振袖と言われると、鮮やかな「赤色」を連想する方が多いのではないでしょうか。
赤の振袖は成人式などでも人気のある色で、着用している人も多くイメージに残りやすいですよね。
では、なぜ赤の振袖はここまで人気を集めるのでしょうか？
今回は赤の振袖にフォーカスして、その人気の秘密や着こなしのポイントをご紹介します。

「赤色」は男女問わず人気の色ですが、振袖というアイテムとして見たときに特に人気を集めている理由には、次のことが考えられます。

まず、赤の振袖を着ることで、自分の魅力が引き立ち、より美しく見えるという理由があります。

これは、赤がどんな女性にも似合いやすいオールマイティな色だからだと言えるでしょう。多くの日本人はオークル肌という赤みのある黄色系の肌色であり、赤や青といったはっきりとした色がよく似合うという特徴があります。

そして赤の振袖は、日本人に多い黒色やこげ茶色の髪色との相性もばっちりです。
赤の色味自体がかわいく魅力的なことはもちろん、女性を引き立たせる色でもあることが、赤い振袖が人気の理由として挙げられます。

赤色には、厄除け・魔除けの効果があると古くから信じられてきました。
古代中国では「火」は穢れを取り払う神聖なものであり、所説ありますが、「赤」という漢字は、「火」に穢れを取り払ってもらう「人」の組み合わせからできたとされています。「赤」には、「人の穢れを取り払う＝魔除け・厄除け」効果があると、長きに渡って考えられてきたのです。

神社の鳥居が赤く塗られていたり、還暦祝いに赤色のものを贈ったりするのは、魔除けの意味を込めてのこと。その考えが今に引き継がれ、成人式や結婚式などのお祝いの日の振袖の色として赤色が人気を集めています。

特に成人を迎える20歳の年は、女性が後厄を迎える年でもあります。通常、後厄では、自らにそれ以上悪いことが起こらないよう厄払いや厄落としをするのですが、この厄払いの意も兼ねて、成人式では厄除け・魔除け効果があるとされる赤い振袖が選ばれることが多いともされています。

前述の通り、長い間、赤は厄除け・魔除けを手助けする神聖な色として信じられてきました。それと同時に、おめでたい色、ご利益を引き寄せる色ともされています。

神社のお守りや還暦祝いなどには、魔除けの意味とともに、ご利益をもたらす意味が込められており、紅白まんじゅうのようなものにもおめでたい意味が込められています。

おめでたい色である、またご利益がある色であるということも、赤い振袖が人気の理由のひとつです。

振袖の定番カラーである赤。一言で赤といってもピンクやオレンジの強い赤から、朱色やえんじ色など落ち着いたカラーも。また、柄によっても雰囲気が大きく変わります。
振袖の柄は、大きく分けて古典柄と洋風柄の2種類。それぞれの特徴をご紹介します。

古典柄は、富や繁栄を願う菊や牡丹などの吉祥文様と呼ばれる柄や、豪華絢爛な御所車などが施されているものです。
それぞれの柄に意味が込められているのも特徴で、振袖などハレの日に着用する着物には最適な柄です。

現代風の柄といえば、薔薇や蝶、ハートなどが散りばめられた柄や、チェックや幾何学模様などを指します。
蝶は古くから着物の柄にも使用されていますが、時代と共に絵柄も変化し、現代風のタッチで描かれているものも増えています。

赤の振袖は誰にでも似合うことが特長ですが、特に次のような人におすすめです。

赤はエネルギッシュなイメージがある色なので、周囲に明るい印象を与えたい人におすすめです。

赤の振袖は身につけるだけで華やかに見せてくれます。また鮮やかな赤の振袖は若い女性にとても似合います。若い間に華やかな振袖や明るい色の振袖を着用したい人にもおすすめです。

ひとことに赤の振袖と言っても、その色味は幅広く、明るい赤から暗い赤まで様々です。また、人気がある赤の振袖は柄の種類も豊富に展開されています。
そのため、他の人とかぶりにくく、同じ赤の振袖でも個性を出すことができます。

振袖の色を何色にしようか迷っている人や、どんな振袖を選べば良いかわからない人は、一度赤の振袖を見てみましょう。色だけ決めれば、後は好みの柄を探すだけなので、ぐっとハードルが下がりますね。

赤色は誰にでも似合う色なので、自分に似合う色がわからない人にもおすすめですよ。

ここからは、おすすめのおしゃれな赤の振袖を3つ紹介していきます。

一枚目におすすめする赤の振袖は、京友禅染匠「菱健」の特選品です。

赤ベースに金刺繍を使った王道の振袖は、紗綾形に花草の地紋がしっかりと浮かび上がって。華やかさがありながらも気品あふれる雰囲気は、成人式や結婚式のお呼ばれにぴったり。

染めはすべて京の職人の手作業にて描かれたもので、まさに手間と時間が込められています。飽きのこない本格古典のデザインは、母から娘へ、そして孫へと代々受け継ぐことができます。

赤の振袖に凛とした美しさを求める女性の方におすすめです。

赤ベースにエレガントな桜の文様が染め描き出された振袖です。

華やかで女性らしさを引き出してくれそうなこちらの振袖は、成人式や卒業式はもちろん、パーティシーンにも映えますね。裾と袖に入った濃い紫の色味が全体を引き締めてくれているので、桜の文様でも甘い雰囲気になりすぎず着用いただけますよ。

こちらは、赤と濃紺のコントラストが魅力的な絞り染めの振袖です。

裾に入った流れるような濃紺の柄が全体を引き締め、上品さと女性らしさを演出。赤という鮮やかな色も、絞り染めの風合いで優しい印象に。
華やかさはありつつも、しっとりとした古典の風情のある振袖ですので、結婚披露宴の及ばれや卒業式、謝恩会などでの着用にも適しているでしょう。

