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夕陽の絶景ポイント”淡水”を訪ねて 「きもので歩く台北 2022」vol.1

夕陽の絶景ポイント”淡水”を訪ねて 「きもので歩く台北 2022」vol.1

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きもので旅に出る、旅にきものを持参する、そう考えただけでワクワクしませんか?どんな街に、どんなシーンに、どんなきもので?日本から飛行機で約3時間の台湾・台北。人気の観光地やおすすめのスポットを、ふらりきものでご紹介するシリーズのはじまりです!あなたならどんな装いで愉しみますか?

新連載スタート!

きもので旅に出る、旅にきものを持参する、そう考えただけでワクワクしませんか?

どんな街に、どんなシーンに、どんなきもので?

日本から飛行機で約3時間の台湾・台北。人気の観光地やおすすめのスポットを、ふらりきものでご紹介するシリーズのはじまりです!

あなたならどんな装いで愉しみますか?

「新北」の北側「淡水」

今回訪れたのは…

台北市内からのアクセスがよく、台北をぐるっと囲む地区である「新北」の北側「淡水」。
地下鉄MRT の淡水信義線の終点ですが、台北中心地から40分ほどで到着でき、半日旅行に最適なエリアです。

私は1人でもきものでどこへでも行きますが、仲間と連れ立って過ごす時間もまた格別。

仲間との時間は格別

茶道・日舞師範の資格を持つ台湾人 陳さん(右)と、台湾在住歴20年以上の日本人 ゆりえさん(左)にお付き合いいただきました。

思い思いのコーディネート

駅前

この日の台北は気温25度。前日の16度と比べ、突然暖かく(暑く)なりました。

陽射しは強かったものの、夏日というよりも日陰や風が心地良いまさに晩春のお出かけ日和。

チェックの着物の2人

それぞれ、思い思いのきもの姿にて駅前に集合しました。

台湾の3~4月は気温差が激しく、きものコーデは袷?単衣?夏物?と悩む季節です。

体感は人それぞれ。
この日私は、パールトーン加工済みのシルクの単衣きものにレースの羽織を持参しました(着るには至らず)。

友人たちは綿きもの、偶然にも2人ともチェックでした。

手軽さが魅力
洋服感覚で

同じチェックでも大きさが違うチェックは印象も異なり、合わせる帯でそれぞれの個性が引き立ち、とっても素敵。汗をかいても自宅で洗濯ができる手軽さは、やはり1番の魅力でしょうか。

飾らない街歩きのカジュアルコーディネートは、洋服感覚で。

足元もスニーカーや機能性草履など、歩きやすさ重視の履き慣れたものが良いですね。

淡水の魅力

淡水富士

駅を出て左の河口側には、広々とした公園と遊歩道がどこまでも続いています。

対岸には、日本統治時代に淡水富士と呼ばれた観音山のふもとが。夕陽の絶景ポイントでもあります。

大通りと遊歩道の間には老街(オールドストリート)があり、食べ歩きを楽しんだり、お土産物屋さんに立ち寄ったり。

また大通り沿いには、スペインが拠点を置いた時代や、日本統治時代の歴史的建造物が並びます。

大通りと遊歩道
歴史上重要な役割

淡水は、清朝時代から港町として栄えた場所。

異文化を受け入れてきた台湾の歴史上重要な役割を果たした場所であり、独特の発展をとげてきたところでもあります。

歴史的建造物を見て歩く、食べ歩きを楽しむ、または河岸に座ってボーッと過ごす、など楽しみかたもいろいろ。

広い範囲に見どころがたくさんあります。

見どころがたくさん。
台湾の元祖エクバック

老街の入り口で、早速お揃いの「漁師網バック」を手にした私たち。

台湾の元祖エコバックですが、今はさまざまな配色と大きさがあり、水に濡れても良いナイロン製。軽くて丈夫、レトロで可愛いと、台湾の人気お土産物の代表格になっています。

小さいもので50元(日本円で約200円)からと、リーズナブルなのもポイントです。

台湾カステラのお店
寄り道中

淡水には、台湾カステラをはじめ、台湾在住者の間で有名なお店もたくさんあります。

コロナ禍で観光客がいなくても、休日には人が並ぶほど。私たちは寄り道をしながら、今回の目的地としたひとつ目の場所へ向かいました。

日本を想う場所

和室

目指した場所は「淡水日本警官宿舍」。
その名にあるように、日本統治時代、警察官の住まいだった建物です。

最初は迷いもありました。

リノベーションされていますが、純和風ではなく「和漢洋」な当時の佇まいの残る官舎の和室や縁側に座ると、時の流れが止まったような不思議な感覚を覚えます。

着物は「日常に着る物」

「今日からここは日本だ」と言われ、それまで使っていた言語や、住んでいた場所を取り上げられた人々がいて、日本語を使い、日本化していく街並みの中で生活をし、日本人として戦争で命を落とした人々がいる国。

台湾を一つの独立国として認めていない中国との関わりは、親族がいる、ビジネスの拠点があるなど、計り知れないほど深いのに、台湾が台湾でなくなってしまう脅威に常にさらされている国。

