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無類の着物好きが編み出した自在な着方 キモノ好きフォトグラファー さんかくさん(前編)

無類の着物好きが編み出した自在な着方 キモノ好きフォトグラファー さんかくさん(前編)

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ラクに着物を楽しみたい!の気持ちから、洋服のうえに手際よく着付けていく動画を公開し、いまやSNSの総フォロワー数は40万人以上のさんかくさん。かっちりコンサバから和洋MIXカジュアルまで、着物を自由自在に着こなす彼女の魅力に迫ります。

2024.12.07

インタビュー

フォロワー数70万人の”きもの男子” キモノインフルエンサー りょうたす。さん(前編)

さんかく△たるゆえん

SNSで着物動画がたびたび“バズる”さんかくさん。

最近では、小千谷縮を使ったとなりのトトロの概念コーデがネットニュースにもなりました。

今春発売後すぐに増刷した『さんかくキモノのススメ』では、

私のキモノは○じゃない。もちろん◎じゃない。全然キッチリ着てないし、色々なものが混ざっているから『正解の着物じゃない』と思う人もいると思います。でも、それでいい。○じゃないけど×でもない、ゆるい△のキモノです。

と自身を紹介しています。

『さんかくキモノのススメ』

○と×のあいだだから△。

洋服のうえから着物を着ちゃえばいい、という発想も、彼女のユーモアがあってこそ。

リレーのような着まわし3変化

今回の「きものと」のインタビューでは、洋服のうえに着て出掛ける→疲れたら脱ぐ、のさんかくセオリーを少し崩して、

コンサバな訪問着の着こなし
→脱いで洋服
→そのうえからさらに和洋MIX

と三変化していただくことに。

ご登場は訪問着で。

まず、ご登場は訪問着で。

真面目に着よう!を念頭にコーデを組み立てました。真面目に着るので、ちゃんと補正も入れていますし、足元も珍しく白くしています。

テーマは『やっと冬がきてうれしいコーデ』

なので、帯締め帯揚げの小物は寒色系で寒さを楽しむ! 2月になったら寒すぎてホカホカな感じを求めると思いますが(笑)。

そして辰年が終わる前に龍の帯を巻き倒そう!です。

訪問着は紫の色がきれいで気に入っているもの。写実的な模様ですとフォーマル度が高まりますが、この点描のようなかたちでの柄表現はかっちりしすぎず、そういうところも素敵!と思っている一枚です」

紫の色がきれいな訪問着

きれいな紫色の訪問着。帯締め帯揚げは冬空を楽しむ寒色系に。取材翌週の歌舞伎座観劇『あらしのよるに』に備えて、ネイルには「メイ」と「ガブ」が!

「帯は、MIKAZO商店さんに作っていただいたオリジナルの龍の帯。帯締めはコンサバ時代に買ったものなので、いいものだったと思います(笑)。

帯揚げはきもの遊結さんの「楽々おびあげ」ですね。きものサローネでみつけました。帯揚げをきれいに処理するのが苦手なひとでも一発で美しく収まる便利アイテムです」

MIKAZO商店さんに作っていただいたオリジナルの龍の帯

「ちなみに半襦袢はキモノの粒さんの総レースのもの。半襟もレースで付いているので、付けなくても付けてもかわいいという、ズボラな私にぴったり」

ローブジャポニカさんの透け感のある羽織

「透け感のある羽織はローブジャポニカさんのもの。羽織紐はアミュレーヌさんです。

そして草履は菱屋カレンブロッソ俵型とさんかくがコラボしたもの。さんかくカラーでもある赤と黒を使った鼻緒がポイントです。2種類あるんですが、こちらは赤に黒菊」

菱屋カレンブロッソ俵型とさんかくさんがコラボした草履

菱屋カレンブロッソ・さんかくモデルにて

2023.10.04

よみもの

草履の革命児 華麗なるカレンブロッソの秘密 「古谷尚子がみつけた素敵なもの」vol.19

TikTokに投稿したきっかけ

現在はキモノインフルエンサーとしても活躍されていますが、本業はカメラマン。TikTokへの動画投稿のきっかけは、コロナ禍のなか仕事で現場へいけなくなり、時間ができたことでした。

