着物・和・京都に関する情報ならきものと

人気芸妓・紗月さん、引き祝いを終えて祇園街を巣立つ

たくさんの感謝と愛に包まれて。人気芸妓・紗月さん、引き祝いを終えて祇園街を巣立つ

記事を共有する

2021年11月に芸妓を引退した紗月さん。引き祝いには多くのメディアと関係者が集まり、その巣立ちを見守りました。コラム『紗月がゆく!祇園・人気芸妓が訪ねる京の技』を連載する「きものと」編集部も当日は現地へ。引退直前の10月に撮影した”ここだけ”のオフショットも加え、紗月さん引退の模様をお届けいたします。

男衆さんに付き添われ、惜しまれつつも引退

2021年11月に芸妓を引退した紗月さん
2021年11月に芸妓を引退した紗月さん

昨年11月、祇園甲部の人気芸妓・紗月さんが引退されました。

舞妓に憧れて、中学卒業後に祇園の置屋「つる居」で仕込みさんとして修行生活を始めた紗月さん。舞の稽古に励み、2011年2月28日にお店出しをして舞妓デビューを果たします。そして4年後の2015年2月23日に、衿替えをして芸妓さんに。

周りを幸せにする笑顔と親しみやすい人柄で人気を博し、舞妓2年目の2013年から連続7年成績優秀者1等の快挙も達成しました。

男衆に付き添われてお世話になった方々への挨拶回り
男衆に付き添われてお世話になった方々への挨拶回り

11月1日には、そんな紗月さんが男衆(※)さんに付き添われ、お世話になった関係者に挨拶周りをする姿がありました。

大勢のメディアや一般の方が紗月さんをひと目見ようと集まり、街全体がお祝いムードとなった「引き祝い」(※)。たくさんの人に惜しまれつつ、紗月さんが花街を去った当日の模様をたくさんの写真とともにお送りします!

※男衆(おとこし)…芸舞妓の着付けをはじめ身の回りの世話なども行う男性。祇園街にも数人しかいない。
※引き祝い(ひきいわい)…芸舞妓さんが引退される際に、“引祝”と書かれた三角の紙と熨斗に本名が添えられた御赤飯などを、お世話になった方々へ配りながら挨拶回りをする伝統的な習わし。

感謝の気持ちを込めたたくさんの荷物を抱えて
感謝の気持ちを込めたたくさんの荷物を抱えて

祇園街への敬意を込めた装いで

白練色の訪問着で新たな一歩を
白練色の訪問着で新たな一歩を

この日の紗月さんは、やわらかな笑顔をより引き立てる、まろやかな白練色の訪問着にてご登場。細やかに美しい京友禅の技法にて、せせらぐ流水に四季花模様が描かれています。

女性らしくたおやかな和姿は、来る未来を予感させつつも、育ってきた祇園街への敬意に満ちていました。

四季花模様が上品でなおかつ華やか
四季花模様が上品でなおかつ華やか
黒地の西陣織りで気持ちも引き締めて
黒地の西陣織りで気持ちも引き締めて

帯には、きりりとした黒地に大きな蜀江華紋が織りあらわされた西陣織りの袋帯を。巣立ちの決意が感じられます。

いつも衣裳もこだわりをもってセレクトされる紗月さん。人生の節目となる本日にふさわしい品格に満ちた装いです。

お世話になった男衆の方とツーショット
お世話になった男衆の方とツーショット
メディア関係者やファンの方に挨拶する紗月さん
メディア関係者やファンの方に挨拶する紗月さん

舞妓デビューを果たしたお店出しの時や、芸妓に衿替えした時にはもちろん、日々お世話になった男衆(おとこし)のお兄さんとともに、お世話になった方々の元を訪ねます。

仕込みさんとしてスタートした置屋「つる居」

置屋「つる居」は、幼き日の紗月さんが舞妓になるという夢への一歩を踏み出した場所。

芸舞妓を目指す女の子たちは置屋に仕込みさんとして入り、お姉さん方のお世話や掃除をこなしながら舞踊や三味線などの稽古に励む見習い期間を過ごし、舞妓としてデビューしていきます。

所属する芸舞妓さんの名前が並ぶ
所属する芸舞妓さんの名前が並ぶ
紗月さんと舞妓さんたちが挨拶を交わす場面も
紗月さんと舞妓さんたちが挨拶を交わす場面も

道の途中では、紗月さんのような人気芸妓を目指す舞妓さんたちからのご挨拶を受ける場面も。
かつての自分を見ているような後輩の女の子たちに、紗月さんは笑顔で声をかけていました。

祇園町をまわる
祇園町をまわる

日本舞踊井上流お家元や、お世話になったお茶屋さんを次々と訪ねる紗月さん。

こちらは、祇園・花見小路にあるヽや(ちょぼや)。
下駄や草履、芸舞妓さんが履く「おこぼ」も揃えており、紗月さんもお世話になった場所です。

ヽやさんへの挨拶を終えてお店から出てくる紗月さん
ヽやさんへの挨拶を終えてお店から出てくる紗月さん
紗月さんの引祝いにはたくさんの方が駆けつけた
紗月さんの引き祝いにはたくさんの方が駆けつけた

そんな紗月さんの姿を、多くのメディア関係者やファンの方が見守っていました。
祇園街の細い道に、この人だかりです。

カメラにもニッコリ

紗月さんは、カメラを向けるとニッコリ。

その親しみやすい笑顔で祇園街を明るく照らした
その親しみやすい笑顔で祇園街を明るく照らした

「マスクをとって!」の声が、場所場所で何度も。都度、お兄さんとともに快く応じてくださいます。

終始笑顔の絶えない一日の終わりに向かったのは、お世話になった八坂神社。

最後は八坂神社にお参り

数年前までは、内外のたくさんの観光客で賑わっていた祇園の街。しかし、新型コロナウイルスの影響で人通りは途絶え、紗月さんの生活も一変しました。
その中で自身の心と向き合い、引退を決意したという紗月さん。

