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着物の「袖」とは? 着物のどの部分?

着物の「袖」とは? 着物のどの部分?

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着物の特徴的な部分でもある袖は、洋装と異なり、袖の下の袋のようになった袂が揺らめき、優雅な表情を演出します。袖は着物ならではの大切な部位とも言えるのではないでしょうか。着物の袖について詳しくご説明していきます。

2025.07.08

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着物の特徴的な部位である、「袖」の基本を学びましょう

着物の特徴的な部分でもある袖は、洋装と異なり、袖の下の袋のようになった袂が揺らめき、優雅な表情を演出します。袖は着物ならではの大切な部位とも言えるのではないでしょうか。ここでは、袖について詳しくご説明していきます。

着物の袖とは

着物の袖とは、着物の前・後ろ身ごろの左右についた、腕を覆う部分のこと。着物の種類によって、形や長さなどが異なります。

今回は、袖部分の各部名称や、種類、お手入れ方法など基本的なことに加えて、「袖」を使った言葉などもご紹介します。

着物の袖とは

さらに袖の使い方は、着姿にも大きな影響が。
美しい立ち居振る舞いなどを詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

「袖」の各部名称

まずは着物の袖部分の名称について、ご説明します。

「袖」の各部名称

袖口:着物の袖から手を出すために開いた部分。

袖山:肩山から続く、袖の上部分のこと。前と後ろの折り目の部分にあたります。

裄:背縫いから、肩を通り、袖口までの長さを指します。

袖丈:袖山から袖下(袂の底部分まで)の長さのこと。着物の種類や格により異なります。

袖幅:袖の幅。身ごろと袖の縫い合わせから袖口の先までのこと。以前は紬や綿着物など作業着としての着物は動きやすいよう、短かったため、装いの雰囲気に影響します。

振り:袖付けから袖下までの開いた部分のこと。男性の着物の袖は振りがなく、袖付止まりから袖下まで閉じて仕立てます。これを「人形(にんぎょう)」と呼びます。

袖口布:着物を袷で仕立てる際、八掛や胴裏などと同様、着物の袖口裏につける別布。

袖口ふき:表から袖口布が見える部分。

「袖」の種類や長さ

「袖」の各部名称

着物の袖は種類によって、長さや袂のデザインなどが異なります。

訪問着や付け下げ、小紋、紬にいたるまで、現在は袖丈の長さを49cm程度で仕立てることが一般的ですが、紬や綿着物など、カジュアルな着物はそれより短めに仕立てる方もいます。

振袖:未婚の女性が着用する礼装、正装用の着物にあしらわれます。袖丈が長いのが特徴で、成人式や結婚式など華やかな場面で着用されます。

・大振袖の袖丈の長さ約115cm以上
・中振袖の袖丈の長さ約95〜115cmくらい
・小振袖の袖丈の長さ約85〜95cmくらい

留袖:昔は、未婚時代に着ていた振袖の長い袖を切って留め短くしたことを「留袖」と言い、女性が着る着物のことを言いました。19世紀初めころに、黒地の染め抜き日向五つ紋の裾模様の着物が既婚女性の式服となり、黒地の裾模様の着物のことを指すようになりました。

元禄袖:袖丈が30cm以下と短く、大きな丸みが特徴。

舟底袖:袖下の袂の部分が舟底のような丸みを帯びている。袖丈が短いため、動きやすく働き着に用いる。

筒袖:袂のない筒袖の形状の袖。男の子や大人用の作業着、または半襦袢などに用いられることが多い。

自分に合った「袖」の長さとは

自分に合った「袖」の長さとは

袖の長さは、年齢や着物の種類などによって異なります。

まずは、未婚女性の第一礼装として着る振袖は、長いほど、柄つけの面積もあるため、豪華で華やかな印象に。

本来は、留袖や訪問着、付け下げなどフォーマルな着物の袖は長く、紬や木綿着物など、カジュアルな着物の袖は短めといわれています。長さがあると、それだけ布の面積も増え、友禅や刺繍などが施された美しさを多く見せることができます。また、袖の長さを短くすれば、軽快に着こなすことができます。

着物の袖の長さで迷ったら、晴れ着は長め、普段着は短めと覚えておくといいでしょう。

ただ、着物の袖の長さを変えてしまうと、問題になってくるのが下に着る、長襦袢との関係です。長襦袢が着物の袖丈の長さより短ければ、着ている際に長襦袢が振りの部分から出てきてしまいますし、長襦袢が着物の袖丈より長ければ、着物の袂がもたついてしまいます。

昔は、長襦袢は着物の袖の長さと同程度に仕立てるため、着る着物によって長襦袢も変えていましたが、日常で着る機会も減った現代では、袖の長さを変えた長襦袢をそろえることは現実的ではありません。

すべての着物の袖の長さを同じにすれば、長襦袢は一枚で済むため、現在では着物の袖の長さは約49cmが一般的です。

ただ、若い頃の着物の袖を短く仕立て直したり、背が高い方は袖の長さを少し長めにするなど、年齢や体形によって袖の長さを変える人もいます。現在でも日ごろ、着物を着ている方たちの中には、袖の長さにこだわる方も多いようです。

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2025.07.08

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いくつかポイントをご紹介します。

電車内で吊り革につかまる時:手を上げた際に、腕がまる見えにならないよう、吊り革をつかんでいない手で袖口をつまむようにして押さえます。

離れた場所の物を取る時:腕が見えないよう、反対の手で袖口をつまみ、腕を伸ばします。食事の際は、手前位にある料理などに袖が付かないよう注意をします。

手を洗う時:袂が濡れないように気をつけます。事前に、帯や帯締めに挟むなどすると安心です。

振袖で階段を使う時:両方の袖の袂が階段に触れないように、そして上前部分がめくれないように右手で袂と上前を持ちます。

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「袖」を使った表現

「袖」を使った表現

昔から日本人が着物の袖に興味を持っていたからでしょうか、「袖」を使った表現が多く見受けられます。また歌舞伎などのお芝居においても、袖を噛んだり、袖で顔を覆うなどして、感情を表現するなど、着物の「袖」には日本の美意識や文化が宿っています。

「袖」を使った表現をいくつかご紹介します。

袖をふる:別れを惜しんだり、愛情を表現すること。

袖にする:ないがしろにする、冷たくあしらうこと。

袖を分かつ:別れる、関係を断つこと。

袖を濡らす:涙を流して泣くこと。

袖触り合うも多生の縁:道で知らない人とすれ違った際に袖が触れ合うような些細なことでも前世からの因縁によるもの。どんな小さなことでも全ては深い縁によって繋がっているという意。

「袖」が汚れてしまったら〜手入れと保管方法

「袖」を使った表現

着物を着て観劇や食事をするなど、着物を着ての外出では、手を動かすことが多く、袖は非常に汚れやすい部分でもあります。とくに袖口の汚れなどは目立つので、定期的にお手入れに出すようにしておくと、長く美しさを保つことができます。また、食べ物や飲み物をこぼしてしまった際は、こすったりせず、なるべく早めに専門店に持って行き、相談することをおすすめします。

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