のほほんと、きもので観光して良いものか、最初は迷いもありました。

でも陳さんはじめ、複数の台湾人の方から、「きものは日本人が着るのは当たり前でしょう」と言われ…。

当たり前ではなくなってしまっている現実に、ハッとしたのでした。

淡水日本警察宿舎

国そのものがなくなるかもしれない恐怖を今まで考えたこともなく、日本独自の文化を自ら放棄していることに。

「日常に着るもの」として堂々と、着たい時にきものを着よう、あらためてそう思った瞬間でした。

「好きだから着る」
きものをファッションとして

海外に暮らすと、自分が「日本人」であることを否が応でも意識させられます。そして時には、日本人代表のような印象を与えかねません。

日本にいるきもの好きの見知らぬ方から「海外で日本文化を…」と過大な期待をこめたメッセージをいただくこともあります。でも「大義があってきものを着ているわけではない」のです。

「好きだから着る」という常識が、ずっと残ってほしいと思います。

そして日本人に限らず「きものが好き」という人が、きものをファッションとして自由に楽しんだり、その先に一歩進んで、様々なルールを文化という側面から理解しようとしていただけたら、とてもうれしいことだと思うのです。

淡水といえば夕焼け

淡水といえば夕焼け。

「淡水」といえば夕焼け。
淡水に行くなら外してはいけないのが、夕焼けスポットなのです。

河岸をずうっと歩くかフェリーで行く「淡水漁人碼頭」は、ロマンチックな沈む夕陽が見られる場所。映画のロケにも使われています。

フェリー乗り場

私達はこの日、フェリー乗り場の長蛇の列に、残念ながら並ぶのを諦めて、一旦休憩。

お洒落なカフェ

お洒落なカフェもずらっと立ち並んでいますので、暑くない季節ならテラス席でゆっくり陽が沈むのを眺めるのも良いかもしれません。

渇いた喉を潤したあと、私達は「淡海ライトレール(輕軌/LRT)緑山線」で淡水漁人碼頭を目指しました。

(↓以前ご紹介した際には、砂浜からの夕陽でしたね。)

『塩田千春展:魂がふるえる』 作品の前で

着物姿でアート作品の前に立つ時、私はできるだけ作品の一部になりたいと思っています。着物姿でコラボレーションし撮った写真が、私にとっては、私のアートなのです。

淡水漁人碼頭
今回のぶらりきもの旅はおしまい。

半日たっぷり遊んで、日没とともに、名残惜しくも今回のぶらりきもの旅「きもので歩く台北」はおしまい。

次回の約束をしてそれぞれの帰路へ着きました。

◆ 海外できもの・お役立ちメモ ◆

旅行者の着物コーデアドバイス

空港にて

旅先でのきもの姿は、汚れを気にしなくてよいものが一番。
帯も、半幅帯・兵児帯など、道具が少なく薄くて軽い物は使い勝手が良いのではないでしょうか。

名古屋帯の場合、私は「銀座結び」が大好きなのですが、リュックを背負った場合と同じくらい場所をとりますので、経験からですが乗り物に乗る際には「お太鼓結び」にした方が場所をとらず、背もたれにもたれかかっても帯枕がクッションになるので後ろの衿が押されず楽でした。

一方で、帯枕を使うお太鼓結びは、南国の夏には背中がより暑く感じられます。

イミグレーション通過の際に気をつけたいのは、帯留めと、帯締めがわりにベルトをすること。金属探知機に反応してしまうことがあります。

帯周りなど全て布製で、バックル的なものがない場合には、止められたことはありません。

台湾の気候ときもの

体感は個人差

台湾は南国なので一年中夏着物でも良いと思われるでしょうが、北と南では気温差がありますし、外気温が上がると一年を通してどこも冷房が入るので、かえって寒い思いをすることもあります。

特に11月から3月までは日ごとに最高気温が10度も違う日がある場合もあり、悩ましい時期です。 

基本的に袷(あわせ)なら帯付きで、単衣(ひとえ)なら羽織りものがあれば安心でしょう。袷でも寒いと感じる日は一年のうち数日です。

体感は個人差がありますし、どこかで目にした「20度を超えたら単衣」というのも私には「まだ袷」が心地良いライン。湿度の違いもあるので、月や気温で区切って「これでなければならない」と決めるのは無理な気がします。

ちなみに気温20度程度の台北では、ダウンコートを脱がない人々を多く見かけます。

3月や4月には暖かさより急に暑さを感じる日もあり、逆に寒の戻る日もあり、袷と単衣と夏物とを混在させる時期でもあります。

4月後半以降10月までは、旅行者であれば間違いなく夏きものや浴衣で良いと思います。冷房に弱い方は、ショールなど、膝にかけたり首に巻けるものがあると便利でしょう。

陽射しが強いため、日傘は必ずお持ち下さい。突然雨に遭遇することもありますので、雨天兼用のものがおすすめです。

履き物も草履なら機能性のものを。また履き慣れたサンダルや靴、ブーツなども良いと思います。

きもので歩く台北

新連載「きもので歩く台北」では、訪れる場所やシーン・気候に合わせたきものコーデをバリエーション豊かにご紹介していきます。

近い将来、台湾(台北)や他の海外のスポットを訪れる際のご参考になればうれしいです。

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