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お見世出しに密着! 宮川町に新たな舞妓・君花さんがお目見え  「令和の芸舞妓図鑑」特別編

お見世出しに密着! 宮川町に新たな舞妓・君花さんがお目見え 「令和の芸舞妓図鑑」特別編

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去る10月15日、宮川町の置屋『本城』にて新たな舞妓さんの見世出しが行われました。特別編第3弾では、花街デビューしたばかりの君花さんが舞妓を目指したきっかけから見世出し当日の様子まで、盛りだくさんの内容でお届けします。

2024.10.15

よみもの

長らく組合長を務める街の顔 宮川町・ふく葉さん 「令和の芸舞妓図鑑」vol.14

インターネットで見た舞妓に一目惚れ

令和の芸舞妓さん

「中一のときにインターネットで舞妓さんの写真を見て、かわいいーーーー!!!!と叫んでしまうくらいの一目惚れでした。

調べてみると、それが宮川町の本城さんとこの舞妓さんやと分かって、本城さんに行きたい!と思うようになったんどす」

その後、本城さんのInstagramのアカウントを見て、いきなり電話をかけた君花さん。

「舞妓さんにならしてください!ってお願いしたら、『来てみよし』と言ってもらえて、母とふたりで本城さんを訪れました」

花柳界への憧れを抱くきっかけはイマドキなのにド直球な攻め方で舞妓への道を切り開いた15歳の少女は、その後、2度の体験を経て、2024年2月、中学の卒業を待たずに仕込みさんとして修業をスタートさせました。

君花さんと女将さん

「卒業式だけは地元・奈良へ帰りましたが、それ以外はずっと修業。卒業間近の一番自由な時期やったので、本音を言えば、もうちょっと遊びたいなぁと思いましたけど、早く入ればそれだけお見世出しも早くなるので、その方がええなと思って」

と、君花さん。

令和の芸舞妓さん

彼女が初めて屋形(置屋)を訪れたときは健在だった大きいおかあさん(先代)は昨年秋に急逝され、それまでお茶屋を仕切っていた女将が置屋業務も引き継ぐことになりました。

つまり、当代のおかあさんが0から仕込んで見世出しする初の舞妓が君花さんなのです。それゆえの期待と愛情が、彼女の舞妓デビューに花を添えました。

令和の芸舞妓さん

“仕込みさん”から“見世出し”まで

京都ならではのイメージを担う舞妓は、芸妓になるまでの修業期間

その舞妓になるための見習い期間を”仕込みさん”といいます。

屋形(置屋)に住み込み、家事を手伝ったり先輩芸舞妓の身の回りのお世話をしたりしながら、京言葉を教わり、舞の稽古に励み、花街のしきたりや習慣を学びます。

屋形の玄関先で

京都きもの市場からも「目録」を。新人舞妓の見世出しや舞妓から芸妓への衿替え時に屋形(置屋)やお茶屋の玄関先に貼り出される手描きのポスターは、花街に伝わる祝いの伝統文化。人気が高まり、良き日が多くあることを願い、「大人気日々に昇る 一日柄沢山」という言葉と共に縁起物の図案が描かれる

君花さんの場合――

2024年2月 ”仕込みさん”として本城に住み込みを始める
8月23日 君有さんとの結納
9月12日 舞の試験合格後、”見習いさん”となる
9月20日 君有さんと姉妹の盃を交わす
10月15~17日 見世出し

約8か月の修業を経て、晴れて憧れの舞妓さんとなりました。

令和の芸舞妓さん

人生初の白塗りは、9月20日の午後。君有さんと姉妹の盃を交わした後に行われた

「お試験に合格したすぐ後に試し結いがあって、初めて日本髪を結うてもらいました。ほんまにうれしおした」

と君花さん。

令和の芸舞妓さん

赤い鹿の子が前後からのぞく「割れしのぶ」

9月いっぱいは「半だら」と呼ばれる、舞妓の象徴でもあるだらりの帯の短いバージョンで過ごし、10月1日からだらりの帯と裾引という舞妓ならではの衣装を身にまといます。

令和の芸舞妓さん

9月いっぱいは「半だら」

令和の芸舞妓さん

10月1日より「だらり」の帯

見世出しの数日前は「実感ないです」と言っていた君花さんですが、3日間の見世出しを終えての感想は……

「全部が面白くて楽しおした! 3日間があっという間ではよおした」

とのこと。

三日間、あちらのお茶屋さんからこちらのお茶屋さんのところへと街を駆け巡るなか、とにかく必死で君有さんの後をついて回っていたという君花さん。

「おこぼで初めて走りました。他のお茶屋さんのおかあさんにも、『おこぼで走れんねんなぁ』って言われるくらいでした(笑)」

君有さん姉さん&おかあさんからのメッセージ

見世出し当日、君花さんを引く姉さん芸妓・君有さんと、屋形(置屋)の女将を務めるおかあさんの想いを聞きました。

――君有さんの、君花さんへの第一印象は?

「ちっちゃいな、かわいいな」と思ったのを覚えています。

バーで君有さんと

バーで君有さんと

――君有さんから見た君花さんはどんな子ですか?

お試験のあたりから一緒に行動することが増えて、「大丈夫?」「しんどない?」と声をかけるといつも、「お稽古が楽しおす」「お稽古が好きどす」って言ってくれるのが印象的でした。お稽古が楽しいのは素敵なことやな、と思てます。

――どんな舞妓さんになってほしいですか?

とくにここひと月は忙しくて大変でしたが、いつもにこやかで、笑顔が似合わはる舞妓さんやと思います。

何も心配することがないくらいニコ~っと笑ってくれるので、これからもさらに笑顔の素敵な可愛らしい舞妓さんになっていってくれはったら嬉しおす。

着付けをする君有さん

――ご自身のお見世出しはいかがでしたか?

緊張しすぎて全くと言っていいほど記憶がないのどすけど(苦笑)、姉さんと同期の背中を必死に追いかけてたことだけ鮮明に覚えてます。

そんな私とちごて(違って)、お試験やお盃のときに、お母さん方や姉さん方に見守れながら「いまの一瞬一瞬の気持ちを忘れずに頑張りましょう」と言うていただいていた花ちゃんは、きっとその時々を大切にしてくれはると思います。

――おかあさんと、君花さんとの初対面はいかがでしたか?

面接を終えて、外へ出た後のジャンプが衝撃的でした(笑)。

うっとこは中から外の通りが見える格子になってまして、おしとやかに屋形を出た後すぐに、「ぃやったーーーーーー!!!」ってバンザイして3回飛び跳ねてました。あんなマンガみたいに足を後ろへ蹴り上げた豪快なジャンプを見たのは、生まれて初めてやと思います。

令和の芸舞妓さん

屋形(置屋)の女将を務めるおかあさんと

――君花さんのキャラクターが伝わるエピソードですね!

彼女は何もかもがちっさくて、中身的にも子どもらしくて、かいらしい子です。このまま素直に真っ直ぐ育ってくれたら、いい舞妓ちゃんになってくれるんじゃないかと期待しています。

擦れてなくて、幼さが残る子なので、大事に育ててあげたいなと思ってます。

そんなおふたりの期待を受け、本城の舞妓としての一歩を踏み出した君花さんに訊いてみました。

――どんな舞妓さんになりたいですか?

皆が思ったはるような、イメージ通りの舞妓さんになれたらいいなと思います。「本城さんの舞妓ちゃんはお行儀が良くてかいらしいな」って言うてもらえるように、というおかあさんの言葉を胸に、本城さんの舞妓さんとして頑張っていきたいです。

クローバー号と君花さん

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