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甘美な誘い 「自分らしさを解き放つ、シーン別着物コーディネート」vol.7

甘美な誘い 「自分らしさを解き放つ、シーン別着物コーディネート」vol.7

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見上げた空は果てしなく真っ青で、触れる風はさらりと優しくて、心地良い秋の涼しさに包まれます。実りの秋は行楽、芸術、食事と様々なシーンを存分に楽しめる季節です。今回、5ヶ月ぶりに「あの時の彼ら」が登場します。ステキな方とつややかな時間を過ごすコーディネートを楽しく想像して再現してみましょう。

さらりと柔らかい涼しい空気感の中、何気なく歩いていると、ふわりと甘く漂う金木犀の香りに包まれて、とても懐かしく穏やかな気持ちになります。

香りと共に巡る記憶は、不思議と鮮明で、その時の場面が頭に浮かんだり、その時の感情までも呼び起こされることがあります。
嗅覚は脳と直結している唯一の感覚だからでしょうか。

久々にあの時の三者三様の男性にお会いすることになりました(『口説かれ着物の纏い方』参照)みなさま覚えていらっしゃいますか。

”必要なのはお金じゃ無くてセンスです”  の ラグジュアリーイケオジ
”いくつになっても冒険野郎” の アクティブメンズ
”ストリート魂を忘れない男たちへ”  の モードメンズ

人気の男性誌から引用させてもらっています。
よりはっきりと男性像が想像できる方もいらっしゃるかと思います。
「LEON」、「Safari」、「SENSE」―

はじめてお会いする彼らをちょっぴりプロファイリングし、ステキ女性と思ってもらえるように、色々とコーディネートの想像を膨らませました。

今回も同様に調和美の中で、どなたとご一緒するかで彼らに焦点をあててみます。

そのようなユニークな方々の忘れえぬ人になれたのかしらと(『香る余韻』参照)心躍らせながら、記憶呼び覚ます香しい秋に感謝して、喜んでその日を迎えましょう。

さて何を纏いましょう。

ラグジュアリー、アクティブ、モードな男性別コーディネートのコツ

ハイカロリーで生きる彼らは社会の変化にとても敏感で柔軟で、自粛モードの際も新たな時間の楽しみ方をすぐに発見できたようです。相変わらず仕事も遊びも全開で疲れ知らず。
足るを知ってしまったら終わりだと、常にアップデートを怠らない。

彼らにとって着物女性は特別でもなんでもない。

前回は着物を着ているステキ女性もしくはステキに着物を着ている女性と認識してもらえるように、おしゃれ自由度が高い小紋でコーディネートし、彼らのファッションと調和するように色味を控え、上質感を感じてもらえるよう工夫をしました。(『口説かれ着物の纏い方』参照)

今回は訪問着、色無地、小紋の3パターンで色味を加えてみます。
お相手の方と距離もちょっぴり縮まった分、遊びの要素をほんのり添えて、纏う自分も楽しいコーディネートにしてみましょう。

ラグジュアリーイケオジには、グラマラスに遊び心を添えて
自由・開放的な意味を持つ猫柳の訪問着を

アクティブメンズには、エレガンスに遊び心を添えて
海を連想する色無地と青海波の帯を

モードメンズには、クールに遊び心を添えて
白黒の無彩色で大胆な小紋を

みなさん自由に想像して、楽しく表現してみてください。
着物3枚に帯3本で3パターンご紹介します。お好みに近い感じはありますでしょうか。

着物コーディネート ラグジュアリー

ラグジュアリー前後横

・猫柳柄の訪問着
・ダイアモンドラピス引箔の袋帯
・薄いベージュの縮緬の帯揚げ
・白に金が入った平組の帯締め

グラマラスに遊び心を添えて

着物コーディネート アクティブ

アクティブ前後横

・水色の桐竹鳳凰の色無地
・青海波に千鳥柄の染の袋帯
・茶の縮緬の帯揚げ
・グレーの貝の口の帯締め

エレガンスに遊び心を添えて

着物コーディネート モード

・白黒格子柄の小紋
・笹竜胆柄の袋帯
・藍茶の二色染の縮緬の帯揚げ
・縹色の冠組の帯締め

クールに遊び心を添えて

着物はファッション!?

