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京七宝職人 野村ひろみさん 【YouTube連動・インタビュー編】 「紗月がゆく!祇園・人気芸妓が訪ねる京の技」vol.4-1

京七宝職人 野村ひろみさん 【YouTube連動・インタビュー編】 「紗月がゆく!祇園・人気芸妓が訪ねる京の技」vol.4-1

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“伝統工藝師”の作業場を訪ねるスペシャル企画、第4弾は古代エジプトから続く七宝の世界。京都の観光スポットが点在する東山の『京七宝 ヒロミ・アート』を訪れ、京七宝作家・野村ひろみさんにその魅力を伺います。人気芸妓で本企画のMC・紗月さんの素顔が満載のオフショットもどうぞ。

京都・東山でみつけた伝統工芸品【YouTubeリンク】

約350年続く花街文化を支える職人さんたちの匠技を紹介することで後継者を発掘し、この先も絶えることない花街文化を継承していくお手伝いがしたい!そんな思いからスタートしたスペシャル企画番組「紗月がゆく!祇園・人気芸妓が訪ねる京の技」。

紗月さんはそんなり姿で撮影に臨みます

YouTube動画では祇園甲部の人気芸妓・紗月さんがMCとして、京都が誇る“伝統工藝師”の作業場を訪ねます。

一気に秋めく今日この頃。紗月さんがお召しになった薄グリーンの単衣小紋には、秋草が描かれています。

京都の街で舞妓さんのポスターを発見!
京都の街で、紗月さんが舞妓時代のポスターを発見!!

今回紗月さんが訪れるのは、清水寺や祇園など、観光スポットが点在する京都・東山にある『京七宝 ヒロミ・アート』。
京都の伝統工芸のひとつ「京七宝」製品を制作・販売するこちらの窯元で、京七宝作家・野村ひろみさんにお話を伺いました。

京の街に再び、七宝を溢れさせたい

『京七宝 ヒロミ・アート』外観

金属の表面にガラス質の釉薬を焼き付けて装飾する伝統工芸品のひとつ、七宝焼。
様々な技法があるものの、基本は、金属の上に帯状の「銀線」を立てて模様を描き、色とりどりな釉薬を差して約750度で焼き付けるという工程を経て生み出されます。

ガラス質の釉薬
ガラス質の釉薬

七宝の技法を用いて制作されるのは器だけではなく、イヤリングやブローチといったアクセサリー類や香立て、有名な絵画を模したインテリアなど様々。

『京七宝 ヒロミ・アート』にも、目移りするような繊細なデザインと鮮やかな色味が特徴的な商品が並んでいます。

紗月さんも目に留まった七宝焼きのリングを試着!
紗月さんも目に留まった七宝焼きのリングを試着!

1970年に『京七宝 ヒロミ・アート』を創業した京七宝職人・野村ひろみさん。
ご自身が制作した草花が描かれた大きな器を見せていただきましたが、それにも負けないくらい色使いにこだわった華やかな私服で紗月さんを出迎えてくださいました。

紗月さんに七宝焼の器を披露する野村さん
七宝焼きの大きな器

色数が多く、艶と光沢のある表面がなんとも美しい七宝焼き。ですが陶器と同じように、焼き上がってみないと実際の色はわかりません。

大きな器を焼くにはこれより巨大な釜が必要
大きな器を焼くにはこれより巨大な釜が必要

「玄人はこの色を出そうと思って作りますから、思った色が出ないということはありません。たしかに微妙には違うところもありますけど、想像と出来上がりはあまり違わないと思います」

そう自信を持って語る野村さんは50年以上、七宝づくりに携わってきました。普段はブローチやペンダントなどのアクセサリーを制作していますが、伝統のある作品を見ていると大きな器を作りたくなってくるのだとか。現在の京都では、神社仏閣などで七宝が多く見られるといいます。

