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小袖と浴衣の大躍進 「のんびり楽しむイラスト服飾史」vol.4

小袖と浴衣の大躍進 「のんびり楽しむイラスト服飾史」vol.4

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「浴衣」はバスローブやヨガ・ランニングウエアなどのファッション化、「小袖」は2000年代に流行したキャミソールワンピや見せパン?歴史の中で試行錯誤しながらより快適なおしゃれを追求していった結果、たどり着いたのが下着だった、という柔軟な発想が面白いですね。

のんびり楽しむイラスト服飾史

一生のうちの多くを、室内から切り取られた庭を眺めて過ごしていたであろう平安の高貴な女人たち。それゆえに季節の移ろいや花や葉の微妙な色味にも気づき、身につける衣服に取り入れていったのかもしれません。

こんにちは。tomekkoです。暑いですね!

夏の着物はちょっと…という方も多いと思いますが、個人的には他の季節よりお手入れが楽ちんな綿の着物や浴衣が着られて好きだったりします。

着物初心者の方や、私のように子育てでなかなかゆっくり着物を楽しめない方に浴衣がおすすめな理由は他にもあります。

浴衣がおすすめな理由

・綿が汗を吸い、素肌を出している時よりもベタベタした気持ち悪さが少ない

・隠れる部分が多いことで日焼け防止にも(襟足はしっかり日焼け止め推奨)

・素足に兵児帯や半幅帯だけで良いので用意する小物が少ない

などなど…浴衣だとお値段も手頃なものが多く、本当にワンピースぐらいの感覚でいろいろな柄を楽しめるのも良いところです。

と、夏のふだん浴衣を全力で推していきたい私ですが、服飾史ということで、今回のテーマは「昔は下着や部屋着だったのに…」です!

日本の女性たちが政治の表舞台から姿を消していくのは、平安時代に入ってからです。

生活様式や儀式の進め方が唐から輸入した立礼式(屋外で立って行う)から雨が多い日本の気候に合わせた座礼式(屋内で座って行う)に変わっていくとともに、政治運営は男性中心に。特に高貴な女性は人前に出なくなっていきます。

そして浴衣が字のごとくかつてはお風呂の時に着るものだったことはご存知の方も多いかもしれません。

浴衣はお風呂の時に着るもの

元々は平安時代のお風呂は蒸し風呂が主流だったため裸で入らず、麻で作られた簡易な衣服、湯帷子(ゆかたびら)を着て入っていました。それが江戸時代までには裸でお風呂に入る習慣になり、風呂上がりの汗を吸うために浴後に着るものが浴衣となりました。

現代の感覚でいくとバスローブが日常着として浸透したような不思議な感覚ですね。

これに似た歴史を辿っている衣服があります。それが現代の着物の原型となる「小袖」です。

下着だった小袖が表に出てくる

小袖もまた、元は人に見せるようなものではありませんでした。

平安時代前半には男女ともに下着は「単」と呼ばれる大袖の衣だけで、素肌に袴を履いていました。しかし平安文化が隆盛を極めていくなか、衣が大ぶりになり下着の用途を果たすものがなくなってしまったので、庶民が着ていた筒袖の衣服(=小袖)を下着として身につけるようになったようです。

そして鎌倉時代以降には貴族的な襲(かさね)が省略されていき…

下着だった小袖が表に出てくるとともに、色がついたり柄や刺繍が施されていくようになって小袖自体がファッションの主役に躍り出ていくのです。

こうして見ると面白い。

「浴衣」はバスローブやヨガ・ランニングウエアなどのファッション化、「小袖」は2000年代に流行したキャミソールワンピや見せパン、見せブラというところでしょうか?

2000年代に流行したファッション

もちろん現代においてはこれらがファッションの主流になっていくということはないでしょうが、歴史のなかで試行錯誤しながらより快適なおしゃれを追求していった結果「たどり着いたのが下着だった」という柔軟な発想が面白いですね。

「小袖」は大躍進した結果「着物」になり、「浴衣」はお風呂に関係なくなった今も夏を気持ちよく過ごせるよきアイテムになりました。

昔の人の知恵で虫除けにもなる藍染のシンプルな浴衣が大好きな私ですが、今はカラフルで素材もいろいろな浴衣が発売されていますね。

帯締めなどでちょっと着物風にアレンジしたり、半襟をつけてみたり…

浴衣のおしゃれも幅広くなっているので、大人も子どもも今年の夏はぜひ気楽に浴衣にチャレンジしてみてくださいね。

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