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博多織の名工「はかた匠工芸」伝統工芸士・酒井豊氏 トークショーレポート

博多織の名工「はかた匠工芸」伝統工芸士・酒井豊氏 トークショーレポート

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「人が染め、人が紡ぎ、人が織る。何百年も続いてきたその営みを引き継いでこそ、博多帯を名乗る資格があるのだと思います。」博多に伝わる手の技にこだわり、昔ながらの作り方で、博多織の帯を織り続ける「はかた匠工芸」。今回はそのはかた匠工芸の中で最もキャリアの長い、酒井豊氏が銀座店にお越し下さり、博多帯の魅力を語って下さいました。

2019年10月13日、台風の名残覚めやらず、風も強い中――
京都きもの市場 銀座店では、福岡より「はかた匠工芸」より伝統工芸士酒井豊先生をお招きし、博多織の魅力について存分に語っていただきました。
トークショーのあとには、先生を囲んでの楽しいお食事会も。
博多織の本質に迫る、イベントの様子をレポートいたします!

レポーター池田千恵里

レポーター/池田千恵里

趣味は書くこと!という着物愛好家。国内外において着物PRの経験を持つ。英国駐在時には着物でのお出掛けを常とし、自身の着姿をSNSやYouTube 等でも発信。また、ロンドンで着物ファッションショーを開催するなど、和装のPRに務めている。

はかた匠工芸で最もベテランでらっしゃる酒井先生は、現在76歳。なんと織匠歴は60年だそうです!
先ずは基礎知識をということで、博多織についてお話し下さいました。

はかた匠工芸で最もベテランの伝統工芸士酒井豊先生

配られた資料と先生のお話によりますと、博多織は、
経糸(たていと)の本数が通常の3~4倍あり、生地に厚みや張りがあるのが特徴だそうです。
刀を差しても緩みにくいことから、武士の帯として珍重され、江戸時代、これを徳川幕府への献上品としたことから、博多帯は博多献上とも呼ばれるようになったんだとか。
そうして博多織は将軍家御愛用の格のある織物として、全国的に知られるようになったのだそうです。

トークショーの様子
酒井豊先生の博多織

続いては博多帯のお柄について。
仏具である独鈷(どっこ)に墨を付けて転がした時にできる柄と、華皿の組み合わせを図案化したものが、一番はじめに出来たお柄だそうです。
独鈷は邪気を払い、華皿には花を乗せて撒くことで仏様の供養になることから、厄除けの意味が込められているそう。
(写真右中央にある棒が独鈷)

博多織の柄の元になった仏具の独鈷、華皿
仏具の独鈷、華皿をモチーフにした献上柄の博多帯

この独鈷と華皿の間を挟んでいる縞にも意味があるとのこと。
太い線が親を、細い線が子供を意味しており、細い線を太い線で挟んでいるのが親子縞、太い線を細い線で挟んでいるのを孝行縞と呼ぶんだそう。
親子愛、家内繁盛を表しているそうです。
願いも込められた極上の帯、将軍家の目に留まるというのも納得ですね!

博多帯の凄さを披露するパフォーマンスも!
ぎゅーっと引っ張りあった帯ですが、

博多帯のしなやかを検証する様子
検証後もシワひとつできない高い品質の博多帯

ご覧の通り、シワのひとつも出来ません!びっくり!結び目がこんなに小さくなるのにも驚きました。博多織の高い品質を物語りますね。

続いて先生ご自身についても。
酒井先生は世界に通じる検定技能士の資格を持ってらっしゃるそう。「はかた匠工芸」が誇る帯の頂点とも言える逸品 “佐賀錦” は先生が生み出した帯なんだそうです!

酒井豊先生の手によって生み出された佐賀錦
笑顔で佐賀錦の説明をしてくださる酒井豊先生

お柄の素敵さは勿論のこと、なんとも言えないお色のトーンと組み合わせ!
うっとりするほど艶やかで、この上ないしなやかさで。見ても触っても正に極上!
素晴らしいとしか言いようがありません。
この“佐賀錦” を織っているのがまさかこの酒井先生とは!
(わたくし何度か展示会で先生を拝見しておりまして。いつもニコニコと愛嬌のある笑顔。お茶目なところもあったりと、まさかこのお方が佐賀錦を織っている方とは!)

