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『ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス』 Bunkamura ザ・ミュージアム 「きものでミュージアム」vol.3

『ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス』 Bunkamura ザ・ミュージアム 「きものでミュージアム」vol.3

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芸術の秋!箱根から渋谷Bunkamura ザ・ミュージアムに、印象派の素晴らしい作品がやってきました。ルノワール、モネ、セザンヌ、ゴーガン、シャガール、ユトリロ… まさに『甘美なるフランス』に酔いしれるひとときにも、着物姿はぴったり。恒例!ご招待券プレゼントもお見逃しなく。

※本コラム内の写真につきまして、撮影および掲載の許諾を得て使用しております。
『ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス』webサイトより
『ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス』

フランス絵画の巨匠28名が集結!

(公式サイトより)

「甘美なるフランス(ラ・ドゥース・フランス)」とは、美しく、穏やかで、稔り豊かなフランスとその文化を賛美するため、古くから親しまれてきた表現です。19世紀後半に出現した印象派の画家たちは、日常生活や余暇の愉しみなど、あるがままのフランスを画題とし、新たな「甘美なるフランス」の世界を描き出しました。(中略)

本展では、ポーラ美術館のコレクションより印象派からエコール・ド・パリの時代にフランスで活躍した人気画家の絵画74点を厳選し、当時のパリジェンヌたちが愛用したアール・ヌーヴォーとアール・デコの化粧道具12件と併せてご紹介します。

箱根から渋谷に印象派が

ポーラ美術館は、2002年神奈川県箱根町に「箱根の自然と美術の共生」というコンセプトにて誕生しました。モネやルノワールなど印象派の作品を中心に、国内外の名作を保有しています。

箱根はさほど遠くないのですが、なかなかポーラ美術館まで足を運ぶ機会がなく、いつかは訪れてみたい美術館のひとつでした。

今回なんとその箱根から渋谷Bunkamura ザ・ミュージアムに、印象派を中心とした素晴らしい作品たちがやってきました!これはまたとない機会。みなさまにもおすすめできるのではと、早速着物で内覧会へ伺ってまいりました。

展覧会のテーマは、3つ。

Theme 1 時代を映すファッショナブルな「女性像」
Theme 2 近代化によって大きく変貌する「パリ」
Theme 3 フランス各地への「旅」

これらに沿った選りすぐりの作品を拝見することができます。海外旅行に行けない今、いずれもワクワクするテーマですね!

リンクカラーを愉しむ

『ポーラ美術館コレクション展』エントランス

こちらがエントランス。
なんと、テーマカラーがこの日の着物とぴったり!ワクワク…会場に入る前からテンションが上がります。

お洋服でも意識される方はいらっしゃると思いますが、着物ですと、より、行き先に合ったコーディネートを考える愉しみが増す気がいたしますね。

第1章
都市と自然 ―モネ、ルノワールと印象派

19世紀後半のフランスでは、急速に近代化が進み、都市を中心に人々の価値観が大きく変化しました。鉄道網が敷かれ、パリに大量の人々が労働力として流入するとともに、裕福な都市生活者が週末には自然豊かな郊外で余暇を楽しむという新しい生活様式が生まれました。こうした時代背景のもと印象派の画家たちが、新しい時代にふさわしい絵画を制作しはじめます。

柔らかな色彩に満ちた会場は、モネの作品から

展示室内も淡い色彩で、なんだか自分が会場に溶け込んでしまいそうでした。印象派の作品の奏でる柔らかな空間がそこには広がっていました。

『ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス』エントランス
室内に入るとモネの『睡蓮』、そして『散歩』(右の壁中央)が

まず目に入りましたのはクロード・モネの『睡蓮』。
モネはジヴェルニーにある自宅の「水の庭」の池とそこに生育する睡蓮をモチーフに、30年以上にわたり200点余りを描いています。

