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白い抱擁 「自分らしさを解き放つ、シーン別着物コーディネート」vol.9

白い抱擁 「自分らしさを解き放つ、シーン別着物コーディネート」vol.9

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真っ青に澄み渡る空の下、葉が落ちた木々は寒々しく、街行く人たちは足早で、いつもの師走の様相にほっとしています。寒さの中の白い息、暑い湯船からの白い湯気、早いところでは白雪など、冬はいろいろな場面や背景で白を感じさせれられます。冬の白に抱擁されながら、”自分らしい美しい装い”を再現してみましょう。

これから冬

寒さ深まりつつある中、街に装飾されたイルミネーションやクリスマス仕様のアイテムを目にすると心温まるのと同時に、早くも今年も終わるのだなと実感します。

12月という数字を見るだけで、働き方や生活スタイル、時間の過ごし方、人とお会いする頻度も変わったのにも関わらず、例年と変わらず気持ちだけは忙しく思わされます。
同時に毎年さまざまな出来事があって、十分な時を過ごしているにも関わらず、時の流れを早く感じさせられます。

みなさまはいかがでしょう。

訪れたい場所にお伺いできましたか。お会いしたい方々にお目にかかれましたか。
欲しいものをお買い求めになられましたか。

この特殊な環境下で、厳選して伺われた場所やお会いになられた方々、お買い求めなられたものは、とても貴重できっと記憶に残ることでしょう。
何気なく自由に過ごせなかった分、その様にプラスに転じたいと思っています。

12月も残すところ1ヶ月足らず。
なかなか大勢で集うことはかないませんが、例年同様にお会いできる方々とはお会いして、優雅で落ち着いた時間を過ごしたいものです。

このようなご時世を配慮しつつも、ぜひ”自分らしい美しい装い”を。
華美すぎず華やかで、洋服の方々とも調和できる優しさを含み、ファッションとしての魅力も感じてもらえるよう、いつもの”いい感じ”で”自分らしい美しい装い”を再現してみましょう。

ちょうどいいラグジュアリーコーディネートのコツ

例年通りにいかずとも、12月は色々と会食などの機会が増えます。いつもより良いお店に、ドレスアップして、もしくは着物を纏ってお出かけしたくなります。
着物より、洋服の方々とご一緒する機会も多いかと思われます。

そのような際に、周りの方々とも調和でき、街やお店の雰囲気にも溶け込めて、そして”自分らしい美しい装い”を纏うとしたら…

色柄によっては洋服の方々との調和が難しい場合もあります。お相手の方や伺われる街・お店の雰囲気によって、自分が何を纏いたいのかを念頭に置きながら、お召しになられるものを想像してみましょう。

華やかな訪問着や付下げを取り入れるのもひとつ。
おしゃれ自由度が高い小紋・色無地・紬のコーディネートを取り入れるのもひとつ。
今回、素材・色・柄にラグジュアリーを忍ばせてコーディネートしてみます。

訪問着や付下げはもともと華やかなので、そうではない小紋・色無地・紬をいかにラグジュアリーに見せるかのコーディネートもおすすめです。合わせる帯や帯締めなどにラグジュアリーを忍ばせる過程はとても楽しいです。

