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お召し物のお値段うかがいました!【”きものと”お金の座談会@ザ・リッツ・カールトン東京】「きものでスイート」vol.1

お召し物のお値段うかがいました!【”きものと”お金の座談会@ザ・リッツ・カールトン東京】「きものでスイート」vol.1

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4名の着物ラバーのみなさまにお集まりいただき「着物とお金の座談会」を開催いたしました!着物ファンならどなたも気になる?着物とお金のあれやこれや… さぁ、どんなお話が飛び出すのでしょうか。

着物ラバーのみなさまが集って

今回、ザ・リッツ・カールトン東京のスイートルームにお集まりくださったのは、それぞれの着物ライフを満喫されている4名の着物ラバーのみなさま。

着物ファンならどなたも気になる?!「着物とお金の座談会」ということで、お召しになられている着物やそのほかのお手持ち品、お手入れ関連のご予算などなど、いろいろとうかがってまいります!

まずは、お集まりくださいましたみなさまのプロフィールから。

1-1

●Cさん
公務員、51歳。買って着ないはあり得ない。どれくらい着られるか、お得か否か、コスパを見極め着物ワードローブの充実を図る堅実派。

Nさん

●Nさん 
通訳者兼翻訳家、ピアニスト、48歳。アンティークやリサイクルを普段使いしつつ唯一無二の作家ものに敬意と対価を払う文化貢献派。

Iさん
Iさん

●Iさん 
主婦、55歳。東京都神田出身。母の影響で着物と日本舞踊を好きに。可憐なやわらかものに目がないが衝動買いはしない熟考派。

Hさん
Hさん
Hさん

●Hさん 
主婦、43歳。北京出身。着付師免許取得のため数を揃えたくネットで掘り出し物を探し出す。汚れやすいシーンには洗える化繊一択の実用派。

金糸きらめく瀟洒なお召しはヤフオクで?

着物ラバーのみなさん

きものと編集部(以下、編集)―――
本日はお気に入りの着物でお集まりいただきありがとうございます。

まずは簡単な自己紹介と、お召しの着物のご紹介、また「着物とお金の座談会」ということで、それぞれのお値段など教えていただけますでしょうか。

Cさん―――
では「きものと」でレポーターを務める私から。

Cさん02

●Cさん 公務員、51歳。
買って着ないはあり得ない。どれくらい着られるか、お得か否か、コスパを見極め着物ワードローブの充実を図る堅実派。

Cさん―――
今日着てきたのは山口美術織物さんのお召し。ローブデコルテの生地とお聞きしています。あるきっかけで非常に安く…じつは、ネットオークションで3万5,000円で落札した反物なんです。

無地感覚で着ることができるので帯で楽しめるところも、金糸が織り込まれててキラキラして、ちょっとしたパーティーやお祝いの席で花を添えてくれるところも気に入っています。

編集―――
いきなり掘り出しものが!反物ですと、お仕立てはいかがされましたか?

展示会の半額キャンペーンを利用

Cさん―――
場所によってはお仕立て代も10万円くらいかかったりするのですが、京都きもの市場さんの展示会では期間中のみ仕立代半額キャンペーンをやっているので、私はそれを活用しています。だいたい3~5万円になるので良心的な値段ですね。

編集―――
ご利用ありがとうございます。帯がとても華やかですね!

捨松の帯02

Cさん―――
帯屋捨松さんのものです。帯だけみるとちょっと派手に思われるかもしれませんが、意外と使い勝手いいんです。とある展示会で、となみ織物さんの帯と抱き合わせで「これ欲しいの!お願い!」と言ったらがんばってくれて、2つで29万円でした。かなりお安いと思います。

捨松の帯01

編集―――
小物はどちらですか。

Cさん―――
帯揚げは加藤萬さんのもので5,000円くらい、草履は銀座のぜん屋さんです。
前々から草履はぜん屋さんのものが欲しいと思っていたんですが、いいお値段なので見送っていたんです。

でも、一年くらい前に池袋東武百貨店にあったぜん屋さんのコーナーがクローズするとの知らせが入りまして。これはセールがあるかもしれない、と家にあった商品券を持って駆けつけました。運良く職人の方のお話も聞けたりして…それで普通だったら3万円のところ、定価の7掛けくらいで買えたんです。

張さんの小物について

編集―――
ほんとうにお買い物上手ですね。

Cさん―――
いつも目を光らせているので(笑)。

いつも目を光らせている

Cさん―――
帯締めはいま大好きな和小物さくらさん。着物を着るとき、手持ちのものをいろいろ合わせて考えるんですが、最終的に落ちつくのはいつもこれというくらい、私のなかでホットなアイテム。ただ、あまりお安くならないので、たぶん4万円くらいだったかと。

編集―――
ひとひねりあって無難じゃないのに合わせやすい。和小物さくらさんの小物は今とても人気ですよね。アクセサリーはどうされていますか?

