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『京(みやこ)のファンタジスタ ~若冲と同時代の画家たち』 京都 福田美術館・嵯峨嵐山文華館 「きものでミュージアム」vol.1

『京(みやこ)のファンタジスタ ~若冲と同時代の画家たち』 京都 福田美術館・嵯峨嵐山文華館 「きものでミュージアム」vol.1

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観劇やステキなレストランも良いですが、きものでミュージアムはいかがでしょう?美術鑑賞に専門的な知識は必要ありません。実際に足を運び、その目で美術作品を見て、心のままに感じてください。きっと本物だけが持つパワーを感じることができるはず。今回は、『京(みやこ)のファンタジスタ ~若冲と同時代の画家たち』を訪ねます。

きものでミュージアムのススメ

はじめまして、akemiと申します。

きものを頻繁に着るようになってから、「きものを着てどこにおでかけするの?」「きものを着てどこにおでかけしたらいい?」とよく聞かれます。

観劇やステキなレストランも良いですが、きものでミュージアムはいかがでしょう?

(こちらでは、美術館と博物館を合わせてミュージアムと呼びます。)

飯塚明美さま

美術鑑賞に専門的な知識は必要ありません。
ミュージアムに足を運び、その目で美術作品を見て、心のままに感じてください。きっと本物だけが持つパワーを感じることができるはず。画集やネット画像では決して伝わらない、”リアルの力”を堪能いただけます。

美術鑑賞は案外足が疲れるものですが、履きやすい草履を選べば靴より楽なことも。

そしてなにより…美術展に合わせたきものをコーディネートしておでかけするのは、本当に心が弾みます!

疲れたら展示室内の椅子に座ってほっと休憩。美術展の静かに澄んだ空気感の中でそっと目を閉じていると、日常の煩雑なあれこれもすーっと消えていく気がします。

※本コラム内の美術作品の写真につきまして、各美術館プレスより撮影および掲載の許諾を得て使用しております。

『京(みやこ)のファンタジスタ ~若冲と同時代の画家たち』
京都 福田美術館・嵯峨嵐山文華館

記念すべき第一回に訪ねましたのは、こちら。福⽥美術館、嵯峨嵐⼭⽂華館の⼆館にて、共同開催されています。

京のファンタジスタ
提供:福田美術館 嵯峨嵐山文華館

プレスリリース

近年⼈気が⾼まっている伊藤若冲(1716〜1800)は錦⼩路市場の⻘物問屋『枡屋』の⻑男として⽣まれました。

昨年、福⽥美術館で初公開された『蕪に双鶏図』は、家業に従事していた30代はじめ頃に制作されたもので、若冲最初期の作品とされています。年始のNHKドラマ『ライジング若冲』でも取り上げられたことにより、注⽬を集めました。ドラマの舞台となった18世紀の京都は、若冲以外にも個性豊かな画家たちが群雄割拠しており、彼らが何に影響を受けていたかなどもわかってきています。

本展覧会は福⽥美術館・嵯峨嵐⼭⽂華館の⼆館共同で開催し、『蕪に双鶏図』をはじめとした福⽥美術館の所蔵する若冲作品すべてと、同時代を⽣きた画家たちの作品を盛り沢⼭に展⽰し、彼らの絵の魅⼒に迫ります。

まずは福田美術館で、若冲と対面

福田美術館は、京都・嵯峨嵐山の渡月橋近く、大堰川に面した風光明媚なロケーションに2019年10月に開館。

福田美術館
福田美術館

以前より訪れたいと思っており、今回ようやくそれが実現。観光客は以前より少ないため、比較的静かに鑑賞できました。

最初の展示室に入ると、照明はかなり暗く設定されています。
そしてそこには伊藤若冲と与謝蕪村の作品の数々が!早くも圧倒されます。

福田美術館1F展示室
伊藤若冲『群鶏図押絵貼屏⾵』

若冲の『群鶏図押絵貼屏⾵』は、墨だけで描かれているにもかかわらずなんと深みのある色合いで、躍動感にあふれていることか!
それぞれの姿かたち、羽や顔、足の描き方に引き込まれます。

伊藤若冲『群鶏図押絵貼屏⾵』左隻
伊藤若冲『群鶏図押絵貼屏⾵』右隻 前期・嵯峨嵐山文華館 後期・福田美術館 (提供)
伊藤若冲『群鶏図押絵貼屏⾵』右隻
伊藤若冲『群鶏図押絵貼屏⾵』左隻 前期・嵯峨嵐山文華館 後期・福田美術館 (提供)

昨年初公開され、この企画展のポスターにも使われている『蕪に双鶏図』。
若冲最初期の作品とされています。

トサカの赤と目、細かく描きこまれた鶏の羽と足が強烈な印象。枯れて虫食いだらけの蕪の葉との対比が印象的です。

伊藤若冲『蕪に双鶏図』今回メイン作品
伊藤若冲『蕪に双鶏図』 通期・福田美術館(提供) 
伊藤若冲・片山北海『牡丹に蝶図』
伊藤若冲・片山北海『牡丹に蝶図』

伊藤若冲・片山北海『牡丹に蝶図』は、水墨画にもかかわらず、そのみずみずしさが鮮やかに伝わってくるかのよう。
墨の濃淡だけでなく、筆のタッチの使い分けも必見です。

思わず、画中のモンシロチョウのように惹きこまれますね。

2番目の展示室には、同時代の池⼤雅(いけのたいが)、円⼭応挙(まるやまおうきょ)、曾我蕭⽩(そが しょうはく)などの作品が展示されています。

大の犬好きの私は、円山応挙の『竹に狗子図』に釘付け。
2幅1対に描かれた5匹の子犬がとてもかわいらしいのです。

白い犬は輪郭が描かれていますが、黒と茶の犬は輪郭がありません。その質感の違いも味わい深いです。

今回の展示品は、すべて福田美術館所蔵の作品とのこと。私設の美術館でこれだけの作品がそろうのはすばらしいですね!