こちらは、赤は赤でも、深みのあるワインレッドの振袖です。

シックな印象で色っぽさがあり、大人な雰囲気を醸し出していますね。
赤は派手すぎて選びにくいという大人の女性も、ワインレッドなら落ちついた印象ながらも華やかに演出してくれます。

こちらは、皇室献上作家の藤井寛氏が手掛けた赤の振袖です。

鮮やかな赤色をベースに、梅や牡丹をはじめ、菊や撫子、桔梗などの多様な花々が色彩豊かに描かれており、まさに晴れの日にぴったりの華やかさ。光の加減や所作によって細やかな地紋が浮かび上がり、動くたびに美しく見せてくれます。

ご自身の結婚式でのお色直しの衣裳としても使うことができるほどに品格に満ちた一枚は、人生で一度は、本当に良い赤の振袖を購入したいという人におすすめの逸品です。

上品で洗練された着こなしができる赤の振袖を、より上手に着こなすためのポイントをご紹介します。

赤の振袖を着こなすポイントの一つとして、柄の入り方に注目してみてください。花や縁起物などのモチーフが大きく描かれているものならモダンで大人っぽい印象に、柄が細かく広範囲に描かれているものは小柄な方にも合わせやすく上品な印象になります。

また、肩や胸に柄が多いものは顔周りが華やかな印象になります。一方で、上半身に柄が少ないとスッキリした印象になります。
好みの印象を先に決めておき、イメージに近いものを選んでくださいね。

定番の赤の振袖をおしゃれに着こなすなら、帯揚げや帯締め、半衿、重ね襟などの小物の色にもこだわってみましょう。
赤色に対し、反対色である青や緑、グレーなどを使用すると個性的な印象に。また、帯に入っている色と同じ色の小物を合わせると失敗しにくいので安心です。

着物の柄と髪飾りの組み合わせにも注目を。
小物と同様に、赤の柄が映える反対色を持ってきたり、ゴールドやシルバーなどの華やかな色の髪飾りを選ぶなど、着物の色柄に負けないようバランスに注意しましょう。

赤の振袖を着用する際には、小物やヘアアレンジ、メイクにもこだわってみましょう。より華やかで統一感がある仕上がりになりますよ。

ここからは、それら赤の振袖の着こなし方についてご紹介します。

赤い振袖には、全体を引き締めてくれる黒地の袋帯がぴったり。金や白の刺繍が入ったものを選ぶことで、晴れの日にふさわしい装いになります。

もちろんのことその他にも、ゴールドや白、鶸色（ひわいろ：黄緑色）なども豪華に映えます。振袖には、格調高い柄や模様が大きく織りだされた袋帯をコーディネートください。

赤の振袖に合わせる帯締めは、赤の補色である緑系の色がおすすめです。赤の振袖のアクセントとして入ることで振袖の美しさがより強調されます。

また、振袖の柄に使用されている色からとるのもおすすめです。振袖と帯締めが自然にマッチするので、初心者さんにもまとまりのある振袖コーディネートができますよ。

赤い振袖に合わせるバッグや草履は、ご自身のお好きなお色や統一感をもたせる赤色、また振袖の柄や模様の色とリンクさせたものがおすすめです。
お祝いの日やフォーマルなシーンにふさわしい金使いのものをお選びください。

こちらは、すっきりとした立ち姿を生み出すサイズ感のかわいいバッグ。ゴールドの台が華やかな草履がセットになっています。鼻緒にバッグと同じ生地が用いられていますね。

柄入りのバッグは、持っていても置いてあってもかわいらしく、着物コーディネートに明るい華やぎをプラスしてくれます。

振袖にはやはり首元がスッキリ見えるアップスタイルの髪型がおすすめです。
ロングヘアの方は、サイドを編み込んだアップのヘアスタイルにすると振袖が美しく見えますよ。

ショートヘアの方は、後ろ髪をアレンジするのが難しいため、前髪のアレンジはいかがでしょうか？前髪なしやワンレングスにすることで、大人っぽい上品な雰囲気になりますよ。

髪飾りを合わせる場合は、振袖に合わせた赤はもちろん、ご自身のお気に入りのお色をあわせても。また、振袖の柄や模様に使用されている色を合わせても、差し色としておしゃれに演出できますね。

赤い振袖を着るときは、普段よりも濃いめのメイクをするように意識しましょう。ナチュラルメイクだと赤の振袖のインパクトに負けてしまう可能性があります。
顔立ちがはっきりするように、目元のメイクには特に力を入れて、着物に似合う切れ長で上品な目元と、穏やかなアーチ型の眉を意識してメイクしてみてください。

唇は、着物に負けない赤色や朱色のリップがおすすめです。お顔の印象が強くなりすぎる場合は、コーラル系やピンクベージュ系のリップでバランスをとってみてください。

そして、着物のメイクではチークを薄めに入れるのもポイントです。リップと同系色のチークを自然に入れるようにすると、まとまりが出ますよ。

赤の振袖は華やかな魅力があり、幅広い女性の支持を集めています。

明るい赤色の振袖であれば、若くて元気あふれる女性に、またシックで落ち着きのあるワイン系の赤色の振袖であれば、凛とした美しさを持つ大人な女性によく似合うという万能さが。その上、赤の振袖には、厄払いの効果があったり、ご利益の意が込められていたりと、古くからめでたい意味があるとされてきたことも、人気の要因と言えるでしょう。

成人式や卒業式、フォーマルなパーティーのような場で着物を着用するという方がいれば、ぜひ赤の振袖を着用してみてください。