睡蓮 クロード・モネ 1907年 油彩/カンヴァス
『睡蓮』クロード・モネ 1907年 油彩/カンヴァス

1日の異なる時間帯の光とその効果を追求し、多彩な光の表現を描き分けたそうです。

今回の作品は、水面に浮かぶ睡蓮だけを描いています。そしてその水面には、そこに映る周囲の木や空、雲が描きこまれています。

静かな絵ですが、じっと見ていると水面に吸い込まれるよう…
池以外は描かれていない分、水面と睡蓮が際立ち大変印象的です。

散歩 クロード・モネ 1875年 油彩/カンヴァス
『散歩』クロード・モネ 1875年 油彩/カンヴァス

次にモネの『散歩』。
この絵を観るのは初めてだったのですが、すぐに、モネの代表作『日傘をさす女』に描かれた妻カミーユの姿を思い出しました。

そしてこちらもカミーユを描いたものだとのこと。後ろに見えるのは息子さんと乳母だそう。
2枚に共通する空気を感じ、同じ日の同じ場所の風景なのかしら…?などと想い馳せる瞬間です。

柔らかな光と風が感じられ、とても幸せなそうな風景ですね。

ルノワールの光はさらに柔らかく

『レースの帽子の少女』ピエール・オーギュスト・ルノワール
『レースの帽子の少女』ピエール・オーギュスト・ルノワール 1891年 油彩/カンヴァス

次に、今回のポスターに使われ、メインビジュアルであるピエール・オーギュスト・ルノワール『レースの帽子の少女』です。

うっとり眺める視線。何を眺めているのでしょうか?まさに夢見る少女の表情ですね。
白い肌もバラ色の頬と唇も、こんな柔らかな表情を柔らかなタッチと色彩で表現できるのはルノワールならではです。
帽子のレースの重なりも、柔らかそうな栗色の髪も思わず触れてみたくなります。
まさに「甘美なる」世界です。

パリジェンヌの愛用した化粧道具

『レースの帽子の少女』の傍らには『エナメル金彩バラ文香水瓶』が
『レースの帽子の少女』の傍らには『エナメル金彩バラ文香水瓶』

『レースの帽子の少女』の近くに、『エナメル金彩バラ文香水瓶』が飾られていました。

ほかにも当時のパリジェンヌたちが愛用したアール・ヌーヴォーとアール・デコの化粧道具が数多く展示され、ガレやラリックが手掛けたガラスの香水瓶なども紹介されています。

女神文香水瓶 エミール・ガレ 1884年 ガラス
『女神文香水瓶』エミール・ガレ 1884年 ガラス
香水瓶「ラ・ベル・セゾン」(美しい季節)ルネ・ラリック 1925年3月3日 原型制作 ガラス
香水瓶 『ラ・ベル・セゾン』(美しい季節)ルネ・ラリック 1925年3月3日 原型制作 ガラス

これらがあちらこちらに展示してあり、うっとり。
さすが化粧品会社であるポーラの美術館ですね。展示方法も女性目線が意識されています。

またその他には、

・モネ『花咲く堤、アルジャントゥイユ』
手前の白と赤の花のタッチと遠景の煙のタッチの対比

・ルノワール『アネモネ』
鮮やかな色遣いの美しさ

・カミーユ・ピサロ『エヌリー街道の眺め』
緑色の多彩さ

・アルフレッド・シスレー『サン=マメスのロワン河』
河と空の青の違いと印象的な赤の使い方

など、気になるポイントがたくさん。みなさまもぜひご自身のお気に入りをみつけていただきたいです。

第2章
日常の輝き ―セザンヌ、ゴッホとポスト印象派

印象派は、絵具を混ぜずにそのまま画面上に配置していき、明るい色彩を表現する「筆触分割」という技法を確立し、後に続く画家たちの指針となりました。ポール・セザンヌやフィンセント・ファン・ゴッホ、ポール・シニャックなど、後に「ポスト印象派」と呼ばれる画家たちは、このような印象派の試みを起点としながらも統一した様式を共有することなく、それぞれが個々の理想とする表現を求めて新しい芸術を切り拓いていきました。

ゴーガン、タヒチ以前の作品

ポール・ゴーガンといえばタヒチの女性や自然やを描いた作品が有名ですが、今回は、初期の『白いテーブルクロス』『ポン=タヴェンの木陰の母と子』が出展されています。
タヒチ以降のゴーガンのやや平坦で素朴なタッチと違って、印象派の影響が強い作品です。

『白いテーブルクロス』 ポール・ゴーガン 1886年 油彩/板
『白いテーブルクロス』 ポール・ゴーガン 1886年 油彩/板

『白いテーブルクロス』は、まさに印象派らしい色遣いとタッチでとても温かな色味。

デカンタに入った赤ワインには光が当たりつややかです。

『ポン=タヴェンの木陰の母と子』の入り組んだ構図は、なんと、日本の浮世絵の影響を受けているそう!