円山応挙『竹に狗子図』の前でほおが緩む
円山応挙『竹に狗子図』

続いて、嵯峨嵐山文華館へ

福田美術館から徒歩数分で嵯峨嵐山文華館に移動します。
嵯峨嵐山に溶け込む和風建築で、庭園もきれいに整えられています。

嵯峨嵐山文華館2

1階は百人一首関連の常設展、2階は約120畳の広々とした畳敷きのギャラリー。大きな屏風も小さく見えるほどの広々とした空間でした。

嵯峨嵐山文華館2F展示室1

福田美術館に展示されていた伊藤若冲『群鶏図押絵貼屏⾵』がここにもありました。このように広い和室に展示されると雰囲気が違います。照明が明るいせいか、鶏たちもなんだかのびのびと躍動しているように感じられました。

若冲が活躍した18世紀の京都は、与謝蕪村、池大雅、円山応挙、曾我蕭白など、個性豊かな絵師たちがひしめいてました。
彼らは互いに交流し、影響を受けながらそれぞれの画風を確立したそう。人物や山水画も展示されています。

嵯峨嵐山文華館2F展示室2

興味深かったのが、『天才くらべてみました』とサブタイトルがついたコーナー。
孔雀や虎、龍、ニワトリなど、同じ画題ごとに若冲、応挙、芦雪などの作家の作品が並べて展示されています。
このような展示の仕方は、比較しながら鑑賞できるので楽しいですね!

09_円山応挙『牡丹孔雀図』広報借用画像
円山応挙『牡丹孔雀図』 前期・嵯峨嵐山文華館(提供)
10_呉春『孔雀図』広報借用画像
呉春『孔雀図』 前期・嵯峨嵐山文華館(提供)
嵯峨嵐山文華館2F展示室3
嵯峨嵐山文華館2F展示室4
丸山応挙
岸連山『花鳥図屏風』

若冲ゆかりの錦市場へ

錦市場

若冲の実家があった京都・錦市場も訪ねてみました。アーケードに、若冲の垂れ幕がかけられています。

今回は日中の訪問でしたが、各商店のシャッターには若冲作品がたくさん描かれているそう。店舗が閉店する18時以降に訪れるとシャッターアート巡りができるようですよ。

この日の装い

この日の装いー小千谷縮

夏の京都は初めてでしたので、暑さ対策を万全に。鰹縞の小千谷縮に総紗縫の帯を合わせました。

道明組紐教室にて自作しました御岳組帯締めにライトブルーの帯揚げと、ブルー系のコーディネートで涼やかに。
根付けは長沢芦雪(ながさわろせつ)の犬、マスクもあまり裂(ぎれ)での自作。網代のバッグとパナマ下駄で夏らしく。

有職組紐 道明

江戸時代より東京・上野で組紐を製作し続ける「道明」。道明が取り組むのは、日本で脈々と受け継がれてきた、組紐の長い歴史の上に立脚したものづくり。

本当は、若冲の象の意匠の訪問着を着て行きたかったのですが…

早朝の新幹線移動でしたため、過ごしやすさ優先で小千谷縮をセレクト。少しだけ心残りです。

本当は若冲の象の訪問着を着たかった

今回ご紹介の展覧会情報

京のファンタジスタ
提供:福田美術館 嵯峨嵐山文華館

企画展『京(みやこ)のファンタジスタ ~若冲と同時代の画家たち』

福田美術館 https://fukuda-art-museum.jp
嵯峨嵐山文華館 http://www.samac.jp

⽇時:2021年7⽉17⽇(⼟)〜2021年10⽉10⽇(⽇)
10:00〜17:00 (最終⼊館16:30)
休館日:⽕曜⽇

※日時など変更になる場合があります。おでかけ前に公式サイトなどで最新情報を確認してください。

その他、おすすめの美術展

三菱の至宝展ポスター

三菱創業150周年記念 『三菱の至宝展』

三菱一号館美術館
https://mimt.jp/kokuhou12/

⽇時:2021年6⽉30⽇(水)〜2021年9⽉12⽇(⽇)
10:00〜18:00
休館日:月曜・展示替期間

※日時など変更になる場合があります。おでかけ前に公式サイトなどで最新情報を確認してください。
ランス美術館コレクションポスター

『ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派』

SOMPO 美術館
https://www.sompo-museum.org/

日時:2021年6月25日(金)~2021年9月12日(日)
   10:00~18:00(最終入館17:30)
休館日:月曜日・展示替期間・年末年始

※日時など変更になる場合があります。おでかけ前に公式サイトなどで最新情報を確認してください。

◆ 読者プレゼント ◆

チケット写真

さて、ここでうれしいお知らせです。
『京(みやこ)のファンタジスタ ~若冲と同時代の画家たち』の招待券を抽選で5組10名の方にプレゼント!
ぜひ、きものでお出かけくださいね!

下記リンクより、お使いのSNS経由にてご応募くださいませ。
◆Facebook
https://www.facebook.com/kimonoichiba/
◆インスタグラム
https://www.instagram.com/kimonoichiba/?hl=ja
◆Twitter
https://twitter.com/Kimono_ichiba

※応募期間:2021年8月26日(木)まで

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