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肌になじむ久留米絣 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.16

肌になじむ久留米絣 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.16

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木綿のきものを着ることの多いわたしは、久留米絣が特に気に入っています。生地の張りと肌になじむ感じが気持ちいいのです。母から譲り受けたとき「洗えば洗うほど風合いが柔らかくなる」と言われましたが、その当時は「きものを洗うなんて!」と怯えていました。

いろいろ楽しい久留米絣

麻の葉柄の久留米絣を着たら「(「鬼滅の刃」の登場人物の)禰豆子と同じもようだ!」と言われた話は前号に書きましたが、その後青海波柄の久留米絣を着たら、うちの息子に「Wi-Fiの柄だね」と言われました。Wi-Fi!? ……まぁ電波という波ではあるし、伝統的な文様が身近にあるということで良しとしますかね……。

木綿のきものを着ることの多いわたしは、久留米絣が特に気に入っています。生地の張りと肌になじむ感じが気持ちいいのです。母から譲り受けたとき「洗えば洗うほど風合いが柔らかくなる」と言われましたが、その当時は「きものを洗うなんて!」と怯えていました。あれから数十年を経て、知識と貫禄と度胸を手に入れたわたしは、久留米絣のきものを洗濯ネットに入れて洗濯機で洗えるようになりました。コツは専用の洗濯ネットを用いることと、脱水を30秒程度にすること。きもの専用のハンガーに干すこと。藍染めの色合いが損なわれてはいけないので、蛍光剤入りの洗剤などは使わないように注意すること。この4つくらいかな。

久留米絣は、江戸時代の後期に、当時12歳だった少女・井上伝によって生み出されたとされています。いつしか久留米藩が奨励する産業となり、現在では、久留米絣といえば福岡県南部の筑後地方一帯で織られている伝統的な綿織物。伊予絣と備後絣とともに日本三大絣とも呼ばれています。プリントでは味わえない絣の味わい深さ、次の世代に伝えたいもののひとつです。

わたしの場合ですが、久留米絣のきものはふだん着からちょっとお出かけ着として愛用しています。ふだん着のときは半幅帯に割ぽう着、お出かけのときはざっくりした織の名古屋帯を合わせます。寒くなってきた最近では、中にコットンのリブタートルセーターを着たりして和洋MIXにもしていますよ。着心地がよくて自分でお手入れできる木綿のきものは、おうちきものにぴったり!そういえば、裾が切れるほど着た絣のきものを、上っ張りとエプロンに作り替えました(木綿のきものは裏地をつけずに単衣で仕立てることが多いので、裾が切れると、だんだん丈が出しにくくなるのです)。この絣のきものから生まれた上っ張りがとっても優秀! お尻が隠れる絶妙な長さで、ちょうどいい場所にスマホが入るポケットを付けてもらいました。袖口にはゴムを入れてもらったので家事をするときに便利。残った布でカフェエプロンを作ってあるので、こちらは夏になったら、たすきと組み合わせて使う予定です。布の命は長い!気に入った布をとことん楽しむことの素晴らしさに気が付いたのは、他でもない久留米絣のおかげです。

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