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京都きもの市場オリジナル 店舗店長と行く、沖縄工房見学ツアーレポート 琉球紅型・花織・芭蕉布…沖縄の豊かな着物文化を現地で体験!

京都きもの市場オリジナル 店舗店長と行く、沖縄工房見学ツアーレポート 琉球紅型・花織・芭蕉布…沖縄の豊かな着物文化を現地で体験!

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毎回好評!京都きもの市場オリジナルの沖縄工房見学ツアー。琉球紅型や花織の作り手さんの工房にお邪魔して、制作風景や工程を見て、そして作品への思いも直接聞いていただける内容充実の3日間、その模様をお客様にレポートしていただきました。

琉球紅型、花織、芭蕉布…
沖縄の着物や帯の色合い・風合いには、自然の豊かさそのものが閉じ込められています。

そして、大きな戦争により焦土と化した地から文化を復興するべく、ものづくりに命を燃やしてきた職人達の魂も込められています。

自然と歴史、その雄大さを体験し、沖縄のものづくりの源流を探るべく、去る2019年9月、京都きもの市場では沖縄工房見学ツアーを開催いたしました!

普通の観光では行くことができない、京都きもの市場オリジナルのちょっとマニアックな着物や帯の工房見学ツアー in 沖縄。

お客様にも毎回好評で、既に10回以上も開催している人気のツアーです。

今回はその模様を、実際にツアーにご参加くださったお客様にレポートしていただきました。

レポーター/門司悦子

福岡市内在住。
ほぼ毎日着物で過ごす、着物愛好家。
現在は着付け技能検定2級の資格を活かして、着付け教室でのお手伝いや振袖の着付けなどに携わっています。
着るだけでなく、きもの文化を学ぶことも大好き。
積極的に検定試験にも挑戦し、和裁・産地・歴史など様々な知識を日々深めています。

三連休直後で大混雑の沖縄・那覇空港に、京都きもの市場さん商品部の野瀬課長、名古屋栄店・門屋店長、福岡天神店・横尾店長。

そして琉球染織への並々ならぬ愛情と知識に満ちた問屋さんの男性スタッフ4名と、名古屋から3名、福岡から5名の参加者が集合し、レンタカー2台に分乗して、「京都きもの市場沖縄ツアー」いざスタート!
昼食後、最初の見学は、城間びんがた工房。
城間栄市さんが型紙や道具を手に、紅型の歴史から丁寧に説明して下さいます。

工房内には多彩な色、藍型の作業中の別の場所の傍では、かめの中で藍が建っていました。

藍の管理にはやはり気を遣われるようで、時には水あめや泡盛を与えたりもするとか。

見学の締めには、栄順先生にもお出まし頂いて記念撮影。

沖縄の数多い染織品の中で唯一の染めである紅型、さすがに華やかでした。

次に向かうのは、北部に位置する大宜味村。
喜如嘉の芭蕉布の産地です。
首里から1時間45分程度、窓の外の広大な水平線を眺めているうちに村に入り、沖縄らしい造りの家屋が点在する地域に、芭蕉布会館がありました。
説明VTRを鑑賞後、2階へ上ると、あの平良敏子さんが黙々と苧積みをなさっていました。

籠に広げられた繊維の上に一掴みほどの小豆が置いてあったのは、重石の役割をしているとのこと。

室内は加湿器で、戸外も南国らしい蒸し暑さの中を糸芭蕉の畑へ。

3年経過して伐採されたばかりの部分もありましたが、この樹木からあの布が出来上がる迄に、どれだけの手間がかかっているのかが、改めて感じられました。

この日の宿泊は、名護のかりゆしビーチそばの大きなリゾートホテル。
豚しゃぶしゃぶのお店での夕食は、織物作家の宮城麻里江さんをゲストにお迎えしての懇親会となりました。
宮城さんはこの4月に福岡天神店へお越しで顔なじみだったことと、そのかわいらしい容姿から、つい「麻里江ちゃん」呼びの参加者も居たり、二次会まで楽しく過ごしました。
二日目は、読谷山・南風原・首里の花織を巡る織物尽くしの1日。
読谷の工房真南風(まふえ)は、染料の全てが身近な自然からの天然染料。
その糸を染める作業場は明るくとても清潔で、ピカピカの大きなステンレス鍋はまるでレストランの厨房のようでした。

2階の織りの作業場では、読谷山独特の花織の工程も拝見しましたが、本当に細やかな手仕事でなければ不可能だと思えるものです。

眼下に海を一望できる広々としたギャラリーは、まだ新しくすっきりとした感じのきれいなスペースで、展示してある反物をゆっくり鑑賞したり、紅型の分厚い見本帳を見たり。

沖縄名物のそばのお店での昼食後に訪れた、宮城さんの竹工房は、一見、町の中の普通の建物のようでしたが、ここでも何人もの機織りの音が心地よく響いていました。

作品のデザイン課程からの資料を見せて頂いたり、織りあがったばかりの反物を問屋さんがお勧めされたり、着物好きには心躍る時間ですね。
首里織の工房では、本当に沢山の見本の布が並べられていましたが、琉球王府時代に上流階級のための織物だった流れを汲んで、格調が感じられます。
中でも絽織が印象的な花倉織が、王家・貴族が着用していたのも納得の高貴な雰囲気でした。

どこの工房でも花織の為にそれぞれの「花綜絖」がありましたが、装置の仕組みを説明されても、実際に足の操作でそれが上下して色々な模様が織り出されていく様子は、まるでタネも仕掛けもはっきりしているマジックのようでした。

二日目の夜は、ホテルもほど近い那覇の国際通り、沖縄料理と琉球舞踊のお店で盛り上がりました。

まさに沖縄の宴会モードで、我々の一行からも、舞台で一緒に唄い踊っていた面々が。

ステージ上での記念撮影は、このツアーのハイライト!?

最終日の朝は、大城廣四郎工房へ。
こちらでは大城一夫さんから、絣の模様の由来やそれを作り出す道具等について、細かくご説明を頂きました。

広い2階では十何台もの織機で織り手さんが各々の柄の反物を織り出されている様子に、ちょっと圧倒されそうでした。

この後、首里城観光に向かいましたが、突然の雨で、残念ながら守礼の門までで引き返すことに。

昼食後、知念紅型研究所へ。

知念冬馬さんが、紅型三宗家としての歴史等のご説明や、実際に型置きの作業をしてみせて下さいました。

糊が薄い青の綺麗な色で、そのまま型染めの反物でいいのでは!?との声が多数。

実際には、この後に幾つもの工程を経て、あの多彩な色で数多くの模様がくっきり浮かび上がってくるわけですけれども。

沖縄は戦争で全てが焦土と化し、数多くの伝統工芸も断絶しそうでした。

やっと日常生活を取り戻していくのが精一杯の中で、途絶えかけた染織の技術をよみがえらせる為に尽力された先人達のおかげで、今は若い力での継承が進んでいるように思えます。

その作品を着る側へ伝える業者の皆様のお仕事の一端、普段はお目にかかれない仕入れの現場等も垣間見ることができ、
一つ一つの品物、作り手さんへの愛が感じられて、とても為になりました。

着物は何人もの職人さんの技術と心がこめられた宝物。

着用してこそ活きる、その日本の芸術品を身につけられるのは素晴らしいことですよね。
もっともっと沢山の方が、着物に親しまれますように。
最後に、この度で触れ合えた全ての皆様へ、楽しく充実した時間をどうもありがとうございました!
(こういう素晴らしいツアー、またぜひ企画してください。)
京都きもの市場では、沖縄の風を感じられる作品を多数ご紹介中!

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