Cさん―――
パールのイヤリングをするようにしています。どんな着物でもケンカせず、失礼にも当たらないしで一番汎用性が高い。

こちらは10万円くらいでした。もう少し大きいものも欲しいのですが、ジュエリーまでは…私のお財布がなかなか許してくれません(笑)。

パールのイヤリング

編集―――
わかります。ちなみに、Cさんが愛用している”リーズナブルな着物”とはどのようなものでしょうか。よければ購入時の価格も教えて下さい。

リーズナブルな着物の紹介

Cさん―――
一番初めに買った紫色の手描きの友禅ですね。当時のたんす屋さんの催事で10万円くらいだったと思います。

桝屋高尾のお召しと南風原花織をまとめ買い!?

Nさん

●Nさん 通訳者兼翻訳家、ピアニスト、48歳。
アンティークやリサイクルを普段使いしつつ唯一無二の作家ものに敬意と対価を払う文化貢献派。

Nさん―――
私は詳しくないので、今日はみなさんのお話を楽しみに来ました。

なにせ人生の半分を海外で過ごしていたものですから、1年くらい前まで、日本人なのに着物の知識がまったくなかったんです。それを負い目に感じていたんですが、着物なんて大変な世界だからおいそれと足を踏み入れては…とも思っていて。

でも45歳を過ぎて、ディナーに着物で行けたらすてきだな、自分で楽しむために着れたらいいなと、なんとなく着付け動画など見ているうちに、着付けのきものすなおさんの動画にはまりまして。すなおさんがいらっしゃるというので、一昨年5月に行われた京都きもの市場さんの展示会に初めてうかがったんです。

今日はそのときにご紹介いただいて縁のあった着物です。
道明さんの帯締めだけメルカリで3,000円でしたが、ほかはすべて京都きもの市場さんで揃えたものです。

編集―――
桝屋高尾さんのねん金糸使いのお召しですね、珍しいです。柄は、織りの疋田柄でしょうか、遠目にみると桜の花模様が浮かび上がって見えます。 

桜が浮かび上がる、織りの疋田柄

Nさん―――
見えますか? まだ自分の目でその桜を見たことがないんです。角度によってさまざまな表情が見えるって奥深いですよね。ただこの生地、正直、着付けるのがとても難しくて、さっと着て形になる着物じゃないんですよ。

編集―――
でも独学でここまで着られるようになるなんて素晴らしいです。帯の刺繍もあたたかみがありますね。

Nさん―――
相良刺繍の袋帯です。

草履は衿秀さんのもので、よくみないとわからないんですが鼻緒にシンデレラのモチーフの刺繍があるんです。そこがお気に入りです。

相良刺繍の袋帯

編集―――
ちなみにそれぞれおいくらくらいなのでしょうか。

清水の舞台から飛び降りた!

Nさん―――
それが、その催事でまとめての購入だったので総額は覚えているけど、個々ではちょっとわからないんです。

今日のお召しと帯と、南風原花織の着物と帯のセットに小物とで200万円くらい? もう清水の舞台から飛び降りました。初めてお買い物でローン組みました。

着物の持つストーリーに惹かれる

Nさん―――
着物屋さんに南風原花織の着物を着ていくと「一着目で買ったの?」って驚かれます(笑)。

催事でたくさんお話を聞きながらも、生地の良さとか染めの技術とかはわからないので、その作家さんにいかに共感できるかで選んだら…こうなりました。

編集―――
作品としての着物が持つストーリーに惹かれてしまったんですね。

Nさん―――
はい。そんな感じなので、私が持っているのは個性的な着物ばかりで、いわゆる普通の訪問着を持っていないですよ。今後は考えて買っていかないとなって思っています。

パールは着物の質感に合う

編集―――
アクセサリーはどうですか。

Nさん―――
持っている数少ないもので合わせた感じです。パールの上品な光沢が着物の質感とすごく合うので、パールはどこかに入れますね。

編集―――
やはりパールは相性がいいですね。Nさんが愛用している”リーズナブルな着物”についても教えてもらってもいいですか

Nさん―――
フリマサイトで購入した1万円くらいの小紋、8,000円の八寸帯、4,000円の夏帯紐などでしょうか。練習用と割り切って、普段使いにしています。

展示会で主役を張った友禅の訪問着を…

Iさん

●Iさん 主婦、55歳。
東京都神田出身。母の影響で着物と日本舞踊を好きに。可憐なやわらかものに目がないが衝動買いはしない熟考派。

Iさん―――
私は東京の神田の生まれでずっと東京なんです。今日は友禅の訪問着でまいりました。

帯はうろ覚えなんですが本金箔なんとかで(笑)。草木染め糸と聞いて、気に入って選びました。私は華やかなものが好きなので、訪問着が多いですね。

総柄の訪問着

編集―――
はんなりとしたお色目が女性らしく、また豪華さもある訪問着ですね。帯は菊花間道の両脇に文字が織り出された袋帯といったところでしょうか。

Iさん―――
着付けを最初に習ったお教室が催している展示会に年に何度かお呼ばれするんです。日本全国からいろいろな作家の方がいらっしゃったりして。

私は作家の方よりは、となみ織物さんや伊と幸さんなどのメーカーさんが「これがいいよ」って出して合わせてくださるので、そこから購入することが多いですね。この訪問着も帯もその会で求めたように記憶しています。

Iさん―――
着物は100万円台だったかと。会場にメインで飾ってあったものでして。
買わない買わないって思って見ていたんです(笑)。でも、お友達がきて「ちょっと肩に合わせてみない?」って。そこからですよね。

ただ、家には購入してまだ袖を通していない着物もあるので、本当に、買うのは迷いました。

優雅な和姿のIさん

編集―――
帯のほうは? 