先の彼らはライフスタイルの中にファッションが自然と存在していて、日々更新されても自分のスタイル、佇まいがあり素敵だなと憧れています。

先日BAZARというファッション雑誌で興味ひく内容があり、ぜひ共有させてください。昨今の社会の大きな変化に伴い、ファッションの世界でもキーワードががらりと変わったようです。

そこで紹介されていた3つのキーワードを自分なりに解釈し、着物はまさしくそうねと日本人として誇らしい気持ちになりました。衣装のひとつとして、着物も洋服と同じ誌面の上で共演する機会があればと願っています。

・サステナブル
環境関連においてよく耳にする言葉で、”持続可能な”という意味です。長く着用できる素材で、製造過程から最終的に不要になった際も環境に優しいことのようです。

・アンチトータル
聞き慣れない言葉ですが、トータルルックにとらわれず、自由に自分の好きなものとミックスして着こなしを楽しむとのことです。今季ルイヴィトンのコレクションでも提唱されていました。全身同じブランドである必要はないようです。

・インクルーシブ
ダイバーシティ(多様性)と共によく使われている言葉で、”包括的に”という意味です。
障害者や高齢の方に向けて商品開発することを示したり、一般や平均ではなく、個々が求める好みや美しさ、快適性を追求することのようです。

着物は代々引き継ぐことができ、元々は天然素材である蚕や植物からできています。その時の感性で自分が好きなように自由にコーディネートができます。年齢を重ねて好みや体型が変わっても、コーディネートや着付けで見た目の美しさも快適さも柔軟に対応することができます。

ファッションの旬のキーワードは、着物にとって極めて自然に感じられます。
伝統的な民族衣装でありながら、時代を一歩先ゆくファッションと捉えると、着物を纏う気分がまた変わってくるかもしれません。

センスを磨くには Part.10

以前(『口説かれ着物の纏い方』参照)センスを磨くにはの初回において、コツはないけれど、3つおすすめをしました。

1.想像力を養うこと
2.一般的な概念や型に囚われないこと
3.自分を知ること

今回はその中で、2において着物とコーディネートするバッグに関して、私自身が実践していることをご紹介します。

”いい加減”の着物コーディネート(『みずみずしい新緑と調和する花々』参照)に”いい加減”のバッグ選びができたら、”いい感じ”のトータルコーディネートで、より気分が上がるかもしれません。

細かいお好みは人それぞれですので、あくまでご参考に。

みなさん、着物をお召しになる際にバッグはどのように選んでいますか。
感覚的にもしくは和装用を選ばれている方も多くいらっしゃるかと思います。
着物コーディネートをより活かす以下3つのコツを試してみてください。

・数をひとつに絞る
用事やお出かけの目的によってサブバッグが必要なこともあります。しかしデートやお食事などの際は、ぜひその時一番いいなと思ったひとつに絞ってみてください。ひとつのバッグになったら、シンプルに登場できます。

・小さめサイズにする
数をひとつにするなら、大は小を兼ねると大きなバッグを選んでしまうこともあります。しかし特別なお出かけの際は、思い切って小さなバッグにしてみてください。大きな財布も小さく、メイク用品も少なく、あとはスマホと家の鍵が入れば、着物が主役となり軽やかに登場できます。

・全体で見る
数もひとつに、サイズも小さめにしたら、あとはトータルで着物コーディネートと合わせて見てみましょう。着物、帯、帯締めなどの色味と合わせて同系色かポイントとして色を添えているのか。袷・単衣・薄物の素材感と合わせて軽やかもしくは重厚になっているのか。全体のコーディネートが調和していれば、”いい感じ”に登場できます。

バッグも洋服と着物の際で分けてる方もいるようですが、コーディネートとして合えばどちらでも、必ず和装用である必要はないと考えています。

利休バッグや帯素材のクラッチなどステキなものも拝見しますが、自身はあまり持っていません。洋服でも着物でも兼用できるバッグが多いです。

バッグまで着物コーディネートの味方にし、ぜひお出かけしましょう。

自分らしさを解き放つ着物コーディネート
全体の調和を大切に

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