木々や小道の緑の中にぽつんと母親と子供が描かれており、視覚的なおもしろさもあります。

『白いテーブルクロス』と『ボン=タヴェンの木陰の母と子』が並ぶ
『白いテーブルクロス』と『ポン=タヴェンの木陰の母と子』が並ぶ

ピエール・ボナールの作品は4作

ボナールの4作品がある一角 ※展示室内オフィシャル素材
ボナールの4作品がある一角

今回出展されてるナビ派のピエール・ボナールの作品は4作。ボナールが大好きなのでうれしい!

『ミモザの階段』に魅せられる
『地中海の庭』に魅せられる

『地中海の庭』は、サイズも大きく色合いが鮮やかで目を引きます。
ミモザの黄色、女性と籠のオレンジ色、遠景の黒っぽい木々、そしてその背後の海と空―
それぞれの対比が際立ち、かつ温かみを感じる作品です。

そのほかの絵画

ポール・セザンヌ『プロヴァンスの風景』と、フィンセント・ファン・ゴッホ『ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋』ももちろん要チェックです!

『プロヴァンスの風景』ポール・セザンヌ 1879-1882年 油彩/カンヴァス
『プロヴァンスの風景』ポール・セザンヌ 1879-1882年 油彩/カンヴァス
『ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋』 フィンセント・ファン・ゴッホ 1888年油彩/カンヴァス
『ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋』 フィンセント・ファン・ゴッホ 1888年 油彩/カンヴァス

第3章
新しさを求めて ―マティス、ピカソと20世紀の画家たち

20世紀初頭、モーリス・ド・ヴラマンクやアンリ・マティス、ラウル・デュフィが、強烈な色彩の対比を生む作品を制作し「フォーヴィスム」と呼ばれます。
対して、ジョルジュ・ブラックとパブロ・ピカソは造形に新しさを求め、対象の形を幾何学的に分析し、単純化した切子面状の形と陰影を用いて再構築する「キュビスム」を確立しました。キュビスムは様々な芸術へと影響を与え、20世紀初頭を代表する芸術運動へと発展していきます。

アンリ・マティスの対照的な3作品

『室内:二人の音楽家』 アンリ・マティス 1923年 油彩/カンヴァス
『室内:二人の音楽家』 アンリ・マティス 1923年 油彩/カンヴァス

アンリ・マティスの『室内:二人の音楽家』は、色彩の対比が目を引きます。
女性二人それぞれのドレスとテーブルクロス、また背後に置かれた衝立の色が絶妙なバランスであらわされ、明るさと美しさを醸し出して。

一方、二人の表情はぼんやりと描かれている点も印象的です。

『襟巻の女』アンリ・マティスを眺める
アンリ・マティス『襟巻の女』を眺める

次に同じくマティスの『襟巻の女』。

色調は違いますが、こちらも色彩がはっきりとした作品。
女性の表情は『室内:二人の音楽家』がぼんやりと描かれているのに比べると、眉は釣り気味で真っ赤な唇はとても意志が強そうに見えます。背景も、水色と黄色に塗分けられコントラストがくっきり。2つの作品を比べると随分タッチが違います。

さらに、マティス『紫のハーモニー』はピンクがかった色合いが美しく背景の花柄の衝立が華やか、そして女性の表情は『襟巻の女』に比べると柔らか。

…こうして同じ画家の3作品から、女性だけにフォーカスして見比べてみるなど、絵画作品の鑑賞には自分なりの愉しみ方がたくさんございますね!

