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草木の萌え出る皐月 「月々の文様ばなし」vol.2

草木の萌え出る皐月 「月々の文様ばなし」vol.2

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皐月は、湿度の高い日本の気候の中で、おそらく一番快適に過ごせる季節ではないでしょうか。爽快さのある文様や色を身にまとい、軽やかにお出かけいただければと思います。

月々の文様ばなし

「春はあけぼの、ようよう白くなりゆく、山ぎわ少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる」、清少納言の有名な『枕草子』の出だしを読むと、いつもまぶたに浮かぶのが、「遠山」と「霞」の文様です。

草木の萌え出る5月

花の季節が過ぎれば、目にも眩しい若葉の季節になります。

さあ、草木の萌え出る勢いにのって、今回は皐月(五月)の文様ばなしをいたしましょう。

「八橋」に文学的風情を感じて

皐月の文様 杜若

五月五日の端午の節句には、古くから邪気を払うアイテムとして用いられてきた菖蒲ですが、初夏らしい風情を感じさせる絵柄の中でも、「杜若(かきつばた)」はスッキリした葉と花の姿で、ひときわ爽やかに映えます。

曲がりくねる小橋に杜若が見える「八橋」は、『伊勢物語』の東下りで、在原業平が詠んだという歌を連想させる文学的風情のある文様としてもよく知られていますね。

皐月の文様 杜若

目にも爽やかな「青楓」

皐月の文様 青楓

日に日に、木々の枝先から勢いよく葉が芽吹く季節。

中でも「青楓」は、ほんの一枝だけでも絵になります。

楓や紅葉というと、赤く色付く秋をイメージしがちですが、若々しく青い楓の葉が、いくつか流水に浮かぶ文様は、だんだんと暑い夏に向かう季節の中で、ひときわ涼感を与えてくれる文様の一つとして好まれています。

桜以上に季節限定?「藤」

皐月の文様 藤

名所旧跡、神社やお寺の庭にある「藤」の古木が、いっせいに花を咲かせた時の、優美で気品さえ感じる眺めは格別です。

古来より貴族など位の高い人々にも愛され、有職文様や家紋にとさまざまに意匠化されています。

ある意味、桜以上に季節限定ともいえる「藤」の花文様の帯が一本あると、趣味性も高く、品の良い着物姿を演出してくれますね。

「鰹縞」に季節を重ねて

皐月の文様 鰹縞

幾何学文様は、基本的には季節を問いませんが、それでも柄の強弱や、色の組み合わせによっては季節性があるように思います。

たとえば、縞。

中でも藍の濃淡で表現した「鰹縞」は、この時期に出回る初鰹を思い出させてくれることもあって、初夏にふさわしい文様のひとつではないでしょうか。

帯も博多などを合わせて、スッキリ小粋に装っていただきたい文様です。

”動”を楽しむ「柳に燕(つばめ)」

皐月の文様 燕

季節の移ろいとともに南方から渡ってきた「燕(つばめ)」たちが、空をスッと横切るように飛び交います。

速く飛ぶための翼や尾羽は特徴的で、その姿かたちが風を連想させるせいでしょうか、昔から人々に好まれてきました。

揺れる柳の下を飛ぶツバメの文様は、夏帯や浴衣にも多く登場する取り合わせです。

皐月は、湿度の高い日本の気候の中で、おそらく一番快適に過ごせる季節ではないでしょうか。

爽快さのある文様や色を身にまとい、軽やかにお出かけいただければと思います。

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