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着物や帯として再生させる 「きものは布」 第二回

着物や帯として再生させる 「きものは布」 第二回

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和裁の知識がない場合、少し準備をすることで、自分で表に見えないところの「調整」をしたり、和裁士さんへ伝えやすくなったりします。具体例を挙げながら、気に入った色や柄の着物や帯をどう蘇らせるかをお伝えします。

コラム 「きものは布」

きものは布

古代の人は、樹皮や草を編んだり、獣の皮などが身体を覆うものでした。
身体を衣服で覆う唯一の動物である人間は、布でできた“衣服“に進化をさせ、洋服としてそして和服として受け継がれ、そして楽しみになりました。
洋服だけでも生活がまっとうできる現代、着物は通常着ではないながらも、日本の文化として纏い、憧れ、大事にしています。
すでにある着物や帯、そしてそれらを作り、着ていた先人達への尊敬の念も含めて、まずは身近なタンスやその他収納の内側と向き合うことからはじめましょう!

第一回 着ない着物(使わない帯)、着られない着物(使えない帯)
     “コレ着られるかしら…”

第二回 着物や帯として再生させる
     “やっぱり着たい!”

第三回 手数を減らして着まわす工夫
     “いい(良い)加減がいい”

第四回 そばに置き、使えるモノへ
     “鋏を入れる勇気と捨てる前に生かすこと”

第五回 すっきりとしたその先は
     “次世代へ着姿やキモノを伝えていくアイコンとして”

第二回 着物や帯として再生させる

着物や帯として再生させる

Ⅰ 自分自身でできること

和裁の知識がない場合、自分でできることは限られますが、少し準備をすることで自分で表に見えないところの「調整」をしたり、和裁士さんへ伝えやすくなったりします。

準備① 「着られるきもの」かどうかを判断する。

 服の上からきものを羽織ってみて、床に25cm~30cm前後の余りがあればおはしょりが十分取れる丈と判断します。

準備② 「古い帯」の長さの確認(帯の長さが短いとき)

 帯の長さが足りないと感じるのは、下記が短い時です。
  (a) 帯全長
  (b) 腹柄⇔太鼓柄 

 ・昔の名古屋帯は双方が短いものがあるので、下記より短ければ足し布で調整する準備をします。
   タレ先~半分幅に縫われているつけ根まで:約115cm
   そのつけ根から半分幅の端(手先端)まで:約250cm
   (上記の足し算で、名古屋帯の全長(a)は3m65cm=1丈弱となります。)

 ・袋帯は戦後に丸帯の軽量化もあって普及した帯です。長さは二重太鼓ができる4m20cmぐらいあれば、少し古いものでも問題ないかと思います。

準備③ 「長襦袢の袖丈」が長い場合

・譲られたきものを着る場合
そのきもの用に長襦袢の袖丈が合っていれば、「○○のきもの用長襦袢」とたとう紙の表に書いておく。もしくはそのきものと同じたとう紙へ入れてしまう。

・長襦袢の袖丈がきものの袖丈より長い場合
きもの袖と同寸または5mmほど短く袖丈を切って縫っておく(ザクザクでOK)。

・市販の「二部式襦袢」を活用する
洗える素材で準備された簡便な「二部式襦袢」は、M・Lなどのサイズに関係なくほぼ「袖丈49cm=1尺3寸」です。購入する際は、きものの袖丈に合うか確認してください(右写真:二部式襦袢)。

二部式襦袢

準備④ 自分のベストな寸法が分からない場合

実際に着て/着せてもらい「楽で着崩れしにくかった」着物のサイズを測ること。

 主に測る場所
 ・背縫いと衿のT字の交わり~裾の端まで 
 ・背縫い~袖口(=裄)
 ・袖丈 など

仕立てたときの寸法表があれば、わかりやすい場所へ保管するか、寸法表に誰の寸法かを書いて写真を撮っておく。
※cmメジャーで計って3.78(1寸のcm)で割ると〇尺〇寸という尺貫法(鯨)の寸法になり、新調する際や寸法直しの際に和裁士さんに伝えやすくなります。

Ⅱ 着やすいきもの・巻きやすい帯になるよう依頼する方法

きものは布ですので、寸法が足りない時は足し、大きい時は縮めることができます。
「やせてから…」と思うと、すぐに着ないきものになる時がありますので要注意です。きものや帯を身体に合わせましょう。
また、帯も四角い布なので、普段使いの名古屋帯でしたらご自身でも長さを足したり短くしたりはできますが、仕上がりの美しさと丈夫さを考えると、やはりプロへ依頼する方が良いと思います。

父のアンサンブル大島紬を縫い直して

① きものの丈が短い時

おはしょりの上部分の、帯に隠れる場所に足し布をしてもらいます。
少し見えてしまう場合もあるので、極力地色に近い色の布で足してもらいましょう。
写真は、私の父のアンサンブル大島紬を女性用に縫い直してもらったものです。
「胴の継ぎ」と「広衿」にするために、「羽織の袖」を使いました。

② きものの裄(手首までの長さ)が短い時
 
昭和後期や平成~令和に作られた着物でしたら、反物自体の生地幅が広いので、袖幅と肩幅を広げることができるかもしれません。ギリギリまで裄を伸ばす加工を依頼してください。
※きものは仕立て上げたあとも「洗い張り」というメンテナンスをするので、生地幅を狭く断つことはありません。ただ、使わている反物の幅によっては、ご希望の裄寸法まで出せるかどうかの可否があります。

③ きもの・長襦袢の身幅が足りず前合わせが浅い時

身頃の生地には多少の余裕があります。
前後身頃幅で寸法出しをしてもらってください。
幅出しを依頼する際には、現在のバスト・ウエスト・ヒップサイズを伝え、可能な限りの寸法出しで作りかえると格段に着やすくなります。

④ 名古屋帯が短い時

腹柄・太鼓柄が「ポイント柄」の場合、最近の補正をする着付けや、ふっくらとした人には足りないものが多いです(腹柄を良い位置に持ってくると太鼓柄が出ない、もしくはその反対)。
その場合、腹柄と太鼓柄の間の隠れる部分に足し布をします。
色柄の違う布を使っても大丈夫ですが、強いテンションがかかるので、薄い布は避けてください。
※袋帯で、出したい太鼓柄と腹柄がうまく出ないときも同じです。

⑤ 帯が長すぎる時

やせ型の人は、帯が長すぎて着付けが大変だったり、余り部分がおさまりづらいことがあります。
最近の帯は長さがしっかりあるので、着付けしにくい帯は、やはり短くしてもらいましょう。

・六通柄(無地4割/柄6割)の帯
たれ端または無地部分でカットします。

・全通柄の帯
どちらかの端で余分な長さをカットします(短くしすぎにご用心)。

・腹柄⇔太鼓柄が長すぎる時
袋帯/名古屋帯ともに「帯枕を当てたい場所⇔腹柄」までの間を短くしてください。

⑥ 長襦袢の袖丈が長すぎるもしくは短すぎる時

自分で短くすることはできますが、長くしたいときは別袖をつける方法があります。
写真のような状態になりますが着用に問題ありません。
   

後々に譲ることを考慮することも大事ですが、自分で着ていくことも重視していきたいですね。
足し布をする際や替え袖などに活躍するのが「着まわせないきものや帯・襦袢」です。
それらを活用することも含めて、ぜひカスタマイズの検討をしてみてください。

長襦袢に別袖をつける

第三回は、「手数を減らして着まわす工夫」です。
手間を減らして楽に着まわせるコツと、そのための準備やアイデアをお伝えします。

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