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夕風に秋への移ろいを見出す長月 「月々の文様ばなし」vol.6

夕風に秋への移ろいを見出す長月 「月々の文様ばなし」vol.6

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夏の薄物も時期を終え、透けない単衣が好ましくなる季節。やがてやってくる本格的な着物シーズンに向けて、夏と秋の間(あわい)ならではの文様を愛でながら、和装を楽しみましょう。

2022.07.21

まなぶ

夏の装いの醍醐味を感じる葉月 「月々の文様ばなし」vol.5

秋を迎える準備へ

日中はまだ暑さが残りますが、夕風が涼しく感じる日もそろそろでてきますね。

着る素材こそはまだ涼しく、けれども気持ちが求めているのは、秋の色や形。これからご紹介する文様を思い浮かべて、季節の移ろいを感じていただけましたら、嬉しく思います。

よく知られる秋の七草「萩」

長月の文様 萩

よく知られる秋の七草の中でも、古くから人々に愛されてきた「萩」。万葉集では、百四十首ほども萩が詠まれているそうです。

秋草文様には欠かすことができないモチーフの一つですが、花や葉の形の可愛いらしさも、好まれる理由のひとつかと思います。

九月の声に情景が浮かぶ「稲穂」

長月の文様 稲穂

私の郷里が米作りの盛んな地方にあるせいか、九月の声を聞くと、田んぼの「稲穂」が色付き、稲刈りの情景が浮かんできます。

豊穣を表す文様として装束の文様や家紋にも見られます。円形に意匠化された絵柄などの染め帯などで季節感を楽しむのも良いですね。

自然のおおらかさを感じる「雁」

長月の文様 雁

秋になると遠く北極圏から渡ってくる「雁」の群れは、かつて日本のあちらこちらで見られたそうですが、気候の変化で、今では越冬する地域も少なくなっているのだとか。

ゆるいV字型に意匠化されり、古くからさまざまな図案が見られますが、個人的には、琉球紅型に用いられている雁の姿に、自然のおおらかさを感じます。

古代から伝わる吉祥文様「葡萄」

長月の文様 葡萄

古代に大陸の西域から伝わった「葡萄」の絵柄は、豊穣と子孫繁栄などをあらわす吉祥文様として尊ばれてきました。

和装においても、さまざまに意匠化された文様が、着物や帯にあしらわれています。

具象的な絵柄には季節感がありますが、モダンにデザイン化された図案は、季節を問わずおめでたい席などでも着用できます。

「月」と「ウサギ」で遊び心のある装いを

長月の文様 月
長月の文様 ウサギ

かつて日本では「月」の満ち欠けによる旧暦を用い、新月から満月まで、いくつもの名で呼び、そして文様としても月の姿を写して重用してきました。

秋の風情を感じる絵柄として、霞や雲、秋草やウサギなどと取り合わせて着物や帯に描かれることが多いようです。

日本の秋で、月とくれば、「ウサギ」はつきものですね。

実際には、民話にあるような、ウサギが杵と臼で餅つきをしているような姿は見えなくても、絵柄としては遊び心があり、染め帯などで洒落るのも、これから迎えるお月見シーズンの装いの楽しみの一つですね。

夏の薄物も時期を終え、透けない単衣が好ましくなる季節。

やがてやってくる本格的な着物シーズンに向けて、夏と秋の間(あわい)ならではの文様を愛でながら、和装を楽しんでいただければと思います。

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