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オープニングアクト&トーク「凜と美しく」 日本舞踊家・花柳凜さん 日本最大級きもの展示会2021@東京丸の内KITTE イベントレポート vol.4

オープニングアクト&トーク「凜と美しく」 日本舞踊家・花柳凜さん 日本最大級きもの展示会2021@東京丸の内KITTE イベントレポート vol.4

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5月に東京・丸の内KITTEにおいて開催された「2021 日本最大級 きもの展示会」。オープニングアクト&トークには「きものと」のコラムでもおなじみの花柳凜さんがご登場!思わず見惚れる美しい舞披露から、着物姿をより美しく魅せる所作の学びまで…イベントの様子をレポートいたします!

花柳凛さんオープニングアクト・遠景

京都きもの市場が主催する、東京丸の内KITTEでの日本最大級のきもの展示会。
6回目を迎える本年も、およそ25,000点もの着物や帯が集う充実のラインナップはもちろんのこと、着物や和文化にまつわるイベントが毎日日替わりで開催されました。

初日となる2021年5月26日には、日本舞踊家の花柳凜(はなやぎりん)さんのオープニングアクト&トークが披露されました。

オープニングアクト 大和楽『夢』

優美な大和楽にのせてたおやかに、あるいは妖艶に舞う凜さん。

日本舞踊『夢』を舞ってくださった花柳凛さん

『夢』と題されたこの舞は、なんと今回の展示会開催のお祝いのために、新たに凜さんがお振り付けくださったもの!
『胡蝶の夢』をモティーフとした作品の中で、蝶のように袖を羽ばたかせ、かと思えば意中の男性に目が留まり、はっと息を飲むや否や切ない表情に変わり…

一瞬一瞬に目を奪われてしまいました。

本日の装い解説

舞の次は、凜さんによるトークタイム。
まずは本日の装いについて、解説をいただきました。

花柳凛さんの本日のお召し物

お着物は、お母様が結納の時にお召しになったというほんのりとしたピンク色の訪問着。
様々な季節の花が短冊に描かれており、時期を選ばず着用できる優れものだそうです。
生地は綸子で、「全体の色合いを大人しくした同系色コーデでも、綸子だと華やかに見えるんです」とのこと。

帯は、武田信玄の家紋でもあった「武田菱」柄の袋帯。
凜さんのお家は日本舞踊だけでなく、武家茶道の一派でもあるため、古の武将にあやかれらたとのこと。
帯締めは舞披露の衣裳感を出されるために、あえて立体感のある丸ぐけのものを選ばれたそうです。

披露された舞にもイベント内容にも合致した、甘やかななかに芯の通ったコーディネートですね。

凜さんの着物はじめと気づき

日常に活かせる日本舞踊の所作を教えてくださる花柳凛さんその2

物心つくずっと前、2歳から日本舞踊をはじめられたという凜さん。
つまりは、日本舞踊が先で、着物が後。

幼いころから師範であるお祖父様・お祖母様から、日本舞踊の振りだけでなく、日常の所作に至るまで厳しく教えを受けておられたそうですが、ご自身で着物を着るようになったときにはじめて、「あの振りや所作は、着物姿で綺麗に見えるように、合理的に考えられたものだったんだ!」と答え合わせのような感覚で実感できたそうです。

そんな凜さんから、「日本舞踊ならではの着物の所作」について学ばせていただく時間へと移ってまいります。

和でも洋でも姿勢が大事

日常に活かせる日本舞踊の所作を教えてくださる花柳凛さんその3(姿勢を良く)

和装でも洋装でも、「綺麗」の秘訣はまず「姿勢を良く」すること。
ただ、無理に背中の筋肉を使ってしまうと、結局疲れが出てしまい長続きしないようです。

お腹の丹田に力を込め、自分の頭蓋骨が糸でまっすぐに吊り上げられているようなイメージで立つのが良いとのこと。
「毎日何分間かでも、筋肉ではなく骨や重心を意識して立ってみる時間をとってみると、自然と姿勢が良くなってきますよ」とアドバイスをいただきました。

上品に、大人っぽく、色っぽく…所作の極意

後半は、凜さんのデモンストレーションを交えながら、「日常にも活かせる日本舞踊の所作」をご紹介いただきました。

日本舞踊に欠かせないのが「すり足」。
足の先は開いていても良いので、内もも同士をすり合わせるようにすると、草履でも足袋でも、なんとハイヒールでも、上品にまっすぐ歩けるのだそうです。

日常に活かせる日本舞踊の所作を教えてくださる花柳凛さんその4(扇子は低めに)

「大人っぽく着物で動くためにはどうすれば良いですか?」という質問に対しては、「四肢ではなく、体全体で動く」「手の位置を低めに意識する」とのアドバイスが。

日本舞踊では、娘さん役と年上の女性の役では所作も異なります。
娘さん役のときは、かわいらしさを強調するため、首をかしげたり手首を小さく動かしたり、扇子で仰ぐときも首元のあたりを仰いだりと、全体的に手の位置が高めになります。

逆にお姉さん役のときには、振り向くときには胸や肩からゆっくり動かしたり、扇子で仰ぐのなら腰のあたりの高さで袂を仰ぐなど、手の位置が低めになるとのこと。

日常に活かせる日本舞踊の所作を教えてくださる花柳凛さんその5(体ごと物の方へ寄せる)

日常的に物を取るときも、腕だけをぱっと伸ばしてしまったりせず、体ごと物のほうへ寄せてから無理なく手を伸ばすと綺麗に見えます、と所作の比較をしてくださり、明日から気をつけねば…とご参加のみなさまもどこか背中がぴんと伸びたようなご様子。

また、「横座りはともすればだらしなく見えてしまいますが、膝を合わせて座ると、きちんとしてかつ色っぽく見えますよ」との実演もしてくださり、「本当にそう見える!」と驚きの声が上がりました。

花柳凛さんオープニングアクト・トークショー終幕

コーディネートだけでなく、姿勢や所作ひとつでより美しさをアップさせることができる着物姿。その気づきをいくつも得られました。

「きものと」でも「花柳凜の、和でも洋でも美しく」というタイトルで連載をしてくださっている花柳凜さん。
連載では和装でも洋装でも美しく装うためのヒントを教えてくださっており必読ですが、今回は、その凜さんより直接、美しく舞われる様子を目の前で拝見しつつ学べる貴重な機会ありました。

花柳凜さん、ありがとうございました!

ライター写真・世古

聞き手・取材 / 世古友紀奈

京都きもの市場 社員。
2012年新卒入社後、総務を中心に一貫して社内後方業務に携わる。
趣味は食べることとボードゲーム。
目下の目標は、社販でつい買ってしまったかわいい帯留を生かすコーディネートをつくること。

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