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夏のフォーマル、一枚持つなら? 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.9

夏のフォーマル、一枚持つなら? 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.9

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お洒落は楽しい!不思議と力がわいてきて、元気が出ます。ここ最近、マスクのせいにしてメイクもろくすっぽせずにいたことを反省しました。世の中コロナだし、付下げなんか着ても出かけるところが無いわぁ、と嘆かずに、出かけるところを自分で作ってしまえばいいのだと気づきました。

夏のフォーマルは付下げが便利!

数年前、親しい友人が部下の結婚式に参列するというので、コーデの相談に乗ることに。肩や胸に柄がないとテーブルに座ったときにさみしい、と付下げをすすめるわたしに、彼女は「上司として参列するんだし、控え目がいいかな」と言って、結局うす紫色の色無地を選びました。控え目とは言うものの、友人を少しでも華やかに見せたくなったわたしは、刺繍の半衿に絽の袋帯、金銀の組み込まれた三分紐にべっ甲細工の扇の帯留めを組み合わせて、それはそれは品のいい姿に仕立て上げたのです。

まさかそれが、披露宴会場の仲居さんたちと同じ色の色無地だったなんて!友人は仲居さんに間違えられて、知らないおじさんからビールのおかわりを頼まれたと笑って報告してくれました。きもののことを知らないおじさんにとっては、参列者の色無地(背中に一つ紋、帯は袋帯を二重太鼓、半衿は刺繍、帯に挟んでいるのは末広)と仲居さんの色無地(紋なし、名古屋帯、半衿は無地の白、帯に挟んでいるのは栓抜き)の違いはわからなかったんだろうなぁ。こういう落とし穴があるなんて……ということで、それ以来、付下げや訪問着を強くおすすめするようになりました。

ところで先日、久しぶりにお茶のお稽古が再開されました。いつもはふだん着に半幅帯でお稽古をしているのですが、今回は先生からお免状をいただく日でもあったので、絽の付下げを桐ダンスから恭しく取り出して、袖を通しました。
こげ茶色の地に、秋草と籠が描かれた、絽の付下げに、淡いブルーグレーの絽の袋帯をして、青系のグラデーションの絽の帯揚げ、ほのかに黄みがかったピンクの夏用帯締め、白衿、白足袋です。実はこのきもの、わたしの母のものなんですが、同じ寸法なのをいいことに勝手に私物化しています。それにしても、久しぶりの正絹!久しぶりのお太鼓!久しぶりのフルメイク!これはテンションが上がります。

お洒落は楽しい!不思議と力がわいてきて、元気が出ます。ここ最近、マスクのせいにしてメイクもろくすっぽせずにいたことを反省しました。世の中コロナだし、付下げなんか着ても出かけるところが無いわぁ、と嘆かずに、出かけるところを自分で作ってしまえばいいのだと気づきました。とりあえずわたしは、少人数でおいしいレストランに行くところから始めようと思います。もちろんコロナ対策はきちんとして、です。

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