可憐なラグジュアリーでは 色香ある疋田絞りに忍ばせて
小粋なラグジュアリーでは 光沢ある色無地に忍ばせて
優美なラグジュアリーでは 躍動感ある柄の紬に忍ばせて

みなさま自由に想像して、楽しく考えてみてください。
着物3枚に帯3本で3パターンご紹介します。お好みに近い感じはありますでしょうか。

着物コーディネート 可憐なラグジュアリー

可憐なラグジュアリー前後横

・疋田絞り
・若松柄の袋帯
・一部疋田柄デザインの帯揚げ
・白地にグレーの貝の口の帯締め

甘く柔らかな雰囲気に

着物コーディネート 小粋なラグジュアリー

小粋なラグジュアリー前後横

・光沢のある色無地
・毘沙門亀甲柄の螺鈿の袋帯
・紅色のグラデーションの帯揚げ
・銀糸の三分紐
・グレーパールの曲線の帯留め

カッコよく洗練された雰囲気に

着物コーディネート 優美なラグジュアリー

優美なラグジュアリー前後横

・デフォルメされた植物柄の染大島
・竜巻絞りの名古屋帯
・薄緑の雲柄入りの帯揚げ
・白地に銀糸の貝の口の帯締め

品よくドラマティックな雰囲気に

99パーセントの完成美

99パーセントの完成微

欲しいものがないなと思っていたのに、そして買うつもりもなかったのに、実際にお店に足を運んで、いろいろ見ていたら欲しくなってしまうことはありませんか。
そのようなことがあった際には、出会いやご褒美と思って喜んで購入することにしています。
もちろん迷って断念することもありますし、潔く即決することもあります。
着物や帯に関しても同様です。

最近欲しいと思う着物や帯はどのようなものですか?
すでにイメージをお持ちだったり、どちらのメーカーと決めている方もいらっしゃるかと。

私が欲しいものはなんだろうと想像を巡らしていたら、まさしくこちらだと。

”99パーセントの完成美”

作り手の方の念い(おもい)とは別に全くの主観ですが、1%以上の余白が残っていると思える完成美にとても惹かれます。

おしゃれできる余地を感じられるかどうか、着る方の美意識でその人なりのスタイルを作る余白があるかどうか。
”自分らしい美しい装い”を目指す上でこの感覚は大切だと考えています。

余白が多ければ多いほど、自由度は高くコーディネートはしやすい かもしれません。
余白が狭ければ狭いほど、自由度は低くコーディネートはしにくい かもしれません。
前者は無難、後者は有難 ともとれます(『陽満ちる向暑』参照)。

余白に関して感じ方は人それぞれです。
どちらであっても纏うアイテムと自分との調和美が完成できれば、より長く愛用できる逸品になると思っています。

余白が残る完成美を求めて。

センスを磨くには Part.14

以前、センスを磨くにはの初回(『口説かれ着物の纏い方』参照)において、コツはないけれど、3つおすすめをしました。

1.想像力を養うこと
2.一般的な概念や型に囚われないこと
3.自分を知ること

今回は、ご自身のセンスを”鮮度高く”保っていくためのキーワードを3つお伝えします。

”敏感” ”関心” ”柔軟”

以前『鈍感力』という本がベストセラーになり、現代を生きるキーワードと言われました。また昨今では『反応しない練習』という本においても、心を穏やかにヘルシーでいられるアドバイスが示されています。
実際、いろいろなことにきめ細やかに神経を使っていたら疲れてしまうので、確かにそうだなと納得します。
しかしセンサー(感度)は敏感でありたいと考えています。
自身の琴線に触れるかどうか、好きかそうでないかなど、端的に気付ける、察知できる、反応できるだけで十分です。
そうでなければ、センサーは鈍くなります。

鈍感力の延長で無関心を良しとしている風潮もあります。それ自体は否定しません。昨今のSNSの爆発的な進展により情報の巨大化、フェイクニュースの混在など鑑みれば、無関心でいる方がずっと平静で気楽でいられるかもしれません。
しかし物事に興味を持ったり、注意を払ったり、人を気にかけたり、関心を持つことは大切です。
そうでなければ、センサーは劣化します。

優美なラグジュアリー

大人になるにつれ怒られることはなくなり、歳を重ねれば重ねるほど指摘を受けることもなくなり、この人はこういう人だからと割り切られることが多くなります。そんな中、身近な方や親身になってくれる方からのアドバイスや指摘は貴重です。たとえ自身と考えが異なっていたとしても、ありがたいなそうだなと、一旦柔軟に受けとめることには価値があります。
そうでなければ、センサーは硬くなります。

あれと気づく方もいらっしゃるかと思いますが、これらは調和美の感性であり概念にも近いところがあります(『うららかな春の装い』参照)。

センスを磨き続け、鮮度高く進化させていきましょう。

着物コーディネートを、鮮度高く進化させる
着物コーディネートの、センサーを磨く

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