花街の末永い繁栄と、新たに始まる人生について祈りを込めます。

新たなスタートに祈りをこめて

こうして、11年間過ごした祇園街に別れを告げた紗月さん。

たくさんの人に惜しまれつつも、引き祝い当日にしんみりとしたムードはなく、紗月さんからお世話になった方々へ、またみなさんから、幸せをくれた紗月さんへの感謝と愛にあふれた1日となりました。

「きものと」も紗月さんの門出を祝福

紗月さんをイメージしたバラの花束
紗月さんをイメージしたバラの花束

紗月さんの引退の一報を聞いた「きものと」では、コラム『紗月がゆく!祇園・人気芸妓が訪ねる京の技』の最後の撮影の際に、ひと足先に花束をお渡ししていました。

サプライズに紗月さんもぴっくり!
サプライズに紗月さんもぴっくり!
花束を抱える紗月さん

この日の紗月さんの装いは、彩りも華やかな黒地に梅模様の小紋。
龍村美術織物の金糸使いの名古屋帯に、明るい鶸色(ひわいろ)の帯締めがきりりと映えています。

季節に合わせたこだわりのコーディネート
先輩のお姉さんから頂いたカバンのプレゼントで
先輩のお姉さんからいただいたバッグで

水色のバッグは、先に引退された元芸妓のお姉さんからいただいたもの。

淡くクリアな色合いでどんな着物にも合わせやすく、さざなみのような上品な模様が、紗月さんの愛らしさを際立てます。

桜咲く、春香るディナー

バッグは先輩芸妓のREOさんから♪REOさんのコラムはこちらからどうぞ。
「あの人と、着物でごはん食べ」

先輩のお姉さんから頂いたカバンのプレゼントで
素敵な笑顔

11年間、本当にお疲れさまでした。
紗月さんの新たな門出を祝福いたします!

三条商店街をぶらり♪ここだけのオフショット

10月の撮影では、京都の古き良き商店街、堀川三条と千本三条を繋ぐ三条商店街で撮影を行いました。
最後に当日のオフショットをお送りします♪

紗月さんのぶらり三条商店街がスタート
紗月さんのぶらり三条商店街がスタート
たくさん立ち並ぶお店を眺めながら商店街を歩きます
たくさん立ち並ぶお店を眺めながら商店街を歩きます
素敵なお皿がズラリ
素敵なお皿がズラリ
傘や合羽の専門店「ピチ&チャプ ニシカワ」
傘や合羽の専門店「ピチ&チャプ ニシカワ」
気になるお店がたくさん
気になるお店がたくさん
紗月さん、何かを見つけた模様!
紗月さん、何かを見つけた模様!
取り扱いが珍しい和傘を発見しました
取り扱いが珍しい和傘を発見しました
試しに傘を差して
試しに傘を差して
三条商店街は人通りも多く、活気がある
三条商店街は人通りも多く、活気がある
全てを見きれないほどの傘が並ぶ
傘を背景に、良い笑顔!
和傘を差す紗月さん
和風の傘をさして
楽しい撮影もそろそろ終了……
楽しい撮影もそろそろ終了……
三条商店街でのオフショットは以上です!
三条商店街でのオフショットは以上です!

紗月さんコラムは2月まで続きます!

とびきりの笑顔でパシャリ
とびきりの笑顔でパシャリ

昨年3月から、「きものと」と、京都きもの市場の公式YouTubeチャンネルにてスタートしたスペシャル番組『紗月がゆく!祇園・人気芸妓が訪ねる京の技』。

「約350年続く花街文化を支える職人さんたちの匠技を紹介することで後継者を発掘し、この先も絶えることない花街文化を継承していくお手伝いが少しでもできれば」という紗月さんの思いから始動しました。

梅染師・山本晃さんとのツーショット
第一弾、梅染師・山本晃さんとのツーショット
和蝋燭職人・田川広一さんに教わりながら、和ろうそく作りに初挑戦しました
第二弾では、和蝋燭職人・田川広一さんに教わりながら、和ろうそく作りに初挑戦!

飛鳥時代から続く梅染友禅の作家さんにお話を伺ったり、芸舞妓を美しく照らす演出方法の一つである和ろうそく作りに挑戦したりと、持ち前の明るさを活かした紗月さんのMCが大好評!

京繍作家 長艸敏明さんと体験中の紗月さん
第三弾では、京繍作家 長艸敏明さんと絶妙な掛け合いも
お手製の京七宝ペンダント
第四弾、京七宝 野村ひろみ先生からは京七宝作りを学ぶ

京繍(きょうぬい)や京七宝づくりも体験させていただき、職人さんから手先の器用さを褒められたことも。

金彩伝統工芸士 志賀豊さんにお話を伺う紗月さん
第五弾、金彩伝統工芸士 志賀豊さんにお話を伺う紗月さん

いつも一生懸命な姿に和まされる、紗月さんらしい司会進行ぶりが人気を博しています。

1月2月では、第六弾を公開予定。
最後まで、引き続き応援のほどよろしくお願いいたします!

撮影/松尾カニタ、佐藤佑樹(Grit)、弥武江利子

シェア

BACK NUMBERバックナンバー

LATEST最新記事

すべての記事

RANKINGランキング

  • デイリー
  • ウィークリー
  • マンスリー

HOT KEYWORDS注目のキーワード

CATEGORYカテゴリー

記事を共有する