鮮やかな色彩のパリ

ラウル・デュフィの『パリ』は、サイズが190.0cm×49.8cmが4面とひときわ大きく、色調もポップで明るく展示室の中でも目立っています。

ラウル・デュフィの『パリ』※展示室内オフィシャル素材
ラウル・デュフィの『パリ』

エッフェル塔、凱旋門などパリの名所を網羅した風景画です。
黄色、紫、青の色彩が明るく透明感に満ち、そこに太陽と月が描かれ、手前には大きくバラも描かれており幻想的です。

そのほか、ジョルジュ・ブラック、フェルナン・レジェ、パブロ・ピカソなどの作品が出展されています。

第4章
芸術の都 ―ユトリロ、シャガールとエコール・ド・パリ

印象派の登場以来、新しい芸術を生み出し続けてきたパリは「芸術の都」と称され、世界各国の若い芸術家たちを魅了します。アメデオ・モディリアーニ、キスリング、マルク・シャガールなど、「エコール・ド・パリ」(パリ派)と呼ばれた彼らの作品は、独学で絵画を制作したモーリス・ユトリロとともに、自由で開放的な当時のパリの空気を体現しています。

モーリス・ユトリロの色彩

『シャップ通り』 モーリス・ユトリロ 1910年頃 油彩/厚紙
『シャップ通り』 モーリス・ユトリロ 1910年頃 油彩/厚紙

デュフィの『パリ』とは対照的な色彩のユトリロ。
彼はパリのモンマルトルで生まれた生粋のパリっ子で、パリ、特にモンマルトルの風景を多く描いています。
今回は4点が出展されていますが、どれも白い壁と暗い空が特徴的。なぜか心惹かれます。

本章に登場する画家

そのほかこの章ではアメデオ・モディリアーニ、マリー・ローランサン、キース・ヴァン・ドンゲン、キスリング、マルク・シャガールと人気のある画家の作品が並びます。

第4章の展示風景 ※展示室内オフィシャル素材
第4章の展示風景

甘美なるフランスを満喫

今回の展覧会、まさに『甘美なるフランス』の世界を堪能できました。
これだけのコレクションを所蔵している(しかも今回出展されているのは一部です)ポーラ美術館の素晴らしさ、底力を実感。
ポーラ創業家2代目の故・鈴木常司氏が40数年にかけて収集したコレクション…あらためて敬意を表したいです。

機会をみつけてぜひ、箱根のポーラ美術館にも着物で出かけてみたいものです。

この日の装い

この日の装い_全身

この日は、今回の展示会メインビジュアルの、ピエール・オーギュスト・ルノワール『レースの帽子の少女』、そしてクロード・モネ『睡蓮』をイメージした装いにしました。

ほんのりグレイッシュなペールブルーの江戸小紋は、徳川家の定め柄「御召十(おめしじゅう)」。帯は小糸染芸さんの花柄の染め袋帯を合わせました。

帯留 、根付、簪はコットンパールで手作りしたものです。

草履はカレンブロッソ。美術鑑賞の時に足が楽ですし、この日は夕方から雨の予報だったので、爪先カバーの「美人のつま先」をバッグに入れて。

今回は、美術館エントランスの色調が装いとぴったりだったので入り口からウキウキでした。

みなさまもぜひ、きものでミュージアムにお出かけしてみてください。

この日の装い_帯回り
小糸染芸 5代目当主・小糸太郎さん

190cmの長身におしゃれな着こなし、ダンディな佇まいの奥にのぞく優しい笑顔。創業明治元年の老舗染屋「小糸染芸」5代目当主・小糸太郎さんは、着物に豊かな自己表現の可能性を見出します。個々人がもつストーリーがスタイルになる…そんな着物の魅力を伺いました。

展覧会情報

『ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス』webサイトより
『ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス』

『ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス』

Bunkamura ザ・ミュージアム
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/21_pola/

日時:2021年9月18(土)〜11月23日(火・祝)
10:00〜18:00 (入館は17:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
休館日:9月28日(火)、10月26日(火)

※日時など変更になる場合があります。おでかけ前に公式サイトなどで最新情報を確認してください。

その他、おすすめの美術展

ゴッホ展ポスター

ゴッホ展――響きあう魂 ヘレーネとフィンセント

東京都美術館 企画展示室
https://gogh-2021.jp

日時:2021年9月18日(土)~12月12日(日)
   9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
休室日:月曜日
※ただし11月8日(月)、11月22日(月)、11月29日(月)は開室

※日時指定予約制です。詳細は展覧会公式サイトをご確認ください。

◆ 読者プレゼント ◆

さて、ここでうれしいお知らせです。
特別展『ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス』の招待券を抽選で3組6名の方にプレゼント!
芸術の秋。ぜひ、きものでお出かけくださいね!

甘美なるフランスポスター
甘美なるフランス

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※応募期間:2021年10月14日(木)まで

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