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神奈川・鎌倉 『古我邸』 「ひとりで愉しむ着物映えレストラン」 vol.2

神奈川・鎌倉 『古我邸』 「ひとりで愉しむ着物映えレストラン」 vol.2

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思わずシェアしたくなる写真が撮れる「着物映えレストラン」の第二弾!古都と呼ばれるにふさわしく、今なお日本情緒溢れる街・鎌倉。政財界や文豪達にも愛され、日本の伝統文化だけでなく別荘文化の息吹もまた感じられる…そんな場所にぴたりとはまる瀟洒なフレンチレストラン、それが今回ご紹介する『古我邸』です。

これからの“withコロナ時代”、いかに自分時間を充実させるかにフォーカスしはじめた方も多いかと思います。

お仲間とわいわい集うのも良いけれど、ひとりの時間もまた良し!
ステキなレストランでゆっくりと、ひとりだからこその時間を愉しんでみてはいかがでしょう。

ひとりで過ごす時間では五感が研ぎ澄まされ、意識が敏感に!
ステキな空間はよりステキに、おいしいお料理はよりおいしく感じられるのではないかと思います。誰かとともにする食事とはまた違った、格別な時間だと感じるのではないでしょうか。

自撮りでも十分愉しめる!

そしてそのひと時をステキに撮って、着物仲間や友人達とシェアできたら…
着姿のシェアは着物愛好家にとって欠かせない愉しみのひとつ!せっかくですのでとびきりの一枚が撮れるよう「着物が映えるフォトジェニックなレストラン」を選びませんか?

ステキな自撮りスポットや映えるオブジェがあったり!
思わずシェアしたくなるような写真が撮れる、着物映えレストランをご紹介いたします。

今回の「ひとりで愉しむ着物映えレストラン」は…

『古我邸』の外観

古都と呼ばれるにふさわしく、今なお日本情緒溢れる街、鎌倉。政財界や文豪達にも愛され、日本の伝統文化だけでなく、別荘文化の息吹もまた感じられる場所。

そんな鎌倉というフレームに、ぴたりとはまる瀟洒なフレンチレストラン、それが今回ご紹介する『古我邸』です。

鎌倉駅から徒歩5分ほどの、緑豊かな扇ヶ谷に佇む邸宅レストラン。
名前からも分かるとおり、かつて個人の邸宅だった建物が、レストランへと生まれ変わったのが2015年のこと。

『古我邸』の門
『古我邸』の外観

1916年に、旧三菱銀行本店や丸ノ内ビルディングの設計を行った桜井小太郎氏が、15年もの歳月をかけて完成させた建物で、“鎌倉三大洋館”のひとつとされています。

明日をもしれぬ今だからこそ、口福タイムはとっておきの空間で!
100年という歴史をも垣間見られる唯一無二のレストランで、さあ愉しみしょう。

足を踏み入れる時のワクワク感は…古我邸ならでは!
レストランと分かっていながら、どなたかのステキなお宅にお邪魔するような。出迎えて下さるのは麗しいマダムかムッシュ?はたまた可愛いワンちゃんかしら?想像するのは楽しいものです。

入口にあるキャビネット…

『古我邸』入口のキャビネット

中を拝見するのも楽しいですよ!

さっと御髪のチェックもできるところがなんともうれしいところ♡

フォトジェニックなソファー

そしてまず出迎えてくれるのが、このソファー。
なんともフォトジェニックでステキでしょ!
どの位置にどう座って撮るのが良いかしら?と早速ワクワクしませんか?

私のおすすめは片側に寄る感じ。今回は訪問着ですので左袖のお柄が見えるようにと、左手を広げてみましたよ!

雑誌の撮影ですと、あちこちをつまんで整えるのでしょうけれど、アシスタントがいるわけでなし、このくらいで100点ではないかしら。

フォトジェニックなソファーでの1枚
館内をゆっくり拝見

今回もまた一番乗り!オープン時間の11時にお邪魔しました。

ゆっくりと館内を拝見させていただきながらお写真も。
お食事前のお愉しみタイムです。

1番のりで優雅な時間を
古我信生氏のインテリア写真

こちらは、1937年に日本土地建物(株)の経営者であった古我貞周氏が取得して以来『古我邸』となった建物。御子息であり、日本モータースポーツのパイオニアと言われた古我信生氏がレーシング・ドライバーとして活躍していた頃の写真が、インテリアとして飾られています。

歴史をモダンに閉じ込めたこの感じが、歴史的な洋館とフレンチの組み合わせにぴったり!着物でフレンチを、21世紀の今に愉しむといったような。

人が本質的に残したいと思う良いものというのは、時がどれほど経とうとも、新しさの中にすっと溶け込むものなんですよね!

