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辰巳芸者役に当たり得た大切なもの 俳優 若村麻由美さんの愛用品

辰巳芸者役に当たり得た大切なもの 俳優 若村麻由美さんの愛用品

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インタビューでは幼少期から親しんだ日本舞踊や着物、役を演じるうえでの着こなしについてうかがいました。今回は、若村さんの思い入れのある品々をご紹介します。

2025.08.19

インタビュー

四姉妹で振袖を着せあいっこして 若村麻由美さんインタビュー(前編)

花柳小菊さんから贈られた乱菊模様の羽織

若村麻由美さん愛用品

先ほどお話しいたしました大先輩の映画女優、花柳小菊さんが贈ってくださった羽織です。

柄が大きいので広げてみないと菊だということがわからない、立派な乱菊の総絞り。なんとも贅沢ですよね。

羽裏も淡く花が描かれていて素敵なんです。

まさか面識のない大先輩から、こんな大切なものをいただくとは思わず驚きました。この羽織のほかに菊の総柄の訪問着もいただきました。

私も同じように、次の女優さんへお渡しできたらいいな、と思っております。『この人』という方に早く巡り会いたいですね

2025.08.22

インタビュー

襟の合わせ方で役の背景を語る 若村麻由美さんインタビュー(後編)

宮崎恭子さんからいただいた着物

宮崎恭子さんからいただいた着物

仲代さんの奥さまでもあり、無名塾の創設者でもある宮崎恭子さんから『お稽古着でつかいなさい』といただいた着物なんです。

宮崎さんは小柄な方でしたので、私のサイズにするためにわざと継ぎ足しを民芸調のデザインのようにして作り直したものになります。

時代劇 『夜桜お染』の衣裳さんで、センスの良い大好きな方がいるんですけど、その方が仕立ててくださいました。

お稽古用にということで、 丈夫で風合いのある紬を足してくださり、柄の一色を八掛はっかけにしてくれたんだと思います。

この着物をじっさいに着て稽古をしたこともありますし、宮崎さんの著書『大切な人』のリーディングドラマを舞台でやったときは、宮崎さんの半生が書かれたお話でしたので、これを着て演じました

ちりめんの手ぬぐい

ちりめんの手ぬぐい

踊りのときの手ぬぐいは絹のちりめん地です。柔らかく美しく扱うことができるので。

坂東流の定紋、三つ大と替え紋の花かつみが入っています。日本舞踊では表紋と裏紋を重ねて染めることが多いですね。

これは33年前に『娘道成寺』を踊るために作ったものですが、変色もしてないので今も使っています。坂東流の家元には九世三津五郎ご夫妻の代からかわいがっていただきました。懐かしいです」

まなぶ

正派西川流・西川喜優先生 お稽古場での装い 「日本舞踊の愉しみ」

象牙に虫喰い珊瑚が付いている根付け

象牙に虫喰い珊瑚が付いている根付け

芸者の役をするとき、帯のところに懐紙を挟むんですけれど、根付けをわざと少し長めに下げるんです。

もちろん江戸時代は絹糸で繋いでいたと思うのですが、明治大正ですとこういった金具の鎖が主流になっていくのかな。芸者の役のときにしか使えないものですね。

これはその芸者の役をするときに、日本舞踊の関係の方から『それだったらこれを』と、これまた譲り受けたものなんです。象牙の瓢箪に虫喰い珊瑚。私には贅沢な逸品です。

時代劇をやっていると珊瑚はとても重要なんだということがわかるんです。あの色調のなかで、赤いものが入ってくるとグッと映える。

かんざしなら黒髪に映えるし。帯にも根付けの珊瑚色がとても効くんですよね。象牙やベッ甲もありますけれど、少し赤が入るだけで華やかになるんです。」

取材・構成/渋谷チカ
撮影/五十川満

2025.08.19

インタビュー

四姉妹で振袖を着せあいっこして 若村麻由美さんインタビュー(前編)

2025.08.22

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