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着物の小物、代用品スペシャル！「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.87

着物の小物、代用品スペシャル！「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.87

着物の小物、代用品スペシャル！「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.87

2024.09.01 （2024.09.02 更新）

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手持ちの帯板を全部イベントのトルソー用に貸し出して、自分は牛乳パックを帯板代わりにしたことも、荷造りの紐を腰紐代わりにしたこともあります。これまで「大丈夫、なんとかなる」という精神でこれまで切り抜けてきました。

ホテルの部屋で急いできものに着替えて、打ち合わせ場所に向かわなくては。ところが、スーツケースの中をいくら探しても、腰紐と伊達締めが見当たらないのです。

ぐわぁ、と呻いて頭を抱えました。

よりにもよって着付けの紐を一式入れておいた洗濯ネットを、家に置いてきてしまった！

あれには腰紐2本（1本は予備）、伊達締め2本(襦袢用ときもの用)、お太鼓に結ぶ用の仮紐1本と着付けクリップ1個が入っているんだぁぁ。

過去に伊達締めを忘れて、腰紐で代用したことはありますが、今回はなんの紐もありません。

紐の代わりになりそうな細長いものはないか、必死で探しますが、洋服にベルトも付いていませんし、スカーフも持ってきていません。充電のコードでは長さが足りないし、あぁ、万事休す。

絶望的な気持ちの中でしたが、何か一筋の光はないものかとホテルの部屋を見まわしました。このときのわたしの目はサーチライト。

ん？スリッパが袋に入っています。

持ち帰ってもいいスタイルの、薄いタオル地のスリッパが入っている、不織布の袋に、細い紐が見えました！これを分解して繋いだら、1本の腰紐になる！

とはいえ着付けに使える紐はたった1本です。まずは丁寧に襦袢を着ました。胸紐として貴重な1本を使い、その上からきものを羽織り、襦袢で使った紐を外し、一番重要な腰紐にします。

おはしょりと胸元を整えて、その上からダイレクト名古屋帯！多少の崩れはこの際どうでもよく、完成した姿がきものになればいい、と諸々を諦めるスタイルです。

過去に帯枕を忘れて角出しにしたこともありましたが、そのときは腰紐を余分に持っていたので、1本仮紐として使える余裕がありました。

衿芯を忘れたときには、持っていたプリントを縦に切ってセロテープで繋いで衿芯の幅に折り、帯板を忘れたときはクリアファイルを代用品にしました。

手持ちの帯板を全部イベントのトルソー用に貸し出して、自分は牛乳パックを帯板代わりにしたことも、荷造りの紐を腰紐代わりにしたこともあります。これまで「大丈夫、なんとかなる」という精神でこれまで切り抜けてきました。

ほぼ一年中を着物で過ごし、着物ライフの楽しさをイラストとエッセイでつづる。執筆の他、着物や帯などのプロデュースも手がけ「着物は人生に寄り添うもの。おしゃれで楽しくて、お守りのような存在の布になれたらと願い、ものづくりをしています」と語る。著書に「大人かわいい着物読本」(主婦と生活社)、「おとなのときめきふだん着物」(河出書房新社)、「買ってはいけない着物と着物まわり」(実業之日本社)などがあり、最新刊は「東京着物さんぽ」(GB)。山形県在住で、子3人犬1匹の母でもある。

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