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パリの着物屋、その後 「WORLD KIMONO SNAPS」 – FRANCE –

パリの着物屋、その後 「WORLD KIMONO SNAPS」 – FRANCE –

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いろいろな人がいろいろな着こなしをみせてくれます。すでに着物を何枚かお持ちのマダムには浴衣を購入いただき、襟がかわいい道行コートを買ってくれたお母さんはなんとタトゥーの彫り師!はたまた子供の兵児帯をスカーフがわりに買ってくださったアジア系のムッシューも。

日本のみなさま、お元気でお過ごしでしょうか?
こちらはコンフィヌモン(外出制限)明けの5月11日からお店を開けて…はや4ヶ月がすぎました。

お店のオープンにあたっては、正直、最初は不安でした。
そもそもパリでは外出制限が2ヶ月半もあり、接客はおろか、人と面と向かって話すこともない状態でした。また5月のパリはレッドゾーン、感染のリスクもまだまだ高い状態でした。

初日に立ち寄って買ってくださった女性のお客様以外は人通りも少なく、何もできることがないな…などと考えつつ、インスタグラムに5日ほど広告を出してトライアルしましたところ、「インスタを見てたら出てきたから来てみた」という方もちらほらいらっしゃいました。

そんななかにおいても、偶然通りがかったお客様から「C’est trop beau!(なんてキレイなの!)」「Merci d’avoir existé!(存在してくれてありがとう!)」といったうれしいお言葉もたくさんいただきました。

いろいろな人がいろいろな着こなしをみせてくれます。

すでに着物を何枚か持っているマダムには浴衣を購入いただき、実はご近所に住んでいることも分かり、共通の趣味である生地や衣装の本を貸してくれるようになりました。

襟がかわいい道行コートを買ってくれたお母さんはなんと、タトゥーの彫り師!
同僚の彫り師おふたりを連れて再度来てくださいました。

Tシャツとジーンズに羽織のコーディネート
袴に身を包むと気分も上がります

日本語を少し話せるダンサーのムッシューは、市庁舎で行われるイベント用に鬘(かつら)と和傘を貸してほしいとのご依頼。さらには自分用にと浴衣も購入してくださいました。

はたまた、子供の兵児帯をスカーフがわりに買ってくださったアジア系のムッシューも。
次は絽の羽織を、またその次にはプレゼント用に絽の道行をとご購入くださり、「何か新しいものが入ったら連絡を」と名刺まで置いていってくださいました。

羽織も、一見それとは分からないほどにエキゾチックなコーディネートに!!

白いレースに冴えた赤い羽織は一層目を引きます
パリの街並みにある着物屋

オープン時は、工事の人に来てもらうことができず、ペンキ塗りなどの作業を、いつ開けられるかも分からない不安な気持ちとともに、ひとり黙々とこなしていた状態…

自身では気づかないところで落ち込んでいたのだな、と気づき、「何もかもうまくいく!」と呪文のように唱えていたら…

「そうだ、私は生きて行くために着物を売るのではなく、着物が好きで着物文化を伝えたいから、わざわざフランスという異国の地で着物の総合店をすることを決めたんだ!だから私のすることは”着物の魅力を伝えること”だった!」

と再認識し、なんだかすっと肩の荷がおりて、むしろ楽しくなってきました。

来店される方はみなさま、何も購入されなくてもSNSでお店を紹介してくださったり…
自分が着物を好きでその熱意をシェアできるのであれば、共感者はおのずと増えていくのだなと、日々体感させていただいています。

何かと不便や不安の多い今の状況ですが、「どんなシチュエーションにおいても自分が幸せであれば大丈夫である」というメッセージを、パリからお届けできれば幸いです。

早く元どおりの平和な日常が戻ってくることを願いつつ…
引き続き、着物文化が世界で親しんでもらえるようにがんばりたいと思います。

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