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初春の候 ―立春から雨水 「感じたい、七十二候」vol.7

初春の候 ―立春から雨水 「感じたい、七十二候」vol.7

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戸外に聞こえる何かしらの音の気配までもが、ふっくらして感じられるころです。「三寒四温」と言われるように、暖かく感じられる日と寒気の襲来を行きつ戻りつしながら少しずつ春めいてくるところが、季節の移ろいの醍醐味なのでしょう。

2025.01.03

よみもの

晩冬の候―小寒から大寒「感じたい、七十二候」vol.6

よみもの

岡田知子さんのコラム「ちょっとだけ、ていねいな暮らし」(全12回)

立春

今年も立春を迎えました。旧暦でいえば、ここからが新しい年のはじまりです。

七十二候の第一候も、この立春の日からスタートします。

季節の変わり目の中でも、春のはじめの気候は乱調で、厳しい寒さと、急に気温が上がるお天気とのせめぎ合いが起きますが、それが自然本来の姿であることも実感させられる時期です。

立春のころ

立春

二十四節気の「立春」には、

東風解凍はるかぜこおりをとく
鶯睍睆 うぐいすなく
魚上氷うおこおりをいずる

の三つの候があらわれます。

2021.02.02

まなぶ

立春:春の気配が感じられるようになる、暦の上での春のはじまり! 「二十四節気で楽しむ着物スタイル」

第一侯/東風解凍はるかぜこおりをとく 二月三日~八日ごろ

東風解凍

春先駆けて吹く「東風」「こち」とも読み、古くから歌や俳句にも多く詠まれてきました。

東風が吹くころになると厚い氷にもひびが入り、徐々に解け出します。その様子を文様にした「氷割ひわれ」。

ひび割れた形を見ていると、食い気が勝る私は、いつも富山の銘菓「薄氷」というお菓子を思い出してしまうのでした。

第二侯/黄鶯睍睆 うぐいすなく 二月九日~十三日ごろ

黄鶯睍睆

「春告鳥」ともいわれるウグイスですが、盛んに鳴くのはオスで、自分のテリトリーを主張し守るため、(ことにメスが卵を生んで子育て中は)小さな体なのにびっくりするくらい大きな声量で鳴きます。

羽の色は、うぐいす餅から連想されるような綺麗な緑色ではなく、もっと地味で、笹藪の中で生きるにはちょうど具合の良い色です。

第三侯/魚上氷うおこおりをいずる 二月十四日~十八日ごろ

魚上氷

日ごとに解けて割れた氷の間から魚が飛び跳ねて出た、という意味合いのこの候は、いにしえの中国の呂氏春秋りょししゅんじゅうという古典にもある言葉だそう。

子供のころに見た池のフナや金魚、メダカといった魚が薄氷の下で動いている姿を見て、冷たくないのかしらと思ったものでした。

雨水のころ

雨水

二十四節気の「雨水」には、

土脉潤起 つちのしょううるおいおこる
霞始靆 かすみはじめてたなびく
草木萌動 そうもくめばえいずる

の三つの候があらわれます。

2021.02.17

まなぶ

雨水:雪が雨に変わり、雪解けがはじまる頃! 「二十四節気で楽しむ着物スタイル」

第四侯/土脉潤起 つちのしょううるおいおこる 二月十九日~二十三日ごろ

土脉潤起

二十四節気の「雨水」の字の通り、降る雪にも雨が混ざるようになります。

子供のころ、雪が水っぽくなって防寒具が濡れやすくなるのがあまり好きではありませんでした。道も雪解けで泥があらわになって長靴や防寒ズボンの裾が汚れたりします。

でも、それこそが春が近い兆しの一つなのだと、今は懐かしく思い出されます。

第五侯/霞始靆 かすみはじめてたなびく 二月二十四日~二十八日ごろ

霞始靆

この時期から、海も山も空気がまったりと湿り気を帯びて、かすみがちなお天気の日が増えます。

風のない穏やかな日に、霞が山裾にたなびく様子は、まるで日本画や水墨画の世界を見ているようです。

ちなみに同じ現象でも、霧は秋の季語、霞は春の季語で、夜の霞をおぼろというのだそう。

第六侯/草木萌動 そうもくめばえいずる 三月一日~四日ごろ

草木萌動

寒気が緩んで、空から日差しも雨も注がれるようになれば、草木が目覚めるのも自然のことわりですね。

冬場は裸のようだった落葉樹の枝先には新芽が膨らみ、冷たかった地面にもいつの間にか青々した野の草が顔を出しています。

季節の移ろいを楽しんで

戸外に聞こえる何かしらの音の気配までもが、ふっくらして感じられるころです。

「三寒四温」と言われるように、暖かく感じられる日と寒気の襲来を行きつ戻りつしながら少しずつ春めいてくるところが、季節の移ろいの醍醐味なのでしょう。

ただ、実際には体調を保つのも難しい時期です。

春の息吹きを感じるような食べものや、睡眠時間もしっかりととって、この時期を元気に乗り切りたいものですね。

2023.01.21

まなぶ

先駆ける春を装う如月 「月々の文様ばなし」vol.11

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