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弓道部員たちの青春が眩しい!『劇場版ツルネ -はじまりの一射-』 「きもの de シネマ」vol.17

弓道部員たちの青春が眩しい!『劇場版ツルネ -はじまりの一射-』 「きもの de シネマ」vol.17

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銀幕に登場する数々のキモノたちは、着こなしやコーディネートの良きお手本。せっかくなら、歌舞伎やコンサートみたいに映画だってキモノで愉しみませんか。今回ご紹介するのは、京都アニメーションの最新作『劇場版ツルネ-はじまりの一射-』です。

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2022.07.08

よみもの

明治を生き抜く人々の気概にふれる 『破戒』「きもの de シネマ」vol.16

スポーツアニメならではの青春模様

ごきげんよう。京都では五山の送り火を終え、浴衣ももう終わりやなぁ、と思いながらも重い腰が上がらず、なかなか和箪笥の整理が進まない椿屋です。

朝夕に秋の気配を感じるようになりましたが、まだまだ残暑が厳しい折。心持ちだけでも爽やかになれる一本を、ということで。今回ご紹介するのは、日本だけに留まらず世界中から愛される京都アニメーション(通称、京アニ)が手掛ける弓道作品です。

©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

物語の舞台は、風舞高校弓道部。

主人公・鳴宮湊(CV:上村祐翔)とコーチとなった滝川雅貴(CV:浅沼晋太郎)を中心とする弓道部員たちの真っ直ぐな日々を描きます。

©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

幼い頃に聴いた弦音(矢を放ったときに弦が鳴る音)に胸を打たれて弓道を始めた湊は、中学最後の試合中に、早気(はやけ)にかかってしまいます。

早気とは、昔からある弓の病気のようなもので、自らの意に反して矢を放ってしまう状態のこと。緊張した場面で悪化しやすく、アーチェリー界でも「ターゲットパニック」という似た症状があるといいます。

自身の早気が原因でチームが敗北したことに負い目を感じ、大好きだった弓道を諦めた湊でしたが、高校一年の春に出会った雅貴の美しい射に惹かれ、弓道部への入部を決意します。

©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

湊と同じく早気になった過去を持つ雅貴。

師匠であった祖父に憧れながらも、その祖父からの厳しい言葉に傷つき、弓を愛しながらも、祖父亡きいまも憎しみから抜け出せずにいます。

そんななか、湊の姿を過去の自分と重ね、コーチとして風舞高校弓道部を導く覚悟をし、部員たちに影響を受けながら自身の弓と向き合うことになるのです。

©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

湊の幼馴染で部長を務める竹早静弥(CV:市川蒼)、初心者ながら一所懸命に的に向かう山之内遼平(CV:鈴木峻汰)といった仲間らと切磋琢磨し、理想の射のために突き進む湊。

小学生の頃に同じ師匠に学んだ名門桐先高校弓道部員である藤原愁(CV:小野賢章)というライバルと競いながら、弓道の高みを目指します。

©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

「道衣姿」というフェティッシュの極み

男子高校生の部活にかける想いと、センシティブな友情のリアルさが魅力の本作。

個人的嗜好で大変恐縮ですが、最大の見どころは彼らの「道衣姿」と申し上げたい!

上位の衿元や脇から見えるインナー、弓懸をはめる所作、袴紐を結ぶ手順……全編を通して弓道衣姿のシーンが多いため、着脱の様子も丁寧に描かれています。

©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

弓道衣は、足袋→上衣→帯→袴の順で着用。

弓道は武道であるため男女共に角帯を使用し、袴は馬乗袴が良いとされています。

道衣が醸し出す凛とした佇まいは、何物にも代え難い萌え要素。袴の横の逆三角形から見える紐の重なり具合にさえ、うっとりする始末です。

©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

上衣は白が望ましいとされていますが、黒もまた好き装いでしょう。
好敵手である愁が黒色を着用しているのは冷静沈着なキャラクターとも相まって、湊との対照的な印象を与えます。

©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

さらには、雅貴の片肌脱ぎ。

顎から首筋へのライン、鎖骨に、上腕二頭筋!!! 嗚呼、堪りません。

雅貴は夜多神社の神主という顔も持っているため、神事を執り行う際には、コーチのときとは違った雰囲気をまといます。その印象の変化をちょっとした表情や仕草で魅せるだけに留まらず、見事な陰影で物語やキャラクターに奥行きをもたらしているのは、納得の京アニクオリティ。

©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

©綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネ製作委員会

均整の取れた美しい会、真っ直ぐに放たれる矢、的を射抜く瞬間の音。と、弓道ならではのシーンも実写に引けを取らないリアリティ。

※矢束を十分に引いた状態のこと

息を呑むのも躊躇われるような張り詰めた空気を肌で感じる瞬間、思わず歓声を上げたくなるような喜びの共有、気づけば掌を握り締めている没入感など、前のめりレベルの臨場感もまた、見逃せません。

アニメだからと侮ることなかれ。世界に誇る京アニが贈る迫力の画と繊細なストーリーを、ぜひ大きなスクリーンでお愉しみください。

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