ネムノキが描かれた絽の訪問着を着用

今回は邸宅レストランですので、お着物はお宅にお邪魔をするイメージでコーディネートしてみました。

夏の季語でもあるネムノキが描かれた絽の訪問着に、波打つ地紋がスッと葉の間を抜ける風を思わせる、シンプルな帯ですっきりと。

涼やかな寒色の割合が多めなので、帯締めで暖色をプラスして、女性らしさとのバランスもとりました。

さて、お待ちかねのお食事タイム!

ドリンクはドイツのロゼワイン
お食事を味わう

ボトルの可愛いデザインに惹かれて、ドイツのロゼを選びましたよ!

まずはお店の方と古我邸談義。
メニューの裏には古我邸の未来予想図なるものが描かれており、いろいろと解説をしていただきました。

(旬の食材+自家菜園の野菜)× シェフの閃き= 今、この一皿

ホームページで見た数式にある、シェフの閃きにワクワクしながら、お食事をスタート!

涼やかな1品目

「 古我邸の畑より… 」

涼を極めたようなひと皿に、思わずワー♡となりました。

シャリシャリのソルベにプルプルなジュレ、そしてモチモチのタピオカ!にぎやかで楽しく、スタートにぴったりな、まさにファンファーレのようなひと皿でした!

敷地内にある畑で摘み取ったという、アップルミントやペパーミント、レモンバームやレモングラスといったハーブを使った、爽やかなソルベ。

そしてその下には、透明に仕上げたというトマトのジュレとタピオカ。
氷の上に浮かんだ小さな無人島のようで、バカンス気分にさせるかわいらしいひと皿です。

続いて…

「 天豆 長野県産猪のリエット 」

中央の揚げ物がそれで、猪のリエットをそら豆のピューレで包んで揚げたもの。

お肉の繊維を感じる、猪らしいワイルドなリエットと、滑らかなそら豆のピューレの組み合わせが、とても楽しいひと品でした。もち粉をまぶして揚げているそうで、もちもちとした食感も楽しめましたよ。

猪の出そうな場所ですので、お料理をいただきながら、思わず窓の外を見てしまいました!

天豆 長野県産猪のリエット

「 三崎鮪 スモモ 赤紫蘇 」

鮪のタルタルですが、火入れした背トロと赤身を使っているとのことで、脂の感じが絶妙でした。

生で食べられるというコリンキーかぼちゃ、すもも、カシューナッツのみじん切りが和えてあるそうで、カリカリとした食感も楽しめます。

三崎鮪 スモモ 赤紫蘇

鮮やかに茹でられた陸わかめで包んであり、ピンクの花穂紫蘇が添えられて、コントラストが綺麗で華やか。

ソースは、赤紫蘇ジュースに鮪の骨からとった出汁を加えたものだそう。

パンはデュラムセモリナ粉を使っていて、自家製だそうですよ!

デュラムセモリナ粉の自家製パン
そっと膝に忍ばせて

そうそう、今回のように人目に付くお席の場合、みなさんでしたら携帯電話はどうされますか?

私はテーブルの上に置いたり、帯に挟んだりはせず、膝の上へ。
折りたたんだナプキンに忍ばせます。

お着物は目に留まりやすいので、なるべく見た方の記憶に良い印象を残せたら…
いつもそう思っています。

七谷地鶏手羽先 伝助穴子 フォアグラ

「 七谷地鶏手羽先 伝助穴子 フォアグラ 」

伝助穴子とは、通常の穴子よりも3〜4倍も大きく、脂が乗った美味しい穴子。
兵庫県に伝わる昔話の中に出てくる伝助という人が、“大きすぎて使い物ならない”という人物で、それが名前の由来なのだとか。

右が京都の七谷地鶏の手羽先と伝助穴子のテリーヌ。
豚足とキャベツも加えてあるそうで、上に乗ったプチプチ感のあるワイルドライスと共に、食感のアクセントになっていました。

左はフォアグラ。
下にサブレが敷いてあり、こちらはフワトロとサクサクのコントラストがすばらしかったです!

