られた生地を染めることで、大島紬の命とも言える、絣糸が作られるわけです。

手間と時間を費やして生み出された絣の芸術。
実際に見せていただくと、本当に凄いなぁと。
ひたすら感激でした!

9マルキの総絣。

最も高度な技術が求められるという、12マルキのお品も拝見させていただきました。
絣で箱根を描けるとは!

続いてはラスト、牛首紬です。
先ずは牛首紬の特徴である、玉繭について説明して下さいました。
双子繭とも呼ばれる2匹の蚕によって作られた繭で、牛首紬は、この貴重な繭から紡いだ糸で織られるのだそうです。
この玉繭、昔は捨てられていたのだとか。

左の大きな方が玉繭。
玉繭からは2本の糸が出るため絡まりやすく、糸づくりが難しいそうですが、それが特徴ともなる独特の節を生むのだそうです。
この玉繭を煮込み、座繰りと呼ばれる手作業によって糸を紡ぐことで、空気を多く含んだ柔らかな風合いが生まれるのだとか!

牛首紬の独特な工程として挙げられる、「糸はたき」という工程についても教えていただきましたよ!
仕上がった糸をパタンパタンと叩いて、糸1本1本にさらに空気を含ませるのだそうです。
これによって独特の艶が生まれるとのこと。
紬の優しい雰囲気に上品な光沢、牛首紬の特徴は、こういう工程によって作られるのですね!

素敵なお品も拝見させていただきました。
上品な透け感の夏牛首も。

今回は特に、大の紬好きという方も多くご参加ということもあり、〇〇の△△さんが織った帯!という風に、個人名の飛び交うマニアックなお話しも沢山飛び出しました。
知識に乏しい私には、少々⁈難しい内容ではありましたが、お陰様で大変勉強になりました。

「黄八丈は三大紬に入らないのですか?」との質問も。
生産数が圧倒的に少ないので、入らないのでしょうね!とのこと。
八丈島で育つ植物を染料としているため、職人さん達は染料を確保すべく、林業ともいえるお仕事もされてらっしゃるというお話しも。
生産反数が減って希少価値が上がっている黄八丈ですが、京都きもの市場さんではなかなかのお取扱い数だとか。
野瀬さん、次回は黄八丈の特集ですかね?
頑張って仕入れもして下さいね!
またの機会を楽しみにしています。

こちらはトークショーの最前列で参加をされていたお二人。
とても素敵な着姿でしたので、お写真を撮らせていただきました。
この日はクリスマス直前ということで、小物にもクリスマスを取り入れてらっしゃり。
お着物はもちろん紬!
まさに完璧なお二人でした。
ご一緒させていただき、ありがとうございました!
バイヤー・野瀬の仕入れ現場をレポートした記事はこちら!
紬が気になる…という皆様はこちらもご覧ください。

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