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サムシング・ニュー 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.18

サムシング・ニュー 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.18

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下着の他にもうひとつ、わたしには「サムシング・ニュー」があります。それは自分へのお年玉。誰もわたしにお年玉はくれませんから、自分で自分にお年玉を、ということにして、毎年なにか小物をひとつ新調するようにしているのです。

何か新しいものを!

「サムシング・ニュー」という言葉を初めて知ったのは、結婚情報雑誌「ゼクシィ」を読んでいるときでした。結婚式の当日、「サムシング・ニュー」といって、「何か新しいもの」を身に着けると縁起がいい、と書いてあったのです。わっ、なんかこの感覚知ってる!と思いました。子どもだった頃、大晦日になると「お正月になったら着なさいね」と母から手渡される下着を身に着けたときのことを鮮烈に思い出したのです。

「去年今年(こぞことし)貫く棒の如きもの」という高浜虚子の俳句があります。去年があるから今年があるのであって、人生は日々の連続だと分かってはいるのだけれども、どうしてもわたしには、大晦日と元旦の間に、目には見えない大きな幕のようなものがあるように思えてしまいます。もしかしたら新年独特の清々しさや心改まるような感覚は、新しい下着から始まっていたのかもしれません。親から買い与えられる年齢ではなくなってからも、新年に新品を身に着ける清々しさは何物にも代えがたく、毎年12月のうちに下着と足袋を買って用意しておくのが習慣となりました。

下着の他にもうひとつ、わたしには「サムシング・ニュー」があります。それは自分へのお年玉。誰もわたしにお年玉はくれませんから、自分で自分にお年玉を、ということにして、毎年なにか小物をひとつ新調するようにしているのです。前回は帯締めだったので、今回は新春にふさわしく、白地に赤い絞りの帯揚げを予定しています。赤なんて派手じゃない?とか、若すぎるんじゃない?という長年の迷いを払拭して、「いいの!お正月は華やかに!松の内はもちろん、初釜にも新年会にも使う!」と開き直りました。満を持しての白地に赤なのですが、さて選ぼうとすると絞りの大小だけでなく、形にも梅やら蝶やら様々ありまして選びきれません。あれも素敵、これも素敵と、浮き立つ心で迷っています。さて、どんなお年玉になることやら。皆さまもどうかよいお年をお迎えください。

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