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『PILGRIM(ピリグリム)』 メインシェフ 北野ゆりかさん(後編)「MariMaedaが訪ねる、パリで活躍する日本人」vol.2

『PILGRIM(ピリグリム)』 メインシェフ 北野ゆりかさん(後編)「MariMaedaが訪ねる、パリで活躍する日本人」vol.2

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29歳の若さでメインシェフに抜擢された北野ゆりかシェフ。前編のインタビューに引き続き、今回はそのお料理をご紹介いたします。またお店のあるPASTEUR(パストゥール)界隈を着物姿で散策も。海外で着物を着る際のポイントについても解説いたします。

北野ゆりかシェフインタビュー

さまざまな分野においてパリで活躍する日本人の方々にスポットを当て、私の大好きな着物姿にてお話しをお伺いしていきます。初回は、パリ15区にある一つ星フレンチレストラン『PILGRIM (ピリグリム)』メインシェフ、北野ゆりかシェフを訪ねました。

みなさま、ごきげんよう。

春の訪れとともに、お着物をお召しになる機会も増えているのではないでしょうか。どうぞ、お健やかにお過ごし下さいますよう。

さて今回は、前編に引き続き『PILGRIM(ピリグリム)』北野ゆりかシェフのお料理のご紹介から、お店のあるパリ15区、PASTEUR(パストゥール)界隈の様子もお届けいたします。

以前の連載でも多数取り上げておりますが、パリの街並みはなぜか着物姿が驚くほどマッチいたします。

予約のとれない人気店

まずはレストランの外観からまいりましょう。

最寄りのメトロ駅「PASTEUR」から、徒歩5分ほどでお店に到着。あいにく雨が降ってきそうな気配でしたので、さっそくお店に入ります。

お店に到着
心弾みます。
ミシュラン2021のプレート

入口には、ミシュラン2021のプレートが。

どのような感動や刺激に出会えるのか、期待で心弾みます。

話題のお店ですから、予約は常に先のほうまで埋まっているそう。店内は、流行に敏感な多くのパリジャン・パリジェンヌで賑わいをみせています。

賑わう店内1
賑わう店内2

地下に向かう階段を下りるとワインセラーがあり、フランス各地のワインがずらり。

ワインセラー
アペリティフは白ワイン

アペリティフは、白ワインでスタートとしました。

スマートな接客

丁寧でスマートな接客が心地よく、またテーブルや窓には、さりげなく季節の花々が活けられています。

爽やかで芳醇なワインをいただきながらお料理を待ちます。

ワインをいただく

”Terre et Mer”なお料理の数々

インタビュー前編では、「大地の物と海の物を組み合わせる料理(Terre et Mer)が好き」と語ってくださった北野ゆりかシェフ。
いただいたお料理には、まさにそれが具現化されています。

アミューズ・グール
photo by MariMaeda

アミューズ・グール(amuse-gueule)の美しい盛り付け。春を感じます。

スープ(soupe)は、かぼちゃのムースにカフェの泡、かぼちゃの種がパラリ。

スープ
photo by MariMaeda

こちらは、イカ墨のチップスにブルターニュ産ムール貝、チョリソーのマヨネーズ。ブラックとオレンジのコントラストが鮮やかです。

花びらがアクセント
photo by MariMaeda

スミレの花びらも紫がアクセントになって、とっても芸術的。お味はもちろん…美味そのもの!

ポワソン
photo by MariMaeda

ポワソン(Poisson=魚料理)は、帆立の炭火焼きです。

エリアンティス(菊芋の仲間)のコンフィ(油の中で低音で火を入れたもの)に菊芋のクリーム、菊芋のチップス。ホタテの焼き具合が絶妙で、はらりと舞うような紫とグリーンの葉がお料理でありながらシャビーシックなムードも。

ビアンド
photo by MariMaeda

メインのヴィアンド(Viande=お肉料理)はこちら。
ノルマンディ産プーラルド(poularde=肥鶏)のロティに、パセリの根のコンフィー、ケールが添えられています。

デセール
photo by MariMaeda

デセール(le dessert)は、パン・オ・ルヴァンのアイスクリームにヘーゼルナッツ。繊細な甘さのなかにナッツの触感が感じられます。

大満足のコース
photo by MariMaeda

プティ・フール(petit fours=お茶菓子)は最後のお楽しみですね。
エスプレッソ(expresso)でいただいて、大満足のコースです。

若くしてメインシェフに抜擢された北野ゆりかシェフの、女性らしい繊細さと確かな力強さの同居するお料理に心まで満たされました。

真面目で誠実なお人柄は、お料理にも如実に反映されています。

これからますますのご活躍が期待されます。

北野ゆりかシェフ
北野ゆりかシェフインタビュー

さまざまな分野においてパリで活躍する日本人の方々にスポットを当て、私の大好きな着物姿にてお話しをお伺いしていきます。初回は、パリ15区にある一つ星フレンチレストラン『PILGRIM (ピリグリム)』メインシェフ、北野ゆりかシェフを訪ねました。