七宝への思いを語る野村さん
七宝への思いを語る野村さん

「大徳寺さんの中とか、西本願寺さんとか、そういうところに古い七宝が今も使われています。江戸時代には家の襖の引き手、煙草のキセルやケース、色んなものに使われていました。今は少なくなってきているので、また再び京都の街に七宝がいっぱい溢れるようにしたいなと思って頑張って作品づくりをしています」

色本来の美しさをフルに発揮してくれる七宝

そもそも、七宝の歴史は古代エジプトまで遡ります。
有名なファラオ、ツタンカーメンの黄金の仮面にも人工ガラスを用いた彩色技術が使われているのです。日本に伝わってきたのは古墳時代。しかし、日本で七宝が作られる土台ができたのは桃山時代になってからでした。

店内には七宝焼きの絵画が幅広く並ぶ
店内には七宝焼きの絵画が幅広く並ぶ

江戸、明治と古くから伝わってきた七宝の技法。野村さんがそんな七宝に出会ったのは、細見美術館に訪れた時のこと。

「それまではアクセサリーとしての七宝しかみていなかったので、釘隠(くぎかくし)の七宝の写真を見た時に、こんなにすばらしい作品ができるんだ!と思い、そこから七宝の魅力に引き込まれていきました」

野村さんの作品
野村さんの作品

当時の女性たちは適齢期となると当然のように家庭に入っていく時代でしたが、野村さんはかねてより、自立できる職を手にしたいと思っていました。たったひとつの作品に出会い、運命的に、七宝作家になることを決意したのです。

以来、50年に渡って様々な作品を作り続けてきた野村さん。

「大変なこともありましたか?」という紗月さんの質問に、「楽しかった!好きだから、本当にやらずにはいられへん」と即座に答えます。

野村さんの話に真剣に耳を傾ける紗月さん

それほどまでに野村さんを惹きつけた七宝の魅力とは。

「私は七宝の“色”が好きで。色を合わせていくことで、色本来の美しさをフルに発揮してくれるのが七宝。こんなに色が多い工芸品は少ない。七宝は色が命です」

人生の大半を費やしてきた七宝のすばらしさを語る野村さんの瞳も、同じようにキラキラと輝いて見えました。

ただひとつ、七宝業界の悩みは後継者が少ないこと。七宝組合には10社ほどの企業で活躍する人たちいと約20名の個人組合員が所属。どこにも所属していない人たちも数名存在しますが、京都全体でも作家は50名程度だといいます。

その中で野村さんは数名のお弟子さんを取り、たくさんの作品を生み出してきました。いつか、京都をかつてのように七宝がそこら中に溢れる街にするため―

七宝焼きの製品を作る若き職人さん
七宝焼きの製品を作る若き職人さん

後編では、野村さんに直接指導を受けながら、紗月さんが七宝焼きのアクセサリー作りに挑戦!
「紗月が行く!」第1弾〜3弾まで、手先の器用さと飲み込みの早さを数々の職人さんから褒められてきた紗月さんだけに、今回も期待が高まります♪

七宝体験中の紗月さん

撮影オフショット

撮影当日は暖かい日差しが差し込んでいました
撮影当日は暖かい日差しが差し込んでいました
インテリアとして飾りたくなるような七宝焼きの器
インテリアとして飾りたくなるような七宝焼きの器
「どれにしよう…!」と悩んでしまうような素敵な作品がずらりと並んでいます
「どれにしよう…!」と悩んでしまうような素敵な作品がずらりと並んでいます
「どれにしよう…!」と悩んでしまうような素敵な作品がずらりと並んでいます
紗月さんも撮影を忘れて、様々なアクセサリーを手に取っていました
紗月さんも撮影を忘れて、様々なアクセサリーを手に取っていました
紗月さんも撮影を忘れて、様々なアクセサリーを手に取って
京七宝のイヤリングをつけた紗月さん
お気に入りをみつけた紗月さん!
穏やかで上品な佇まいが魅力的な野村さん。女性同士、話に花が咲きます♪
穏やかで上品な佇まいが魅力的な野村さん。女性同士、話に花が咲きます♪

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