ほかのプラットフォームでも着物のライブ配信を始めていたのですが、時代はTikTok!ということで、ショート動画を投稿することに。

「私の芸は着付けしかないと思って、着付けを投稿したのがきっかけです。人に見せるものだから、肌着で動画を撮るのも……と思い、いつも着ているワンピースのうえに浴衣を着ることにしました」

さんかくさんアップ

──いつから着物好きだったのですか。

私は秋田県生まれなのですが、秋田にいたときから好きでした。物心ついたときにはもう好きだったんじゃないかな。時代劇も好きでしたし、アニメでは『るろうに剣心』も大好きでした。

あと茶道にも憧れて、親についていって習ってみたり。本当に、いつのまにか身近なものとして着物がありました。

母が和裁をやっていたのも大きいかな。母は江戸検定を受けるほどの江戸オタクなので、影響されていると思います(笑)」

きちんと着ていたコンサバ時代

きちんと着ていたコンサバ時代

「でも、本格的に着物を着始めたのは大学の着付けサークルに入ってから。それまでは、自分で着られるのは浴衣まででした。

しっかり着付けを習い、そこからしばらくコンサバ時代ですね。そのころは、アメーバブログ全盛期でしたので、アメブロで少し年上のお姉さんたちと知り合って、歌舞伎へ連れて行ってもらったりしました。

着物でお出かけして、自分では入れないような呉服屋さんへも案内してもらい、「怖い!」といいながら、いいものをたくさん見る機会を得て、目を肥えさせてもらいました

──コンサバ期の着物はどんな着物をお召しだったのでしょう。

「祖母と母のお下がりがほとんどです。

無理して仕立てたこともありましたが、お姉さんがたとリサイクルショップへいって、いいものを見立ててもらったりしていました」

さんかくさん後ろ姿

子供がいても着物が着たい

──カジュアル路線になったのには切実な理由があったとか。

「子供を産んでからなのですが、赤ちゃんを見ながら絶対に汚したくないような着物に気を遣うのは大変で……だったらカジュアルにいきたい!となったんですよね。

あと、着物で仕事をしたあと、保育園のお迎えにいく直前にすっと洋服に着替えたくて。

子供がいても着物が着たい

「子供きっかけでどんどんカジュアルに寄っていきましたね。

正直、着物が好きすぎるので、洋服のうえから着物をまとうだけで、かなり気持ちが満たされるんです

高身長でもアンティークを

高身長でもアンティークを

「また、カジュアル化のもうひとつの理由は、私の”アンティーク着物好き”なところにもあります。

昔から雑誌『KIMONO姫』の世界観が大好きではあったのですが、背が高すぎるのでアンティークとは無縁の着物ライフと思い込んでいたのです。

それが、中に洋服を着ちゃえば「裄が短い」とか「丈が足りない」とかも気にならない!と気づき、どんどん和洋MIXへと進んでいきましたね。もともと明治・大正ロマンに憧れていたので、着物と洋服を合わせて着る時代、明治の初期とか最高! 和洋折衷! 島津斉彬みたいでかっこいい!というテンションでした」

さんかくさん全身

後編では、

コンサバコーデから洋服にチェンジ

さらには、

そのうえからまた、最初と同じ着物をカジュアルに着るコーデ

を公開!

カジュアルダウンするからこそのTPO考、失敗談、概念コーデの作り方などもうかがっていきます。

取材・構成/渋谷チカ
撮影/黒井ひつじ

2021.05.28

よみもの

着物ファンが思わず二度見する。和洋MIX着物家 マサキモノさん

2022.06.12

インタビュー

堂々と胸を張って好きなことを。 着物クリエイター・みさまるさん

2021.04.01

よみもの

わたしたちは、人生の主演女優兼スタイリスト 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.25

2021.12.06

まなぶ

和洋の楽しい模様がたくさん! ~師走(しわす)の巻~ 「十二ヵ月のアンティーク半襟」vol.8

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