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墨溜りを作って、書道の雰囲気がでるように。 書道家 根本知さんの愛用品

墨溜りを作って、書道の雰囲気がでるように。 書道家 根本知さんの愛用品

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インタビューでは大河ドラマ『光る君へ』の話から、書道家の根本さんが着目する着物の魅力などをうかがいました。今回は、根本さんが大切にしているご愛用品をご紹介いただきます。

2024.12.13

インタビュー

”遠回り”する所作の美しさ─ 書道家 根本知さん(後編)

『プラチナ万年筆』3776センチュリーシリーズ

プラチナの万年筆

プラチナ万年筆です。

富士山の標高3776mにちなんだ『3776センチュリーシリーズ』で、初めて買った万年筆です。十何年と使っています。

日本のメーカーで、ペン先がなめらかで滑りがいい。これは書道家として、絶対条件なんです。カートリッジで、吸引式でもないですが、使い勝手がいい。

字書きとして、やはり万年筆は外せませんね。

あとはインクですね、このブルーブラックが大好きです。なぜブルーブラックかというと、少し墨っぽいんです

プラチナのブルーブラックが好きなんですよ

乾いていくときのグラデーション、インクが濃くのっているところと擦れているところで濃淡がでるじゃないですか。そのなかでも、プラチナのブルーブラックの感じが好きなんですよ。

それと、墨溜まりを作りたいんで、インクの量が多めにでるように調整してもらっています

僕はいつも銀座の伊東屋さんで買います。職人さんがいる工房があるからこそできることですね」

書道の雰囲気がでるようにしています

インクが多く出る分、すぐに減ってしまうんですが、溜めができるようにして、書道の雰囲気がでるようにしています。

ここが僕のこだわりですね。封筒の宛名書きにしても、趣がでるという感じでしょうか」

趣がでるという感じですかね

令和の時代の書道は「言葉を大事にする書道」

──ご自身が字を書くうえで大事にしていることはなんですか。

根本知さん

言葉を大事にすることです。最後は、自らの言葉を書けるようになりたい。

和歌も自分で歌えるようになりたいし、自分で気づいたこと、もしくは人の言葉を書くにしても、その人のことを本当に愛したうえで書かないと嫌です

古今和歌集の仮名序にしても、そらで言えないといけない。それを書いた紀貫之の思想もわかったうえで書かないと、先人に申し訳ない。それをせずに書くのは、おこがましいと思ってしまいます

いずれの御時にか

『源氏物語』冒頭をさらさらとよどみなく。その文字の流麗なこと

令和の時代にやる書道は、言葉を大事にする書道だと僕は思っています。

ずっと一文字を書いていてもいい。でも「愛」という字を書くならば、愛に対して人生でどれだけ考えた結果、「愛」と書けるのか。

僕が書道家と名乗るのは、歴史の道をきちんと背負うという自負があるからですね

源氏物語冒頭

取材・構成/渋谷チカ
撮影/五十川満

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