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お気に入りの下駄を見つけて、一年中楽しもう! 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.54

お気に入りの下駄を見つけて、一年中楽しもう! 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.54

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あるデパートの呉服売り場で下駄を探したことがありました。季節は冬。東京の冬は積雪もないし、新年から履く新しい下駄をと思ってのことだったのですが、売り場の方に「下駄は夏のものですから、冬に来ても下駄はありませんよ」と言われてしまったのです。驚きました。

きものの収納、どうしていますか?

個人的には、きものは畳んで収納することをおすすめします。袖山や肩まわりのラインがきれいに保てることと、なにより平たくなるのでたくさん積み重ねられるようになります。とはいえ重ねすぎると取り出すのに苦労しますけどね……。

お気に入りの下駄を見つけて、一年中楽しもう!2

自宅のボイラーが壊れまして、お風呂に入れない日々を温泉通いで過ごしました。一般的には銭湯通い、と言ったほうがわかりやすいでしょうか。わたしが住む山形県は温泉地で、すべての自治体で温泉が湧いているので、日帰り温泉がたくさんあるのです。

ところで、わたしにとっての「お風呂上りの必需品」と言ったらなんだと思いますか?

答えは、下駄です。素足に履く下駄の心地よさは何物にも代えがたい!

実はわたし、下駄が大好きで、それこそ何種類も並べて使い分けをしています。お出かけ用には鎌倉彫。お風呂上りやちょっとサンダル代わりに履くときは杉のもの。鉄線が刺繍されている鼻緒の下駄は、あまりにも素敵なので箱にしまいこんだまま、いつか娘にと思いながら、年に一度開いて眺めてうっとり、というものもあります。

「二枚歯」の下駄に憧れるのですが、どうしてもバランスを取りながら歩くのが苦手で、一見草履に見える「舟形」か、軽くて歩きやすい「右近」ばかりを選んでいます。

また、上から見たときに角ばったデザインの下駄にも憧れているのですが、階段を上るときにうっかり角をぶつけて欠けてしまうのが怖くて、手を出せずにいます。

以前、東京に住んでいるときに、あるデパートの呉服売り場で下駄を探したことがありました。季節は冬。東京の冬は積雪もないし、新年から履く新しい下駄をと思ってのことだったのですが、売り場の方に

「下駄は夏のものですから、冬に来ても下駄はありませんよ」

と言われてしまったのです。驚きました。

下駄は一年中履いていいもののはず。冬は別珍の足袋に下駄を合わせるのが楽しみなのに、そのデパートでは浴衣のときにしか売れないもの、と決めつけてしまっているのね、と残念に思ったものでした。木綿や紬のきものには、下駄の素朴さがしっくりきます。決して浴衣だけのものではありません。

とはいえ、目につくのはこれからの季節。いろいろな下駄が出回るのですから、お気に入りを手に入れるチャンスです。夏だけのものと思わずに、一年中履くと思って選んでください。

先日、母とわたしと娘と姪っ子の四人で下駄屋さんに行きました。それぞれがお気に入りを探して一足ずつ買う、という家族のちょっとしたイベントです。母は水を得た魚のように張り切って、あっちはどうか、こっちも素敵、とそれは楽しげな様子でした。

黒い塗りの下駄と赤い鼻緒の下駄

娘が選んだ下駄は、黒い塗りに金でさりげなく若松を描いた台に、ビビッドな水色の鼻緒。姪っ子は白木に小さな桜が描かれた台に赤い鼻緒。わたしはちょっと変わった鎌倉彫の台に印伝の鼻緒。

ちなみに母は孫ふたりの分だけを支払って、にこにこしておりました。
ま、そうなるわな、と思いつつ、それぞれが満たされた気持ちで帰路につく、いい時間になりましたよ。

イラストに登場したお品はこちら!

下駄・草履 京都きもの市場

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