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雨を楽しむ水無月 「月々の文様ばなし」vol.3

雨を楽しむ水無月 「月々の文様ばなし」vol.3

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草木の葉も、いまでは雨を受けとめるのに充分な大きさに成長しました。私たちも、気持ちを広やかに、ゆったりとして梅雨を迎えたいものですね。

月々の文様ばなし

皐月は、湿度の高い日本の気候の中で、おそらく一番快適に過ごせる季節ではないでしょうか。爽快さのある文様や色を身にまとい、軽やかにお出かけいただければと思います。

雨を楽しむ水無月

六月は、日本の四季にとって欠かすことができない梅雨がやってきます。

面白いことに、「水無月」とはいっても、水と親しい文様が多く登場する季節の到来です。

梅雨の景色に欠かせない「紫陽花」

水無月の文様 紫陽花

梅雨の景色に欠かせないものの一つ、「紫陽花」。

日本原産というだけあって、古くから親しまれ、鎌倉時代には園芸用の紫陽花も愛でられていたとか。意匠化された文様がいにしえの小袖や能衣装などにもみられます。

夏の着物や帯、そして浴衣にも多く用いられている、私たちにはとてもポピュラーな文様のひとつです。

リズミカルな「露芝」

水無月の文様 露芝

芝草やススキなどの葉から、雨露や水滴がパラパラと跳ね飛ぶような「露芝」文様は、緑濃い季節の一瞬を、リズミカルに、グラフィカルに表現しています。

秋草などと取り合わせることもありますが、露芝の柄だけを用いた付け下げ小紋の単衣や絽など、季節ならではのお洒落として楽しんでいただきたいものです。

雨を楽しみに変える「傘」

水無月の文様 傘

若かりしころ、憧れていた赤い和傘を一本手に入れましたが、「傘」をさすたび、内側の飾り糸の美しさにうっとりし、雨の日のお出掛けが楽しみになりました。

梅雨の時期も、傘模様を身にまとうことで鬱陶しい雨を楽しみに変え、また、もしも空梅雨なら、雨を呼ぶおまじないのようにして、遊び心を効かせてお召しいただければと思います。

しっとりした大人の風情「ホタル」

皐月の文様 ホタル

文様に虫を取りこむことで季節をあらわすのは日本だけかもしれません。

夏のある時期だけ、清流のほとりで見られる「ホタル」の模様は、どこかしっとりした大人の風情をも感じさせてくれる文様ですね。

洒落た風情「団扇」

水無月の文様 団扇

「団扇」は日常使いの道具の一つ。

昔の暮らしにあった竈門や七輪などで火をおこすものとはちょっと区別して、夏の暑さの中でやわらかい涼風を思わせる団扇の文様は、季節を問わない扇子の文様よりも、どこか洒落た風情があります。

浴衣や染め帯などで楽しんで。

自在な表現と調和「水」

水無月の文様 水

海、川、湖、池など、私たちを取り囲む自然環境の中で、さまざまに姿を変える「水」。

流水、渦、滝、さざなみや荒波など、古くから文様化されて、呼び名もそれぞれにあります。

水の文様はまた、桜や紅葉、舟、岩、水草、魚貝や鳥たち、風景など、どんなモチーフと組み合わせても、表現が自在なので、絵柄全体を調和させる、とても優れた文様です。

これからの季節、お好きな水の文様をまとって、気分よくお出かけいただければと思います。

草木の葉も、いまでは雨を受けとめるのに充分な大きさに成長しました。
私たちも、気持ちを広やかに、ゆったりとして梅雨を迎えたいものですね。

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