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「白」とは、白っぽい色すべての総称 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.40

「白」とは、白っぽい色すべての総称 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.40

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雪の色の中でもわたしが一番好きな色は、薄曇りの日にだけ見える、雪の穴の奥にひそむ、白の中に淡い水色と淡い緑色と淡い灰色をにじませたような色。

久留米絣

木綿のきものを着ることの多いわたしは、久留米絣が特に気に入っています。生地の張りと肌になじむ感じが気持ちいいのです。母から譲り受けたとき「洗えば洗うほど風合いが柔らかくなる」と言われましたが、その当時は「きものを洗うなんて!」と怯えていました。

これ全部白の仲間です2

コォコォと鳴きながら頭上を白鳥が飛んで行き、いよいよ初冬の趣になってきました。窓から見える一番高い山が3回白くなると、もしくは山のお寺の銀杏の木の葉っぱが全部落ちると、そろそろ里にも雪が降る、と言われています。

みなさんは雪は白いものとお思いでしょうが、雪国に暮らすわたしにとって、雪は単に白いものではありません。

雪まつりの頃になると、雪の壁に横穴をあけ、ろうそくを灯すのですが、そのときの雪はほのかな紫とほのかな橙になります。このときの雪の紫と、よく晴れた日の雪原に立つ木の影の紫とはまた別の色です。雪原の木陰の色は青みが強く、雪洞の紫には少し赤が入っている感じですね。

雪の色の中でもわたしが一番好きな色は、薄曇りの日にだけ見える、雪の穴の奥にひそむ、白の中に淡い水色と淡い緑色と淡い灰色をにじませたような色。

これは冬の間に一度か二度見つけられるかな?
見つけたら嬉しくなって、ついスマホのカメラを向けるのですが、いつも画面と実際の色の差に、少し落胆してしまうのです。

それでもその色を見つけたときのうれしさは格別で、あるときたまたま見た子ども向けの番組で、その色に「白群色(びゃくぐんいろ)」という名がついていると知り胸が躍りました。
白が群れている色。すとんとわたしの中に入って来ました。白群色、わたしの大好きな色です。

このように、「白」とは白っぽい色の総称で、たくさんの白色があるのです。ちょっとだけ例をあげてみましょう。

銀白色(ぎんはくしょく)……見る角度で色が変わるような、明るい灰色みのある白

雪色(せっしょく)……青紫みのある明るい灰色のような白

鉛白(えんぱく)……鉛から作る白い粉の色で、不透明度の高い白

月白(げっぱく)……磁器のように、淡い青みを含んでいる白

魚吐白(ぎょとはく)……魚の胃袋のような、青みがかった白

乳白色(にゅうはくしょく)……しぼりたての乳のような色で、黄みのある白

卯の花色(うのはないろ)……黄みのある白。乳白色よりも少し青みが入っている

白百合色(しらゆりいろ)……黄みのある白。乳白色よりも少し灰色が入っている

白練(しろねり)……絹を精練した白で、少し赤みが入っている

胡粉色(ごふんいろ)……貝殻の粉をすり潰した不透明な白

白土(しらつち)……上質の石灰石を粉末にしたもので、ほのかに橙みのある白

生成色(きなりいろ)……自然のままの糸や生地の色。橙みのある白

『源氏物語』で、光源氏に誘われて上洛する際、明石の上が白のきものの上からさらに白のきものをかさねて着ている場面があります。
これは平安時代、衣裳を重ねて着るときに、その色の組み合わせで季節を表現した「襲(かさね)の色目」でいうところの、「氷」。想像したたけでも、白地のきものの良さは格別ですね。

新春や晴れの席で、白地のきものを着たくなります。
ただし、結婚式のときだけは別。白は花嫁さんだけの色と言われていますので、わたしはなるべく色のついたものを着るようにしています。とはいえ先ほども述べましたように、白にはたくさんの種類があります。ほのかな色味のついた白系の色は、花嫁の白とはまた別ですからね。

ぜひこの機会に、自分好みの白系の色を知ってください。
ただし、見て好きな色と、似合う色は違うということがよくあります。実は数年前、白群色の付下げに出会ったのですが、羽織ったら全然似合わなかったんですよね……。

あれ以来、わたしに似合う白系の色を捜索中です。

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きものとフードにドルマンスリーブのコート

一着のコートがあれば、中に着るきものが訪問着であろうと紬であろうと、それを着まわせるということ。つまり大事なのは、気に入った形を知る、ということに尽きるのです。

白の着物

穢れのない白色の着物は清楚でクリーンな印象を与え、邪気を払うとされるため神聖な装いとして纏うこともできます。「白」の名をもつ伝統色は複数あることから、白色のバリエーションを知ることで着物のコーディネートへの理解も一層深まることでしょう。今回は伝統色としての白色の種類と、おすすめのカラーコーディネートをご紹介いたします。

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