Iさん―――
同じくらいだったと思います。着物も帯も、着るのは今日が初めてです。

編集―――
パールがぐるっとついた帯締めもすてきです。

Iさん―――
この帯締めは姉が見立ててくれたものなんです。グレーで合わせやすいんですよ。

姉は指輪・ネックレスなど宝飾品のデザイナーをしていて、今日身につけているような小物やかんざし、あとは帯留めなどもブローチやペンダントトップからリフォームしてくれたりします。

ほかの小物は、新宿の甲州屋さんが昔からの顔見知りなのでそこで仕入れたり、地元である神田の問屋さんをみにいったりしていますね。だいたい2~5万円くらいでしょうか。このビーズの半襟は5000円以内だったかな。

編集―――
お姉様オリジナルのアクセサリーとはうらやましいですね。そんなIさんが愛用している”リーズナブルな着物”とは?

Iさん―――
デパートで30万円くらいで購入した、グリーン地のグラデーションの染めの小紋ですね。本郷大田子さんのものです。

金彩友禅のセットは自分で払える価格の限界

Hさん

●Hさん 主婦、43歳。
北京出身。着付師免許取得のため数を揃えたくネットで掘り出し物を探し出す。汚れやすいシーンには洗える化繊一択の実用派。

Hさん―――
中国の北京生まれ、北京育ちの石原です。日本には長く住んでいるんですが、着物に目覚めたのはここ1、2年でまだ日が浅いです。

きっかけは娘の3歳の七五三。
高齢出産のせいか育児していると腰が痛くなるんですが、七五三で着物をレンタルして着てみたらコルセットをしているような感じで洋服よりも着物のほうが楽なことに気付いて。

それで自分でも着物を着られるようになりたいと思って、いま着付けを習っています。

編集―――
今日もご自身で着付けを?

みるたびに気持ちが浮き立つ着物

Hさん―――
自分で着たかったんですけど、まだ初級(取材時)なので今日は美容院で全部やってもらいました。

この訪問着は着物免許授与式に着ていくために仕立てたものです。和田光正さんの金彩友禅ですね。袋帯も同じく和田さんのです。着物も帯も金彩でキラキラしていて、みるたびに気持ちが浮き立つんです。また角度によって色が変わるので合わせやすいかな。

編集―――
艶やかなお色のなかに光るものが入っていて美しいです。購入はどちらで?

Hさん―――
学校主催の展示会があるので、そこで購入しました。まだ作家について詳しくないので、着付け教室の校長先生に選んでいただいたりして。

帯が30万円くらいで、訪問着が27万円くらいだったかなと思います。
自分で買うならその金額が限界ですね。着物はメンテナンス代もすごくかかるじゃないですか、普通のクリーニングには出せないし。

和田光正さんの金彩友禅

編集―――
着物は、買って終わりじゃないところがありますね。

座談会の後半では、クリーニングや“洗い”など、メンテナンスかかるお金についてもうかがっていこうと思っています。ちなみにかんざしや、小物についてもよろしいですか?

かんざしはべっこう

Hさん―――
わからないなりに、自分の手持ちのもので合わせてみた感じです。

和の小物が好きなんですよね。かんざしはべっ甲の菊池、アコヤパール付きのものです。インターネットで見つけました。

Hさん―――
帯締めはデパートで1万2,000円くらいだったかな。草履はアシックスで2万円です。

帯締めはデパートで購入

全員―――
アシックスの草履!?

アシックスの草履

Hさん―――
そうなんです。あまりにも履きやすいので、ほかの草履をやめてこちらを何足か買い足しました。

教室では着物を着たまま舞台に上がってモデルに着付けをするんですけど、時間が経ってくると足が痛くなってくるんです。でも、これは痛くならない。クッションが柔らかくて足を通しやすいんですよ。丸一日、10時間とか履いていてもぜんぜん疲れない、さすがはスニーカーメーカーです。私は学校のサロンで買いました。

編集―――
それは通ってこその特典ですね。そんなHさんが愛用する”リーズナブルな着物”とはどのようなものでしょう? 

Hさん―――
ネットで購入した4万円くらいの化繊の紬ですね。

次回予告:人生で一番お金をかけた着物とは?

次回も座談会は続きます!

次回は、いままで購入したなかで一番高額だった着物、購入時の予算、着物の価格について考えることなど、みなさまにうかがっていきます。

構成・文/渋谷チカ
撮影/五十川満

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