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着物姿を一層引き立てる美髪ヘア 「花柳凜の、和でも洋でも美しく」 vol.2

着物姿を一層引き立てる美髪ヘア 「花柳凜の、和でも洋でも美しく」 vol.2

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高く澄み渡る空、色鮮やかに燃えるような紅葉が輝く季節。 食や芸術の秋は外出やお呼ばれの機会も増え、着物でのおでかけにぴったりな気候が続きます。今回はそんな和装での楽しみのひとつ、ヘアスタイルやヘアケアについてお話したいと思います。

ヘアスタイリングは和装での楽しみのひとつ

和装での楽しみは、着物そのものや小物のスタイリング、メイクアップはもちろんのこと、ヘアのスタイリングも楽しみのひとつですよね。

1 日本人の髪への意識

日本には古くから美髪への意識が根付いていた

そもそも日本には古くから“美髪”への意識が強く根付いています。
日本三大随筆のひとつ『徒然草』にはこうあります。

女は髪のめでたからんこそ、人の目たつべかめれ
(女は髪の美しさこそ人目を惹き付ける)

いつの時代にも再三語られるほどに、日本人は、まっすぐ伸びた黒髪に心惹かれその魅力や美しさを大切にしてきました。
髪を結う文化が根付いてから明治頃までに結われた日本髪の種類は、なんと300ものバリエーションがあるといわれています。それだけ、髪のおしゃれは”ステータス”であり”個性”であり、楽しみであったのだと思います。

昨今ではさらにカラーリングや様々なセットなど髪の楽しみは多様化していますが、今回はあえて、古典的な髪のありかた、古風な結い上げの美しさから、美髪を保つ秘訣について考えたいと思います。

2 美しい日本髪

日本髪の魅力に気づいた幼少期

私が初めて日本髪の魅力に気付いたのは、5歳の頃、『羽根の禿』という演目でこの豪奢な日本髪を掛けたときのことでした。

大変に重く衝撃的で…でもあまりの煌びやかな可愛さに、首のつらさも忘れワクワクしたことを鮮明に思い出します。

私が思う日本髪の美しさとは、もちろんこの複雑に結い上げられ計算し尽くされた完璧なフォルム、昔の日本人のセンスが詰め込まれた上品で豪華な飾りはもちろんのこと、何よりこの「一糸乱れぬ毛流れの美しさ」にあると感じています。

毛先がどこにどう纏まっているのか、まろやかに水を流したように光りうねる黒髪は艶やかで上品でミステリアスです。この表面のまろみやツヤ、丸くなめらかなフォルムを大切にするのは日本人独特の感性だと感じます。

現代の私たちは着物を着るたびにこのような日本髪を結うというのは難しいですが、私が常々意識するのは、サッとしたまとめ髪でも、この日本髪のもつ「乱れのない毛流れとツヤ」を大切にすることです。
毎日の稽古では手の込んだおしゃれな髪型はできませんが、簡単なお団子頭でも、きちっと整った清潔でツヤのあるまとめ髪を意識しています。

ネットの大きなバレッタがお稽古に大活躍

ネットの大きなバレッタは毎日のお稽古に大活躍。

舞台や撮影でも、地毛結いのときは必ず、スタイリストさんに「毛流れ」と「ツヤ」を意識していただくようお願いしています。

華やかな舞台にて

3 美髪を保つ簡単裏技

土台となる髪質の美しさを保つには

とはいえ同時に、和装での、毛流れやツヤを大切にした清楚で古風なスタイリングは「髪質」の誤魔化しがきかないのも事実。
ましてや美しい絹の着物と並ぶとなると…それに負けない美髪を手に入れたいですよね。

私のSNSなどにいただくメッセージでは、髪についての質問がとても多くあります。

 ・長い髪に憧れるけど綺麗に伸びない
 ・どんなシャンプーやトリートメントを使っているか

こういったご質問をいただきますので、ここでは私のヘアケアをご紹介したいと思います。

と申しましても、めんどくさがりな私は、ほぼ”何もしていない”と言ってよいほどヘアケアをしていません。これは本当で、むしろこの“何もしない”が長い髪を保つ秘訣かもしれないとさえ感じています。

腰より下まで届くスーパーロングを6年ほど維持していますが、正直乾かさずに寝てしまうことも多く、美容院でのトリートメントも年に1~2回するかしないかという横着です。
そんな私でもロングヘアを維持できる、とても簡単な3つのことがありますのでご紹介します。

① ブラッシングはほぼしない

これは意外に思われる方も多いと思いますが、ブラッシングはとても慎重にしないとキューティクルを傷付けるばかりになる場合があります。

ですので私は、シャンプー前にゆっくり時間をかけてブラッシングをするのみ、それもできるだけ1日に1回とし、少しでも引っ掛かったら手を止め丁寧に指を使いながらブラッシングしていきます。

② プライベートでは一切スタイリングをしない

強い力で髪を結いますので頭皮にかなりの負担がかかります。

本当はオシャレに髪を巻いたり可愛いスタイリングをしたいときもありますが、仕事柄いつも髪や頭皮に負担をかけています。

そのためプライベートでは一切スタイリング材を使わず、巻き髪やポニーテールなど髪に負担の掛かるスタイルも作りません。
下の方でゆるくひとつに束ねるばかりで全然可愛くないですが…そこは我慢。
また、カラーやパーマなども一切せずヴァージンヘアを保っています。そうすると髪に負担が掛からないので、髪は健やかに強くなってくれます。

そんな私も十代の頃にはブリーチをしたり刈り上げたり、髪色も緑や金…と散々髪を傷めてしまいました。それでも少しずつブリーチした部分を伸ばしては切りを繰り返し、今のヴァージンヘアを取り戻しました。傷んでしまった髪も、少しずつケアをして大切に伸ばしてゆけば健やかな状態に戻すことができます。

③ 応急処置は椿油

秋から春にかけては、肌も髪も乾燥に悩まされますよね。
パサパサと広がった乾燥ヘアの強い味方が「椿油」。私が使っているヘアケア用品はこの椿油ひとつです。

できたら香料も保存料もない無添加のものがおすすめ。
毛先が引っ掛かるな、パサつくな、と思ったら椿油を手のひらになじませ、毛先をゆっくり包み込み暖めるように椿油を浸透させます。さらに全体に手ぐしでなじませ、あまったらそのままハンドクリームのように手に伸ばしたり、爪のケアにも使えます。

応急処置は椿油

体系維持や肌についてもそうですが、「美しい髪を作ろう」とか「髪を綺麗にしよう」という意識は、持ちすぎるとかえってプレッシャーになることがあります。
インナーケアやホームケア用品も、いろいろと試しては、思ったように出ない効果に疲れてしまうことってありませんか。

私は、髪を綺麗にしよう!と無理するのではなく、髪自体がストレスを感じずに、髪そのものの力を発揮させてあげるにはどうすれば…と考えています。
本来は毎日努力して丁寧にケアするのが何よりとは思うのですが、なかなか髪や肌の手入れはおっくうになるものですよね。めんどくさがりの私でもスーパーロングヘアを維持できている簡単ケアなので、ぜひ試してみてくださいね。

4 まとめ

着物姿をよりつややかに清楚に演出してくれる美髪

髪本来の持つ力を引き出して強くしなやかな美髪を手に入れ、着物姿をより艶やかに清楚に演出してくれる美しいスタイリングを楽しみたいですね。

花柳凜の”和でも洋でも美しく”、本日の「ヘア」編はここまで。
次回は「立ち居振る舞い」についてお話しいたします。どうぞお楽しみに!

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