ご自身の織った佐賀錦を締めた美女が目の前に座っていましたので、見るたびに嬉しそうにされていましたよ!先生はお茶目なんです。(*^^*)

佐賀錦を締めた女性を前に嬉しそうな酒井豊先生

水戸黄門の撮影の監修をされた時のお話しでは、由美かおるさんとのエピソードもそれはそれは嬉しそうに披露して下さいました。握手をしたとかしないとか!(*^^*)

水戸黄門の撮影監修時の記事スクラップ
水戸黄門出演者に説明をする様子
水戸黄門の子役に説明をする酒井豊先生
ロンドンV&Aにある博多絵織「鳥獣戯画屏風」

博多織は着物や帯に留まらず、その魅力を世界に発信しています。
博多絵織の「鳥獣戯画屏風」も酒井先生の作品!
先生が構想し、作り上げた広巾織機「YUTAKA」で織り成した大作で、幅75センチ(帯幅の約2倍)で織られているそう。
こちらはロンドンのヴィクトリア&アルバートミュージアムにディスプレイされているそうですよ!
これまでの帯の世界を超え、進化した博多織を世界に伝えることもお役目のひとつと考えているそうです。

その他にも、武人画師 こうじょう雅之氏の「武人画」を博多織で織り成した作品も!

こちらは徳川家康公図。

博多織で織り成した こうじょう雅之氏の「武人画 徳川家康公図」
博多織で織り成した こうじょう雅之氏の「武人画 伊達政宗独眼ノ竜之図」

こちらは伊達政宗独眼ノ竜之図。

締めたら緩まないということで、刀を腰に差す武士の帯として重用されてきたという博多帯。その博多織で武士を描くというのは素晴らしいマッチングですね!
勇ましい武士の様子が博多織で表現され、まさに圧巻です。

博多織で織り成した「武人画 関白豊臣秀吉之図」

締めたら緩まないということで、刀を腰に差す武士の帯として重用されてきたという博多帯。その博多織で武士を描くというのは素晴らしいマッチングですね!
勇ましい武士の様子が博多織で表現され、まさに圧巻です。

そして最新作は、ヴァン・ ゴッホの描いた花魁と、その元となった、英泉の「雲龍打掛の花魁」。制作意欲はとどまる所を知りませんね!完成したお写真がないので、パンフレットから。

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホと博多織

さてさて、話しは続くよいつまでも!博多織にとって重要な糸についてのお話しもして下さいましたよ!

蚕の繭玉をもつ酒井豊先生
繭玉から生成された絹糸をもつ酒井豊先生

手前がはかた匠工芸で使用している糸。

はかた匠工芸ではブラタクシルクと呼ばれる糸を使用しており、昔ブラジルへ移り住んだ日本人が生産を始めて以来、今では世界トップクラスの糸なんだそうです。エルメスでも使用されているそうですよ!
艶やか~~!
糸だけを見ても、博多織の帯を彷彿とさせる美しさがありますね。

ブラタクシルクの糸
博多織着尺について説明する酒井豊先生

先生が織機を改良し、博多織着尺が織れるようにしたというお話しも!機械まで組み立ててしまうとは、要するに⁈先生は頭が恐ろしく良いということですね!

〜おまけ話し〜
先生は袖口の汚れ防止にレースを付けているんですって!見えます?長襦袢も素敵でした!

=汚れ防止に袖口レースをつけるテクニック
汚れ防止に袖口にレースをつけた様子

さて、この日は先生とのお食事会も企画されていました。選ばれたお店は勿論、はかた匠工芸といえばすぐに思い浮かぶ博多料理!銀座4丁目という、銀座店からも近い場所にあるお店です。

博多華味鳥の暖簾

博多献上道中から飛び出してきた?和装の女性がお出迎えをしてくれました!

博多華味鳥の置物と博多かるた
博多華味鳥の置物と博多かるた

こちらはご一緒させていただいたお客様と銀座店の皆さまです!お邪魔させていただき有難う御座いました!
博多織について、はかた匠工芸いついてのお話、そして着物文化についてのお話で大変盛り上がりました。

お食事会にて酒井豊先生と記念撮影
お食事会にて記念撮影
お食事会にて酒井豊先生と記念撮影
お食事会にて記念撮影
お食事会にて楽しそうな酒井豊先生とお客様

酒井先生、今日はお陰様で大変勉強になりました。沢山のお話しをお聞かせ下さり、また沢山の笑顔をありがとうございました!お着物愛好家の皆さまに囲まれて、先生も幸せですね!

はかた匠工芸の品々や先生にお会いしたい方、是非ともイベント一覧をご参照下さいね!近々ですと、大阪梅田店にいらっしゃるそうですよ!

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