PASTEUR(パストゥール)界隈を散策

メトロ「PASTEUR(パストゥール)」駅はパリ15区に位置し、近くにはパスツール研究所があります。

PASTEURパストゥール

その名の通りこの駅名は、フランスの微生物学者および化学者として著名なルイ・パストゥール(1822〜1895)に因んで名付けられたもの。

ぜひその出入り口にもご注目を。パリのメトロの多くは19世紀アールヌーボー調で趣があります。ロートレック(アンリ・ド・トゥールーズ)やミュシャ(アルフォンス・ミュシャ)の絵画が頭の中に浮かんできますね。

PARIS万博が開催され、ジャポニズムに注目が集まったこの時代…
そのせいでしょうか、このペパーミントの鉄格子と着物姿、意外なほどにしっくりとマッチしているのではないでしょうか。

この日は風も強く朝から雨模様の天気でしたが、この撮影の時だけはほんの一瞬、青空を垣間見ることができました。

キオスクの売店

すぐそばにはキオスクの売店があり、雑誌やポストカードなどが販売されています。

かすかにエッフェル塔をのぞむことができるロケーションです。

キオスクの窓を通して

ブルーのパラソルが立ち並ぶ素敵なカフェや…

パリらしいお花屋さんには、季節のミモザの花が。

ニースのカーニバルの時期にはミモザ祭りが開催され毎年訪れていましたので、そのことを懐かしく思い出しました。

ミモザの花

この日の装い

この日の装い

この日は、白い総絞りの訪問着で撮影に臨みました。日本の自宅にしまい込んでいた一枚を、一時帰国したタイミングでパリに持ち帰ったものです。

純フォーマルという雰囲気ではなく、ひげ紬の羽織を組み合わせて少々カジュアルダウン。

実はこちらの羽織、箪笥の中をチェックしていましたら、前々から欲しいと思っておりましたひげ紬の反物をみつけ、早々に自作で仕立ててみたものです。和裁を習ったわけではないのですが、洋裁はプロなのでなんとなく形になっておりますでしょうか。

クラッチは、パリのセレクトショップで購入した洋装用のもの。クロコダイルの型押しとスエードのコンビに、ファスナー使いが少しワイルドな印象です。

白い着物を着る時は、伊達衿を入れるようにしています。着こなしが引き締まりますし、着物を汚さないためというのもあります。

羽織が黒で重ためでしたので、伊達衿と帯揚げには春らしくピンクを入れてみました。

伊達襟と帯揚げ

羽織紐には、パールのネックレスをアレンジ。

エメラルドブルーの帯締めを利き色にして、お気に入りのひなやさんの組み帯を締めました。シワになりにくくとても軽いので、旅の時などにも重宝しております。

末広扇子は、螺鈿で花のアクセントがあしらわれたものを。

羽織紐

海外で着物をお召しになられる時に、どのような着物を選んだらよいか悩まれる方も多いと思います。

私の経験から、何点かおすすめしたいポイントがあります。

(1) かさばらず、軽い帯や着物をセレクト
(2) シワになりにくい素材を選ぶ
(3) 羽織ものを用意する 

(1)(2)はご想像に難くないと思いますが、(3)の羽織ものというのは、天候や気候の調節にもなるということ、そして大切な着物や帯の汚れ防止にもなるという理由です。

また海外で着物を着ていますと大変に人目を引きますので、私の場合は、目的地に到着するまでは落ち着いた色の羽織を着ていることが多いです。

この3点は重要なキーワードだと思いますので、参考にされてみてください。

あとがき

私の旅も続きます。

パリは、これから桜の季節を迎えます。
日本の桜に比べると小ぶりですが、花びらのピンクの色合いが濃く華やかな趣があります。

これから桜の季節。

エッフェル塔を眺めながら世界に広がる災厄の終息と平和を願いつつ、新しい感動の出会いを求め、私の旅も続きます。

次号もパリを舞台に素晴らしい生き方をされている日本人にスポットを当て、着物でインタビューをしてまいります。どうぞお楽しみに。

撮影/助友利矢子 ※MariMaeda撮影分以外

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