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幻想的映像美を担う衣装の存在力『ホリック xxxHOLiC』 「きもの de シネマ」vol.13

幻想的映像美を担う衣装の存在力『ホリック xxxHOLiC』 「きもの de シネマ」vol.13

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銀幕に登場する数々のキモノたちは、着こなしやコーディネートの良きお手本。せっかくなら、歌舞伎やコンサートみたいに映画だってキモノで愉しみませんか。GWの娯楽にオススメの『ホリック xxxHOLiC』について解体いたしましょう。

©2022「とんび」製作委員会

銀幕に登場する数々のキモノたちは、着こなしやコーディネートの良きお手本。せっかくなら、歌舞伎やコンサートみたいに映画だってキモノで愉しみませんか。今回ピックアップするのは、重松清氏のベストセラー小説を映画化した感涙必至の“家族の物語”です。

ビジュアルで魅せる、妖艶なる美

ごきげんよう。

さあ、いよいよ黄金に煌めく休日がやってまいります。コロナ禍において規制のない初の大型連休。みなさまは、どちらへおでかけでしょうか。

遠出をするにはまだ少し心配だし、かといって連日ウチに籠りっぱなしというのももったいない気がするし……という方は、ぜひ感染予防対策万全の劇場へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

もはやシネコンはもちろん単館の映画館でさえ、事前にネットで座席指定が可能な時代。前もって予約しておけば、券売機に並ぶ必要もなく、ストレスフリー! 

連休中は大作やアニメ映画が多く上映されますが、なかでも注目したいのが蜷川実花監督の最新作『ホリック xxxHOLiC』です。

alt=©2022 映画「ホリック」製作委員会  ©CLAMP Shigatsu Tsuitachi CO.,LT./講談社
©2022 映画「ホリック」製作委員会  ©CLAMP Shigatsu Tsuitachi CO.,LT./講談社

原作は、累計1400万部を優に超える創作集団・CLAMPの大ヒットコミック。

CLAMPの作品はその多くがアニメ化されていますが、実写映画化は初の試み。現実にちょっとした不思議がちりばめられたリアルファンタジーを描くのは、その映像美に定評のある蜷川実花監督です。上記のメインビジュアルだけで、納得の世界観!

©2022 映画「ホリック」製作委員会  ©CLAMP Shigatsu Tsuitachi CO.,LT./講談社
©2022 映画「ホリック」製作委員会  ©CLAMP Shigatsu Tsuitachi CO.,LT./講談社

主演は、神木隆之介。人の心の闇に憑く“アヤカシ”が視えてしまう高校生・四月一日(わたぬき)を演じます。

読者の皆さまは、あ!と思い至ってらっしゃるかと存じますが、四月一日と書いて「わたぬき」と読むのは、キモノ用語でもありますね。冬の間、防寒のためにキモノに詰めていた綿を抜く=衣替えを、旧暦4月朔日に行っていたといいます。

それはさておき、まだ高校生役が出来はりますか、神木きゅん!!
特殊な能力のせいで孤独な人生を送ってきた彼は、とあるミセ(店)へ迷い込みます。

©2022 映画「ホリック」製作委員会  ©CLAMP Shigatsu Tsuitachi CO.,LT./講談社
©2022 映画「ホリック」製作委員会  ©CLAMP Shigatsu Tsuitachi CO.,LT./講談社

そこは、妖しくも美しい女主人・侑子(柴咲コウ)が、どんな願いも叶えてくれる場所。
ただし、それには対価(代償)が必要だといいます。

彼女は一体何者なのか、ミセは夢か現か……。戸惑いながらも、四月一日はアヤカシを視ないですむ「普通の生活」を望むのです。

けれど、あいにくと彼は代償として差し出すよう求められた“一番大切なもの”が分かりません。そこで、侑子の提案に従ってミセに住み込み、家事を手伝うことになるのですが――。
果たして、彼は“大切なもの”を見つけて、平穏な日常を手に入れることができるのでしょうか。

謎めく世界から放たれる、極彩色

最も華やかかつ個性的な装いで観客を魅了するのは、紛れもなく柴咲コウさんでしょう。

とにかくミステリアスで、彼女こそが作品の世界観を担う存在。ゆえに実写化のハードルも高かったと思われますが、「侑子という役は、とても説明しにくい妖艶なキャラクターですが、美術の力、装飾の力、衣装の力が凄まじく、その力をお借りすることで、現場に入れば自然と侑子になることができました」とご本人もおっしゃっている通り、圧倒的なビジュアルで物語を導いていきます。

©2022 映画「ホリック」製作委員会  ©CLAMP Shigatsu Tsuitachi CO.,LT./講談社
©2022 映画「ホリック」製作委員会  ©CLAMP Shigatsu Tsuitachi CO.,LT./講談社

劇中、明らかにキモノをアレンジした独創的な衣装も登場しますし、お洒落上級者なアレンジにハッとさせられることも度々。

四月一日と同級生の百目鬼(松村北斗)やひまわり(玉城ティナ)の制服も格好いいし、アヤカシを操る女郎蜘蛛(吉岡里帆)やその手下・アカグモ(磯村勇斗)のエロス立ち昇る衣装も見どころです。

©2022 映画「ホリック」製作委員会  ©CLAMP Shigatsu Tsuitachi CO.,LT./講談社
©2022 映画「ホリック」製作委員会  ©CLAMP Shigatsu Tsuitachi CO.,LT./講談社

ちなみに、わたくしはデビュー作から余すところなく履修しているCLAMP読者。
本作のなかでは、クールなのにどこか不器用な百目鬼がお気に入りです。
寺の息子で、弓の使い手というのも萌え要素。そんな彼は、お祭りのシーンでは浴衣に袖を通し、あまりにも自然に道着を着こなします。篝火を背に弓を射る姿に、釘付けになってしまいました。

©2022 映画「ホリック」製作委員会  ©CLAMP Shigatsu Tsuitachi CO.,LT./講談社
©2022 映画「ホリック」製作委員会  ©CLAMP Shigatsu Tsuitachi CO.,LT./講談社

また、橋本愛さん扮する座敷童のお召し物も破壊力抜群。

これほど大柄で印象的なキモノにまったく負けていない橋本さんの端正な美しさたるや!身震いするほどです。登場は束の間ですので、お見逃しなく。

©2022 映画「ホリック」製作委員会  ©CLAMP Shigatsu Tsuitachi CO.,LT./講談社
©2022 映画「ホリック」製作委員会  ©CLAMP Shigatsu Tsuitachi CO.,LT./講談社

実は、今回この圧倒的な世界観を映像化するまでには、10年もの月日を要しています。

蜷川監督が自らの手で実写化したいと考えたのが2012年。2013年には「蜷川監督なら」と原作サイドからの快諾を得ますが、想像以上に脚本執筆が難航します。
途中、2016年に父である蜷川幸雄氏との別離を経て、映画制作への想いを強くされたといいます。その後ようやく、2020年にクランクインを迎えたのです。

全19巻の原作のどこを描くか、どのエピソードを採用し、どのキャラクターを登場させるか。2時間という短い尺に収めるのは、本当に大変な作業です。試行錯誤の末、四月一日が侑子と出会って成長するというシンプルな構造になりました。

原作未読でも心配無用。とにかく、目の前に広がる新体感の映像美に、とくとご心酔くださいませ。

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迫力を感じさせながらも気品に満ち、伸びのある構図とともに、唯一無二の着姿を演出。パーティーシーンや華やかなお席などにどうぞ。

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