左右で全く違うのに、違和感なく同じお皿に収まっていることに驚き!フォアグラに添えてあるソースが、焼いた穴子の骨を煮詰めたものだそうで、なるほど!でした。

薄黄色の花びらは、オクラに似た粘り気と香りを持つ食用のお花、“花オクラ”だそうです。

「 山口県萩の甘鯛  鮎 ジュヌヴォワーズ ひじき 」

パリッパリの皮目が最高に美味しい甘鯛の松笠焼き!身も驚くほどふっくらでした♡

鱗つきのまま皮目はしっかりと焼き上げ、身はふっくらと仕上がるようにゆっくり火入れをして、ほんのりレアに焼き上げているそうです。

クラシックなジュヌボワーズソースに鮎のペーストを加えたという濃厚なソースと、紫じゃがいものピューレが添えられて。ひじきは甘鯛の下に隠れんぼ!

トッピングされたビタミンカラー、流れるような縦ラインも美しく。鮎が泳いでいるようにも見えますね!眼福口福なひと皿でした。

山口県萩の甘鯛  鮎 ジュヌヴォワーズ ひじき
兵庫県産 雄鹿 雌鹿

「 兵庫県産 雄鹿 雌鹿 」

但馬の高田さんがしとめたという鹿を炭火焼で。
なんと、それぞれ味わいや食感の違うメス鹿とオス鹿を、ひと皿で味わえるというもの!日本の良質なジビエに感激しました。ちなみに上がメスで下がオス、私はオスの方が好みでした♡

新玉ねぎの器の中には、黒コショウがアクセントのポワブラードソース。
器まで美味しくいただきましたよ!
ヤングコーンや、古我邸の畑からという金時草(紫の葉)ともぴったりでした。

桃 ヴェルヴェーヌ

「 桃 ヴェルヴェーヌ 」

ヴェルヴェーヌ(レモンバーベナ)のアイスクリームに、杏仁の泡と桃が添えてありました。
これだけでも満足ですのに、底にはフワフワなクレームダンジュが!

アイスクリームと泡とクレームダンジュ、口溶け感の違う3種を一緒に食べたり、別々に食べたり。口の中が実験室になったようで、大いに楽しませていただきました♡

お紅茶も、ミニャルディーズとともに美味しくいただいて。
紅茶にはちょっとうるさい私に、おっ!と思わせる、北欧紅茶のセーデルブレンドでした。

セイロンティーをベースに、オレンジピール、バラ、マリーゴールド、ヤグルマギクの入ったブレンドティー。これについて私に語らせると長くなりますので、興味のある方は検索してみて下さいね!

ハーブやお花をステキに効かせた古我邸のお料理を、綺麗に締めくくってくれるお紅茶でした。

季節とともにお食事を味わう『古我邸』
すべてが美しく整ったデーブル

この場所・この建物・この料理、三位一体な古我邸。

よく晴れた秋の日に、今度はお召しを着て、テラス席なども愉しめたらと思います。

「ひとりで愉しむ着物映えレストラン」いかがでしたか。

古我邸のみなさまにご協力をいただき、おかげさまで今回も、無事に記事が完成いたしました。この場を借りて、お礼申し上げます。

着物をより一層楽しめますように。

さて次回は、どのレストランにしましょうか。

あとがき

『古我邸』にてフォトジェニックな一枚

海と山に囲まれた鎌倉という地にあって、この古我邸があるのは山側。
そして同じ山側といっても、小町通りや鶴岡八幡宮といったにぎわいへと続く「東口」とは反対の、落ち着いた、時に裏口とも呼ばれる「西口」側に位置しています。

駅からほんのふたつほど角を曲がった先にあるのですが、この場所が独特で、古我邸というものに、なんとも言えない存在感を与えています。

脇道を進み、その場所に着いたとたん、そこはまるでファンタジーの世界!
現実のすぐそばに、情緒的な別世界が広がります。

『古我邸』と雨を愉しんで

門をくぐると感じる、森に漂う湿気を帯びた空気、建物が放つ歴史の重み。
そういったものに刺激されるのか…
眠りがちだった感性が呼び起こされて、歩みを進めながら、古我邸という世界をより強く感じてゆきました。

私の訪れたこの日は、帰り際の一瞬をのぞきあいにくの雨。
ですがこの場所が、風情というものに敏感な日本人の感覚をオンにするのか、雨音や湧き立つ匂いを”情緒”として味わい、雨を喜んでいる自分がいました。

雨音から情緒を感じて
雨に濡れて鮮やかになる緑

私と同様にそれを愉しもうというのか、雨にもかかわらずこの日も満席。
この不思議な世界へといざなわれた人々に、私のお着物もまた、感覚を刺激するスイッチの役割を果たせたら…
次々と埋まってゆく席を窓越しの雨とともに眺めながら、そんなことを考えていました。

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